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第20話 任務、自分に嘘をついて
私、赤松紅梨は今日、緑彩先輩から指令を受けて白太と玄人の3人でファミレスに来ている。
今日の指令は白太の欲しいものを調査するというもの。
というのも、白太は来週誕生日なのだ。緑彩先輩は白太に誕生日プレゼントを渡すため、白太の欲しいものが知りたいらしい。
私は緑彩先輩が白太のことを好きだと知っている。そんな状況もあって緑彩先輩にとって私は唯一の相談相手だ。これまでも同じ類の任務を何度か遂行してきた。
白太と玄人とは中学生からの付き合いで2人のことはよく知っているし、先輩から白太の情報をよく質問されるのだ。
「にしてもこの3人でこうしてファミレスに来るのも久しぶりだな。中学以来なんじゃないか?」
「そうだな。高校に入ってからは緑彩先輩がこのグループに入ってだからな」
そして私たちは各々デザートとドリンクバーを頼む。
「みんなの分も持ってくるよ。何が良い?」
「じゃあ俺コーラ」
「じゃあ私はカルピス」
「分かった」
そう言ってみんなの分のドリンクバーを取りに行く白太の姿を見て思わず少し口角を上げる。
白太は中学生の頃からずっと、優しい男の子だ。
そもそも私と白太が仲良くなったのも、困っていた私を白太が助けてくれたことがきっかけ。
その優しさは今も健在なのだと考えると嬉しかった。
「なあ紅梨」
白太がドリンクバーを取りに行き、私と玄人が2人っきりになってから唐突に玄人に話しかけられる。
「何?」
「自分の気持ちには正直になった方がいいと思うぞ」
「――え、どゆこと?」
そう玄人に問いかけた瞬間、白太が席に帰ってきて会話をストップした。
「どうした?」
「なんでもないよ。紅梨が眠たそうだったからデコピンかましてやっただけだ」
「おまえな……。ずっと一緒にいるから忘れてるかもしれんが紅梨だって女の子なんだぞ? もっと優しくしてやれよ」
「ちょっと、私が女ってこと忘れてるの?」
白太の発言にはそうツッコミながらも、私をただの友達ではなく、一応は女として見てくれていることに心が躍る。
それにしても、自分の気持ちに正直になった方がいい? 玄人は何を考えているのだろうか。
私は一度も自分の気持ちに嘘をついたことなど無い。
とりあえず、玄人の発言は忘れて緑彩先輩から受けたミッションを実行しよう。
「最近欲しい本が多くてお金に困ってるんだよね」
私は白太に勘繰られないよう、自然に欲しいものを聞き出せる流れを作る。
「それわかる。この前本読んでる時にしおりが欲しいなーって思ったんだけど、もう一銭も無駄にできないし、無くても何とかなるから買うのは我慢してるわ」
……予想以上に上手くいっちゃった。作戦があまりにも上手く行き拍子抜けだが、白太の欲しいものを聞き出すことができた。
「しおりね……。私は持ってるから感じたことなかったけど確かにあれないと不便だよね」
「本のページを折るわけにも行かないし、いっつも代わりの適当な紙挟んだらしてるよ」
「そうなるよね。玄人は?」
白太に怪しまれないよう、自然に話を玄人の方へと切り替える。
「特にないかな。今のところは不自由な事はないし。自分に嘘をつかず、気楽に生きるのがいいと思う」
……? 玄人の返事が何やら的を得ておらず違和感を感じたが、その後は何事も無く会話も弾み、無事、ミッションを完遂することが出来た。
しかし、玄人の発言のせいで私の心の中でらモヤモヤした嫌な感情が渦を巻き続けることとなった。
今日の指令は白太の欲しいものを調査するというもの。
というのも、白太は来週誕生日なのだ。緑彩先輩は白太に誕生日プレゼントを渡すため、白太の欲しいものが知りたいらしい。
私は緑彩先輩が白太のことを好きだと知っている。そんな状況もあって緑彩先輩にとって私は唯一の相談相手だ。これまでも同じ類の任務を何度か遂行してきた。
白太と玄人とは中学生からの付き合いで2人のことはよく知っているし、先輩から白太の情報をよく質問されるのだ。
「にしてもこの3人でこうしてファミレスに来るのも久しぶりだな。中学以来なんじゃないか?」
「そうだな。高校に入ってからは緑彩先輩がこのグループに入ってだからな」
そして私たちは各々デザートとドリンクバーを頼む。
「みんなの分も持ってくるよ。何が良い?」
「じゃあ俺コーラ」
「じゃあ私はカルピス」
「分かった」
そう言ってみんなの分のドリンクバーを取りに行く白太の姿を見て思わず少し口角を上げる。
白太は中学生の頃からずっと、優しい男の子だ。
そもそも私と白太が仲良くなったのも、困っていた私を白太が助けてくれたことがきっかけ。
その優しさは今も健在なのだと考えると嬉しかった。
「なあ紅梨」
白太がドリンクバーを取りに行き、私と玄人が2人っきりになってから唐突に玄人に話しかけられる。
「何?」
「自分の気持ちには正直になった方がいいと思うぞ」
「――え、どゆこと?」
そう玄人に問いかけた瞬間、白太が席に帰ってきて会話をストップした。
「どうした?」
「なんでもないよ。紅梨が眠たそうだったからデコピンかましてやっただけだ」
「おまえな……。ずっと一緒にいるから忘れてるかもしれんが紅梨だって女の子なんだぞ? もっと優しくしてやれよ」
「ちょっと、私が女ってこと忘れてるの?」
白太の発言にはそうツッコミながらも、私をただの友達ではなく、一応は女として見てくれていることに心が躍る。
それにしても、自分の気持ちに正直になった方がいい? 玄人は何を考えているのだろうか。
私は一度も自分の気持ちに嘘をついたことなど無い。
とりあえず、玄人の発言は忘れて緑彩先輩から受けたミッションを実行しよう。
「最近欲しい本が多くてお金に困ってるんだよね」
私は白太に勘繰られないよう、自然に欲しいものを聞き出せる流れを作る。
「それわかる。この前本読んでる時にしおりが欲しいなーって思ったんだけど、もう一銭も無駄にできないし、無くても何とかなるから買うのは我慢してるわ」
……予想以上に上手くいっちゃった。作戦があまりにも上手く行き拍子抜けだが、白太の欲しいものを聞き出すことができた。
「しおりね……。私は持ってるから感じたことなかったけど確かにあれないと不便だよね」
「本のページを折るわけにも行かないし、いっつも代わりの適当な紙挟んだらしてるよ」
「そうなるよね。玄人は?」
白太に怪しまれないよう、自然に話を玄人の方へと切り替える。
「特にないかな。今のところは不自由な事はないし。自分に嘘をつかず、気楽に生きるのがいいと思う」
……? 玄人の返事が何やら的を得ておらず違和感を感じたが、その後は何事も無く会話も弾み、無事、ミッションを完遂することが出来た。
しかし、玄人の発言のせいで私の心の中でらモヤモヤした嫌な感情が渦を巻き続けることとなった。
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