大人気YouTuberのクラスメイトから黒子に指名された件
第32話 スミくんのライブ配信
俺は黒子。ハピネスが出演している動画では出来るだけ目立たないよう画面の端で待機している。
動画撮影中は容易に動くことも出来なければ声を出す事さえ許されない。
少し考えれば誰にでも分かる話だが、YouTuberにとって声を出すことが出来ないというのは致命的である。
声が出せないというだけで撮影する動画の内容は限られるし、声が出せないYouTuberの動画を見たいと思う視聴者はほとんどいないだろう。
声を出せない、顔も出せない俺がどんな動画を撮影するか。
悩み抜いた結果、最適な結論を見出した。
ライブ配信だ。
普通に動画を撮影する事も考えたが、声が出せない俺は視聴者のコメントを確認しながら動画撮影を進める方が面白い動画になる。
それに動画を撮り溜めておいても神野は結局明日には動画を投稿する作業を行うだろう。
それでは神野が休む時間が取れないので、俺が今日ライブ配信をしておけば神野に休息日を作ってやれる。
ライブ配信の内容は思い付いているが、その内容は褒められたものでは無い。
しかし、逆に言えばそれは神野では絶対に思い付かない、神野の事を好きな俺だからこそ思いつく内容だ。
そして俺は動画を撮影するための準備に取り掛かった。
◇◆
動画撮影の準備をする前に神野のTwitterアカウントからスミくんがライブ配信をする事を告知した。
いいねの数とリツイートの数はあっという間に一万に到達したので恐らく大勢のハピネスファンが俺の配信を見つめることになるだろう。
緊張はするが、俺の姿や声を知る者はいない。そう考えると緊張はほぐれた。
ライブ配信を開始したが喋ることが出来ない俺は筆談で視聴さに訴えかける。
『皆さんこんにちわ。スミです』
俺が筆談でそう書くと、夥しい数のコメントが寄せられる。
「ん? ハピネスどうした?」
「スミくん一人はワロタwww」
「絵力の無さが凄い」
Twitterの告知を見ていなかったファンは、ハピネスがおらずスミくんしか映っていない絵面の地味さに拍子抜けしたであろう。
『実はハピネス、風邪で寝込んでます』
神野の現状をありのまま伝えると、視聴者からは神野の体を気遣うコメントが多数寄せられた。
風邪を引いただけでこれだけ多くの人間から心配される神野が羨ましい。
俺が高熱を出したからと言って心配してくれる人は家族くらいなもんだろう。
家族でさえ、俺が風邪を引いたからと言ってもわざわざ俺の方から風邪を引いたと伝えることはないので実質俺のことを心配してくれる人は1人もいない。
『そこで、今日は動画を投稿できないハピネスに変わって私が一人でライブ配信をする事にしました』
「え、本当に一人かよwww」
「頑張れスミくん」
驚きの言葉や励ましの言葉が送られてくるが、引き続き動画撮影を続ける。
『そして今日の動画は……。皆さんが知らないハピネスをお教えしちゃいます‼︎』
「え、何教えてくれるんだろ」
「スリーサイズ教えろ」
「年齢教えてくれ」
流石の俺もスリーサイズや神野がひた隠しにしている年齢を視聴者にばらしてまで視聴者を増やそうとは思わない。
だが、ギリギリのところで攻めていく。
『それではまずは一つ目‼︎』
神野では思い付かないが視聴者が喜ぶ動画の内容、それは神野の私生活を少しだけ視聴者に教えると言うものだ。
『こちら、ハピネスが普段使用しているリップクリームです‼︎』
「これはギリギリw」
「スミくん大丈夫かw」
「後でハピネスに怒られるだろwww」
うん、視聴者のいう通り。後でハピネスにボコボコにされるかもしれない。
ただ、コメントを見ていれば視聴者が歓喜しているのも事実だ。
「これは嬉しい。俺も同じやつ買おう」
「これでハピネスとキスしてる気分になるな」
よし、反応は上々だ。次は……。
『そして次はこれ‼︎ あ ハピネスが使用しているシャンプー‼︎』
「これで俺もハピネスになれる」
「いやなれないだろw」
「100本買いためよう」
これも正解、視聴者の反応は申し分ない。
その後もハピネスの私生活を少しだけ公開した俺はこのあと30分ほど放送を続けたが、ライブ配信視聴者数は10万人を超えたのだった。
