大人気YouTuberのクラスメイトから黒子に指名された件
第24話 ゲーム実況
下校中、信号に引っ掛かった俺はスマホでハピネスの動画を見ていた。
自分が出演し始めてからの動画を見るのはどうにも抵抗があるが、ハピネスを見るのは目の保養と心の癒しになるので致し方ない。
ハピネスの動画に集中していると千花の声が聞こえた気がして振り返るが、千花の姿は見えず空耳かと再び前を向いた。
今日は神野とゲーム実況の動画を撮影する約束をしていたので、自宅に到着すると玄関の扉の前に持っていた傘を置き、神野の家のインターホンを鳴らした。
神野は学校が終わると誰よりも早く帰宅するので間違いなく俺より先に自宅に到着している。
「いらっしゃい。どうぞ」
ヒョコっと顔を出す神野が毎回可愛すぎてインターホンを押すのが密かな楽しみになっているが、あまりの可愛さに表情が綻ばないようインターホンを押す時は口元に力を入れるようにしている。
玄関の扉を開けた神野は何の疑いも無く俺を家へと上げた。
俺は神野の動画撮影を手伝うという任務があって神野の家へと来ている。
真っ当な理由があるので神野の家に上がることに問題は無いが、俺という何も無いペラペラな人間が神野の家に上がるという違和感はいつまで経っても無くならない。
大人気YouTuberのハピネスと、同級生の冴えない男子。
どうしたって吊り合うはずが無い。
俺を出迎えてから部屋へと歩いていく神野は長い髪を揺らして可憐に撮影スペースである寝室へ歩いて行く。
これほどまでの美少女が俺に手伝いをお願いしてくる理由が、単に俺がハピネスの大ファンだから、という簡単な理由だとは信じられない。
今までの出来事は全て夢なのではないかと疑ってしまう程だ。
そんなことを考えていた俺は口を滑らせするつもりの無かった質問をしてしまう。
「なぁ、なんで俺に黒子役をお願いしたんだ? 確かにハピネスファンってのは知ってただろうけどさ、それだけで俺に黒子役をお願いする理由になるのか?」
自然と浮かんだ疑問は塞き止められる事なく俺の口から飛び出した。
俺の質問に神野は驚いたように目を見開いてこちらを向く。
「それだけで十分な理由になりますよ。毎日のように私の横の席でハピネスの魅力について熱く語ってくれている同級生がいるなら、その人にお願いする他無いでしょう」
「そんなもんか? ……まぁそんなもんか」
本当にそれだけなのだろうか、そんな疑問を抱いたものの、自分が神野の状況だったとしても同じ事を考えるだろうと思うと納得出来た。
「はい。そんなもんです。それに私には黒子役をお願いできるような友達なんていないですし」
「ああ、確かにそうだな」
「そこを素直に納得されるのはなんだか尺に触りますけど」
「あ、ごめん」
「まぁ多めに見てあげます。いつも手伝って貰ってますし」
神野が俺に対して行う寛大な処置、それが神野の普通なのか、それとも神野にとって俺は友達であったり何か他の特別な存在になっているからなのだろうか。
そんなことを考えていると若干頬が緩む。
「何をニヤニヤしているのですか。気持ち悪いですよ」
「すまん。ちょっと考え事してた。それより今日はなんのゲームをするんだ?」
「はい、これです」
神野はゲームのカセットが入った容器を天高く掲げた。
神野が手にしていたのは大人気格闘ゲームのスカブラ。
長年愛されてきたゲームで老若男女から人気のゲームだ。
「おお、スカブラじゃん」
「はい。今までのゲーム実況は一人だったのでこういった大人数で対戦する類のゲームは出来なかったんですよね。今はせっかく二人いるので、スカブラをしようかと」
「了解した。それじゃあ撮影するか」
「はい。ちょっと準備するので待っててください」
神野はハピネスに変身する準備を始め、俺はその待ち時間に腕慣らしとして一人でスカブラをプレイしていた。
「はぴるーん‼︎☆ いつもニコニコハピネスです‼︎ それじゃあ今日の動画はこれ‼︎ スカブラでスミくんと対戦していくぞ〜‼︎」
神野がハピネスへの変身を終えるとさっそく動画の撮影が始まった。
スカブラであれば一真たちとプレイした事があるのである程度プレイは出来るはずだ。
問題は神野の腕。俺が視聴したことのあるハピネスのゲーム実況動画の中で、ハピネスはどのゲームでも上級者のレベルを披露していた。
俺が一真とプレイしているバトロワゲームも容易にチャンピオンになるレベル。
はたして神野はスカブラを得意としているのだろうか。
「ふふん、私はこのゲーム、めっちゃ得意なのでスミくんには負けません‼︎ それじゃあいくよスミくん‼︎ 負けないからね‼︎」
神野の意気込みに俺はガッツポーズで応える。
喋ることができない黒子という難しい職業にも慣れ、俺はリラックスして撮影をする事が出来ていた。
