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第35話 部室、いつもと違う風景
なぜか部室に緑彩先輩が来ない。
俺は椅子に座りながらひたすら貧乏ゆすりを続けている。
なぜ部室に来ないのか、という疑問の解を見出すとすれば、朝の一件が原因だと考えて間違いないだろう。
ただ、俺と蒼乃が付き合ったという事実を緑彩先輩が知ったからと言って部活を休む理由にはならない。
仮に緑彩先輩が俺に好意を抱いていたとすればその理由も納得がつくのだが……。それは夢物語だ。
その上、俺の前でイチャつく玄人と紫倉の2人の姿を見てイライラは積もるばかり。爆ぜろ。
不安がぐるぐると頭の中を駆け巡っている。その不安をかき消すように俺は小説を熟読していた。
「白太先輩、それ、何読んでるんですか?」
落ち着かない俺とは打って変わって、なんの緊張感も無く俺に話しかけてきた蒼乃。
若干イラついたが、なぜか少し心が穏やかにもなった。
「ありがちな恋愛小説だよ」
「へぇー。先輩って恋愛小説とか読むんですね」
「まぁそんなに好きなジャンルではないけどな。やっぱミステリーとかの方が読んでて面白いとは思う」
蒼乃と話し始めた俺は読書を中断し、本を閉じようとしおりを探すがしおりがないことに気づく。
周りを見渡して、机に置いてあった適当なプリントを折りたたんで本に挟み机の上に置いた。
「あれ、文芸部で小説とかたくさん読んでるのに自分のしおりとか持ってないんですか?」
「ああ。前は持ってたんだけどな。一回玄人に貸したら無くされたんだよ」
「ごめんって。あれは本当にすまんかった」
「別に怒ってないぞ。また買えば良いだけだし」
「白太は優しいな。それより、なんで今日は緑彩先輩部室に来ないんだろうな」
あえて口にはしていなかった疑問を玄人はいとも簡単に口にしてしまった。疑問を口にしたところで解決にもならないし、何の意味も……
「な、なんでですかね⁉︎ ぜ、絶対部室に来る先輩が部室にこないだなんて、お、おかしいですよね」
「おい蒼乃、お前絶対何か知ってるだろ」
「し、知るわけないじゃないですか、ぷひゅるーひゅうーるるー」
明らかに動揺した様子でかすれた口笛を吹く蒼乃。
これは絶対何か知ってるパターンだが、無理矢理聞き出そうとするのも俺の性分ではない。
「俺たちが入学してから緑彩先輩が部活を休んだことは一度もなかったよ。毎日部室に来て、本を読んでは感想を言い合ってたな」
「そうなんですか……」
「青木、もう1回聞くけど何か知ってるのか?」
「な、なんで私が⁉︎ 何も知らないですよ」
「そうか……」
普通であれば、クラスメイト全員の前で俺と付き合っていることを公言した青木を咎める場面なのだろうが、緑彩先輩が部活に来ていないことが気になった俺はその気力も無く、頭の中は緑彩先輩のことで一杯になっていた。
俺は椅子に座りながらひたすら貧乏ゆすりを続けている。
なぜ部室に来ないのか、という疑問の解を見出すとすれば、朝の一件が原因だと考えて間違いないだろう。
ただ、俺と蒼乃が付き合ったという事実を緑彩先輩が知ったからと言って部活を休む理由にはならない。
仮に緑彩先輩が俺に好意を抱いていたとすればその理由も納得がつくのだが……。それは夢物語だ。
その上、俺の前でイチャつく玄人と紫倉の2人の姿を見てイライラは積もるばかり。爆ぜろ。
不安がぐるぐると頭の中を駆け巡っている。その不安をかき消すように俺は小説を熟読していた。
「白太先輩、それ、何読んでるんですか?」
落ち着かない俺とは打って変わって、なんの緊張感も無く俺に話しかけてきた蒼乃。
若干イラついたが、なぜか少し心が穏やかにもなった。
「ありがちな恋愛小説だよ」
「へぇー。先輩って恋愛小説とか読むんですね」
「まぁそんなに好きなジャンルではないけどな。やっぱミステリーとかの方が読んでて面白いとは思う」
蒼乃と話し始めた俺は読書を中断し、本を閉じようとしおりを探すがしおりがないことに気づく。
周りを見渡して、机に置いてあった適当なプリントを折りたたんで本に挟み机の上に置いた。
「あれ、文芸部で小説とかたくさん読んでるのに自分のしおりとか持ってないんですか?」
「ああ。前は持ってたんだけどな。一回玄人に貸したら無くされたんだよ」
「ごめんって。あれは本当にすまんかった」
「別に怒ってないぞ。また買えば良いだけだし」
「白太は優しいな。それより、なんで今日は緑彩先輩部室に来ないんだろうな」
あえて口にはしていなかった疑問を玄人はいとも簡単に口にしてしまった。疑問を口にしたところで解決にもならないし、何の意味も……
「な、なんでですかね⁉︎ ぜ、絶対部室に来る先輩が部室にこないだなんて、お、おかしいですよね」
「おい蒼乃、お前絶対何か知ってるだろ」
「し、知るわけないじゃないですか、ぷひゅるーひゅうーるるー」
明らかに動揺した様子でかすれた口笛を吹く蒼乃。
これは絶対何か知ってるパターンだが、無理矢理聞き出そうとするのも俺の性分ではない。
「俺たちが入学してから緑彩先輩が部活を休んだことは一度もなかったよ。毎日部室に来て、本を読んでは感想を言い合ってたな」
「そうなんですか……」
「青木、もう1回聞くけど何か知ってるのか?」
「な、なんで私が⁉︎ 何も知らないですよ」
「そうか……」
普通であれば、クラスメイト全員の前で俺と付き合っていることを公言した青木を咎める場面なのだろうが、緑彩先輩が部活に来ていないことが気になった俺はその気力も無く、頭の中は緑彩先輩のことで一杯になっていた。
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