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第29話 帰宅、意味深な行動
俺たちは修学旅行2日目の日程を無事に終え、帰りのバスに乗車している。
窓から差し込む日差しが心地良く、思わずまぶたが落ちる。
「どーした? 朝からずーっとボーッとしてるけど」
玄人からの指摘をそんなことないと否定するが、実際その指摘は的確で俺は今日一日上の空だった。
気持ちの良い気候がそうさせたのではない。
その理由は昨日の夜の出来事だ。
「――え、ちょっと紅梨さん?」
「……」
えーなんで黙ってるのぉ……。なに、なんで俺の背中にしがみついてるの?
紅梨が足をくじいておんぶをしたときとは別の感情が込み上げてくる。
あれは所謂不可抗力というやつだ。俺が紅梨にお願いしたわけでもなければ紅梨が俺にお願いしたわけでもない。
ただ今回はわけが違う。
紅梨は俺と2人で夜道を散歩している最中に、後ろから自分の意思で身を寄せてきたのだ。
なぜ紅梨自ら俺に身を寄せてきてくるのか、考えても考えても分からない。
「……なんでもないよ」
「え、でもこれはどういう……」
「だからなんでもないの」
「そ、そうか……」
それから紅梨は2、3分、おれの背中に身を寄せたまま離れなかった。
2、3分? いや、体感100分。
俺の頭の中では早く俺から離れてほしいという思いと、まだ離れて欲しくないという思いが交差していた。
「……あったかい」
え、もしかして俺はカイロの代わり的な? 女の子は冷え性の子が多くて寒がりだとよく聞くけどそんなことある?
「……こめんね。急に」
「謝らなくてもいいけどさ」
そして紅梨はそっと俺の背中から離れた。
「冷えるしもう帰ろっか」
「そうだな……」
その後、気まずさのあまりお互い会話をすることなく、部屋へと戻った。
紅梨が部屋に戻った後も、俺はしばらく廊下に立ち尽くし、呆然としていた。
部屋に戻り布団に入ってから、なんとか眠りにつこうと目を閉じる。
しかし、朝までほぼ一睡も出来なかったことは言うまでもない。
そして今日帰りのバスに乗るまで、あまり紅梨とは会話をしておらず今に至ると言うわけだ。
どうしようか、こちらから話しかけた方が……
そう思っていた矢先、俺の頭を割と激しめの鈍痛が襲う。
「イテッ‼︎」
俺が紅梨に話しかけるかどうかを悩んでいると、後ろの席から頭を小突かれ思わず声を上げてしまう。
「なに眠そうな顔してるの。家に着くまでが修学旅行なんだから、寝てちゃ勿体ないよ」
「な、なにすんだよ」
「折角なんだからみんなと話して楽しまないと」
「……まぁそれもそうだな」
紅梨の顔を直視する事はできなかったが、横目でチラッと見た紅梨の顔は晴々としており、昨日の気まずさが嘘のようである。
それから俺は昨日の出来事を忘れるように努め、何事も無く、と言うわけにはいかないが無事に俺たちの修学旅行は幕を閉じた。
窓から差し込む日差しが心地良く、思わずまぶたが落ちる。
「どーした? 朝からずーっとボーッとしてるけど」
玄人からの指摘をそんなことないと否定するが、実際その指摘は的確で俺は今日一日上の空だった。
気持ちの良い気候がそうさせたのではない。
その理由は昨日の夜の出来事だ。
「――え、ちょっと紅梨さん?」
「……」
えーなんで黙ってるのぉ……。なに、なんで俺の背中にしがみついてるの?
紅梨が足をくじいておんぶをしたときとは別の感情が込み上げてくる。
あれは所謂不可抗力というやつだ。俺が紅梨にお願いしたわけでもなければ紅梨が俺にお願いしたわけでもない。
ただ今回はわけが違う。
紅梨は俺と2人で夜道を散歩している最中に、後ろから自分の意思で身を寄せてきたのだ。
なぜ紅梨自ら俺に身を寄せてきてくるのか、考えても考えても分からない。
「……なんでもないよ」
「え、でもこれはどういう……」
「だからなんでもないの」
「そ、そうか……」
それから紅梨は2、3分、おれの背中に身を寄せたまま離れなかった。
2、3分? いや、体感100分。
俺の頭の中では早く俺から離れてほしいという思いと、まだ離れて欲しくないという思いが交差していた。
「……あったかい」
え、もしかして俺はカイロの代わり的な? 女の子は冷え性の子が多くて寒がりだとよく聞くけどそんなことある?
「……こめんね。急に」
「謝らなくてもいいけどさ」
そして紅梨はそっと俺の背中から離れた。
「冷えるしもう帰ろっか」
「そうだな……」
その後、気まずさのあまりお互い会話をすることなく、部屋へと戻った。
紅梨が部屋に戻った後も、俺はしばらく廊下に立ち尽くし、呆然としていた。
部屋に戻り布団に入ってから、なんとか眠りにつこうと目を閉じる。
しかし、朝までほぼ一睡も出来なかったことは言うまでもない。
そして今日帰りのバスに乗るまで、あまり紅梨とは会話をしておらず今に至ると言うわけだ。
どうしようか、こちらから話しかけた方が……
そう思っていた矢先、俺の頭を割と激しめの鈍痛が襲う。
「イテッ‼︎」
俺が紅梨に話しかけるかどうかを悩んでいると、後ろの席から頭を小突かれ思わず声を上げてしまう。
「なに眠そうな顔してるの。家に着くまでが修学旅行なんだから、寝てちゃ勿体ないよ」
「な、なにすんだよ」
「折角なんだからみんなと話して楽しまないと」
「……まぁそれもそうだな」
紅梨の顔を直視する事はできなかったが、横目でチラッと見た紅梨の顔は晴々としており、昨日の気まずさが嘘のようである。
それから俺は昨日の出来事を忘れるように努め、何事も無く、と言うわけにはいかないが無事に俺たちの修学旅行は幕を閉じた。
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