自分が出演し始めてからの動画を見るのはどうにも抵抗があるが、ハピネスを見るのは目の保養と心の癒しになるので致し方ない。
ハピネスの動画に集中していると千花の声が聞こえた気がして振り返るが、千花の姿は見えず空耳かと再び前を向いた。
今日は神野とゲーム実況の動画を撮影する約束をしていたので、自宅に到着すると玄関の扉の前に持っていた傘を置き、神野の家のインターホンを鳴らした。
神野は学校が終わると誰よりも早く帰宅するので間違いなく俺より先に自宅に到着している。
「いらっしゃい。どうぞ」
ヒョコっと顔を出す神野が毎回可愛すぎてインターホンを押すのが密かな楽しみになっているが、あまりの可愛さに表情が綻ばないようインターホンを押す時は口元に力を入れるようにしている。
玄関の扉を開けた神野は何の疑いも無く俺を家へと上げた。
俺は神野の動画撮影を手伝うという任務があって神野の家へと来ている。
真っ当な理由があるので神野の家に上がることに問題は無いが、俺という何も無いペラペラな人間が神野の家に上がるという違和感はいつまで経っても無くならない。
大人気YouTuberのハピネスと、同級生の冴えない男子。
どうしたって吊り合うはずが無い。
俺を出迎えてから部屋へと歩いていく神野は長い髪を揺らして可憐に撮影スペースである寝室へ歩いて行く。
これほどまでの美少女が俺に手伝いをお願いしてくる理由が、単に俺がハピネスの大ファンだから、という簡単な理由だとは信じられない。
今までの出来事は全て夢なのではないかと疑ってしまう程だ。
そんなことを考えていた俺は口を滑らせするつもりの無かった質問をしてしまう。
「なぁ、なんで俺に黒子役をお願いしたんだ? 確かにハピネスファンってのは知ってただろうけどさ、それだけで俺に黒子役をお願いする理由になるのか?」
自然と浮かんだ疑問は塞き止められる事なく俺の口から飛び出した。
俺の質問に神野は驚いたように目を見開いてこちらを向く。
「それだけで十分な理由になりますよ。毎日のように私の横の席でハピネスの魅力について熱く語ってくれている同級生がいるなら、その人にお願いする他無いでしょう」
「そんなもんか? ……まぁそんなもんか」
本当にそれだけなのだろうか、そんな疑問を抱いたものの、自分が神野の状況だったとしても同じ事を考えるだろうと思うと納得出来た。
「はい。そんなもんです。それに私には黒子役をお願いできるような友達なんていないですし」
「ああ、確かにそうだな」
「そこを素直に納得されるのはなんだか尺に触りますけど」
「あ、ごめん」
「まぁ多めに見てあげます。いつも手伝って貰ってますし」
神野が俺に対して行う寛大な処置、それが神野の普通なのか、それとも神野にとって俺は友達であったり何か他の特別な存在になっているからなのだろうか。
そんなことを考えていると若干頬が緩む。
「何をニヤニヤしているのですか。気持ち悪いですよ」
「すまん。ちょっと考え事してた。それより今日はなんのゲームをするんだ?」
「はい、これです」
神野はゲームのカセットが入った容器を天高く掲げた。
神野が手にしていたのは大人気格闘ゲームのスカブラ。
長年愛されてきたゲームで老若男女から人気のゲームだ。
「おお、スカブラじゃん」
「はい。今までのゲーム実況は一人だったのでこういった大人数で対戦する類のゲームは出来なかったんですよね。今はせっかく二人いるので、スカブラをしようかと」
「了解した。それじゃあ撮影するか」
「はい。ちょっと準備するので待っててください」
神野はハピネスに変身する準備を始め、俺はその待ち時間に腕慣らしとして一人でスカブラをプレイしていた。
「はぴるーん‼︎☆ いつもニコニコハピネスです‼︎ それじゃあ今日の動画はこれ‼︎ スカブラでスミくんと対戦していくぞ〜‼︎」
神野がハピネスへの変身を終えるとさっそく動画の撮影が始まった。
スカブラであれば一真たちとプレイした事があるのである程度プレイは出来るはずだ。
問題は神野の腕。俺が視聴したことのあるハピネスのゲーム実況動画の中で、ハピネスはどのゲームでも上級者のレベルを披露していた。
俺が一真とプレイしているバトロワゲームも容易にチャンピオンになるレベル。
はたして神野はスカブラを得意としているのだろうか。
「ふふん、私はこのゲーム、めっちゃ得意なのでスミくんには負けません‼︎ それじゃあいくよスミくん‼︎ 負けないからね‼︎」
神野の意気込みに俺はガッツポーズで応える。
喋ることができない黒子という難しい職業にも慣れ、俺はリラックスして撮影をする事が出来ていた。
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