動画撮影中は容易に動くことも出来なければ声を出す事さえ許されない。
少し考えれば誰にでも分かる話だが、YouTuberにとって声を出すことが出来ないというのは致命的である。
声が出せないというだけで撮影する動画の内容は限られるし、声が出せないYouTuberの動画を見たいと思う視聴者はほとんどいないだろう。
声を出せない、顔も出せない俺がどんな動画を撮影するか。
悩み抜いた結果、最適な結論を見出した。
ライブ配信だ。
普通に動画を撮影する事も考えたが、声が出せない俺は視聴者のコメントを確認しながら動画撮影を進める方が面白い動画になる。
それに動画を撮り溜めておいても神野は結局明日には動画を投稿する作業を行うだろう。
それでは神野が休む時間が取れないので、俺が今日ライブ配信をしておけば神野に休息日を作ってやれる。
ライブ配信の内容は思い付いているが、その内容は褒められたものでは無い。
しかし、逆に言えばそれは神野では絶対に思い付かない、神野の事を好きな俺だからこそ思いつく内容だ。
そして俺は動画を撮影するための準備に取り掛かった。
◇◆
動画撮影の準備をする前に神野のTwitterアカウントからスミくんがライブ配信をする事を告知した。
いいねの数とリツイートの数はあっという間に一万に到達したので恐らく大勢のハピネスファンが俺の配信を見つめることになるだろう。
緊張はするが、俺の姿や声を知る者はいない。そう考えると緊張はほぐれた。
ライブ配信を開始したが喋ることが出来ない俺は筆談で視聴さに訴えかける。
『皆さんこんにちわ。スミです』
俺が筆談でそう書くと、夥しい数のコメントが寄せられる。
「ん? ハピネスどうした?」
「スミくん一人はワロタwww」
「絵力の無さが凄い」
Twitterの告知を見ていなかったファンは、ハピネスがおらずスミくんしか映っていない絵面の地味さに拍子抜けしたであろう。
『実はハピネス、風邪で寝込んでます』
神野の現状をありのまま伝えると、視聴者からは神野の体を気遣うコメントが多数寄せられた。
風邪を引いただけでこれだけ多くの人間から心配される神野が羨ましい。
俺が高熱を出したからと言って心配してくれる人は家族くらいなもんだろう。
家族でさえ、俺が風邪を引いたからと言ってもわざわざ俺の方から風邪を引いたと伝えることはないので実質俺のことを心配してくれる人は1人もいない。
『そこで、今日は動画を投稿できないハピネスに変わって私が一人でライブ配信をする事にしました』
「え、本当に一人かよwww」
「頑張れスミくん」
驚きの言葉や励ましの言葉が送られてくるが、引き続き動画撮影を続ける。
『そして今日の動画は……。皆さんが知らないハピネスをお教えしちゃいます‼︎』
「え、何教えてくれるんだろ」
「スリーサイズ教えろ」
「年齢教えてくれ」
流石の俺もスリーサイズや神野がひた隠しにしている年齢を視聴者にばらしてまで視聴者を増やそうとは思わない。
だが、ギリギリのところで攻めていく。
『それではまずは一つ目‼︎』
神野では思い付かないが視聴者が喜ぶ動画の内容、それは神野の私生活を少しだけ視聴者に教えると言うものだ。
『こちら、ハピネスが普段使用しているリップクリームです‼︎』
「これはギリギリw」
「スミくん大丈夫かw」
「後でハピネスに怒られるだろwww」
うん、視聴者のいう通り。後でハピネスにボコボコにされるかもしれない。
ただ、コメントを見ていれば視聴者が歓喜しているのも事実だ。
「これは嬉しい。俺も同じやつ買おう」
「これでハピネスとキスしてる気分になるな」
よし、反応は上々だ。次は……。
『そして次はこれ‼︎ あ ハピネスが使用しているシャンプー‼︎』
「これで俺もハピネスになれる」
「いやなれないだろw」
「100本買いためよう」
これも正解、視聴者の反応は申し分ない。
その後もハピネスの私生活を少しだけ公開した俺はこのあと30分ほど放送を続けたが、ライブ配信視聴者数は10万人を超えたのだった。
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