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第23話 好感、修学しない旅行
音浜高校2年生を乗せたバスは第一目的地である日本でも有数のテーマパークに到着。
俺たちが通う音浜高校の修学旅行は、修学旅行と謳っておきながら全く修学する要素が無い。
勉強があまり好きではないであろう学生からすればありがたい話だ。
バスの中で紅梨の雰囲気が普段と違うことは気になったが、折角修学旅行に来たんだし、気にせず楽しむとしよう。
「やっぱこーゆーとこくるとテンション上がるな‼︎」
玄人は俺の横でおもちゃを与えられた子供の様に目を輝かせている。
入り口ではそびえ立つジェットコースターが姿をあらわし、地響きが起きるほどに大きな音が俺たちのテンションを押し上げる。
「白太は緑彩先輩と2人で来たかったんじゃないか?」
「まあ女の子と2人でテーマパークに来るとか1回はやってみたいよね。でも大丈夫、俺もう緑彩先輩のことは好きじゃ無いから」
「……そうか」
「じゃあ修学旅行終わったら私と来る?」
「そうだな。じゃあ2人で……って行くわけないだろ⁉︎ びっくりするわ」
「ふふっ。白太、焦ってたね」
紅梨の冗談に驚きを隠せず、一瞬ドキッとしてしまった。
紅梨は口数が多いわけではなく静かな女の子だが、修学旅行で大阪に来ているだけあってテンションが上がっているのだろう。
こんな冗談、いつもなら言わないからな。
とりあえず、エントランスの写真を撮って青木に画像を送しとこう。機嫌を損ねると面倒だし。
画像を送信すると、一瞬で既読が付く。
『楽しそうですね‼︎ 先輩と同じ学年じゃないのが残念ですが楽しんできてください‼︎』
俺のことが心配なはずなのに、自分の気持ちよりも俺のことを考えて楽しんできてくださいと言える青木を俺は尊敬する。
――いや待てよ? 青木は今学校で授業を受けているはずだ。スマホを触って良い時間ではない。
俺の尊敬を返せ。そしてスマホは先生に没収されてしまえ。
「よっしゃ、行くぜ‼︎」
普段活発に動くことが無い玄人が珍しく走って入場口を通り越し、俺たちを呼ぶ。
「お前らも早く来いよー」
「よっしゃ‼︎ 俺も行くぜ‼︎」
「……私も」
普段なら俺も玄人も紅梨も無邪気にはしゃぐことはないが、やはり修学旅行中は特別なようだ。
季節は梅雨に突入している。今日雨が降らなかったのは救いだな。
「まず何から行く?」
「うーん、ジェットコースターも良いけどとりあえずその辺散策してみんなで写真でも撮らないか?」
「……まぁ楽しみは後に取っておくものだしな」
玄人はジェットコースターに乗りたくて仕方がないのだろう。以前から人気のジェットコースターや、複雑なコースを空を飛ぶ恐竜のように滑走する新しいジェットコースターは確かに魅力的だ。
だが、玄人は一つ忘れている。
紅梨がジェットコースターが苦手だと言うことを。
俺たち3人は中学生の時に地元のテーマパークに行き、初めてジェットコースターに乗った紅梨は気分が悪くなって医務室にお世話になったことがある。
しかし、自分がジェットコースターが苦手なことが原因で友達がジェットコースターに乗れなくなるのが嫌な紅梨は、無理をしてでもジェットコースターに乗る恐れがある。
それだけは阻止しなくては。
「覚えててくれたの?」
「なんの話かさっぱりだ」
「……ありがと」
ボソッと紅梨が言ったお礼の声は、俺に聞こえるか聞こえないか微妙な音量だった。
俺たちが通う音浜高校の修学旅行は、修学旅行と謳っておきながら全く修学する要素が無い。
勉強があまり好きではないであろう学生からすればありがたい話だ。
バスの中で紅梨の雰囲気が普段と違うことは気になったが、折角修学旅行に来たんだし、気にせず楽しむとしよう。
「やっぱこーゆーとこくるとテンション上がるな‼︎」
玄人は俺の横でおもちゃを与えられた子供の様に目を輝かせている。
入り口ではそびえ立つジェットコースターが姿をあらわし、地響きが起きるほどに大きな音が俺たちのテンションを押し上げる。
「白太は緑彩先輩と2人で来たかったんじゃないか?」
「まあ女の子と2人でテーマパークに来るとか1回はやってみたいよね。でも大丈夫、俺もう緑彩先輩のことは好きじゃ無いから」
「……そうか」
「じゃあ修学旅行終わったら私と来る?」
「そうだな。じゃあ2人で……って行くわけないだろ⁉︎ びっくりするわ」
「ふふっ。白太、焦ってたね」
紅梨の冗談に驚きを隠せず、一瞬ドキッとしてしまった。
紅梨は口数が多いわけではなく静かな女の子だが、修学旅行で大阪に来ているだけあってテンションが上がっているのだろう。
こんな冗談、いつもなら言わないからな。
とりあえず、エントランスの写真を撮って青木に画像を送しとこう。機嫌を損ねると面倒だし。
画像を送信すると、一瞬で既読が付く。
『楽しそうですね‼︎ 先輩と同じ学年じゃないのが残念ですが楽しんできてください‼︎』
俺のことが心配なはずなのに、自分の気持ちよりも俺のことを考えて楽しんできてくださいと言える青木を俺は尊敬する。
――いや待てよ? 青木は今学校で授業を受けているはずだ。スマホを触って良い時間ではない。
俺の尊敬を返せ。そしてスマホは先生に没収されてしまえ。
「よっしゃ、行くぜ‼︎」
普段活発に動くことが無い玄人が珍しく走って入場口を通り越し、俺たちを呼ぶ。
「お前らも早く来いよー」
「よっしゃ‼︎ 俺も行くぜ‼︎」
「……私も」
普段なら俺も玄人も紅梨も無邪気にはしゃぐことはないが、やはり修学旅行中は特別なようだ。
季節は梅雨に突入している。今日雨が降らなかったのは救いだな。
「まず何から行く?」
「うーん、ジェットコースターも良いけどとりあえずその辺散策してみんなで写真でも撮らないか?」
「……まぁ楽しみは後に取っておくものだしな」
玄人はジェットコースターに乗りたくて仕方がないのだろう。以前から人気のジェットコースターや、複雑なコースを空を飛ぶ恐竜のように滑走する新しいジェットコースターは確かに魅力的だ。
だが、玄人は一つ忘れている。
紅梨がジェットコースターが苦手だと言うことを。
俺たち3人は中学生の時に地元のテーマパークに行き、初めてジェットコースターに乗った紅梨は気分が悪くなって医務室にお世話になったことがある。
しかし、自分がジェットコースターが苦手なことが原因で友達がジェットコースターに乗れなくなるのが嫌な紅梨は、無理をしてでもジェットコースターに乗る恐れがある。
それだけは阻止しなくては。
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