大人気YouTuberのクラスメイトから黒子に指名された件
第20話 思わぬ落とし穴
神野とコスプレ動画を撮影してから数日後、俺は自宅でYouTubeに投稿されたコスプレ動画の配信を視聴することにした。
黒子である俺の中身が男ではないと思い込ませるために撮影したこの動画だが、そもそもスミ君の前でハピネスが生着替えをしたからといって視聴者がスミくんを男だと思うのだろうか。
目の前で生着替えが出来るほど親しい男友達だと思う視聴者もいるのではないだろうか。
懐疑的に思いながらハピネスのチャンネルに行き、配信順に並んでいる動画の1番上に来ているであろうコスプレ動画を再生しようとした。
しかし、一番上に来ている動画のタイトルを見た俺は疑問符を浮かべた。
『スミくんにとんでもないイタズラを仕掛けてみた件』
……ん? こんなタイトルの動画を撮影した記憶もなければイタズラされた記憶もない。
まあ俺が手伝いをしている時間帯以外でも動画撮影をしている可能性はある。
とにもかくにも俺はその動画を再生することにした。
『はぴるーん‼︎ いつもニコニコハピネスです‼︎ はいそれじゃあ今回は最近私のお手伝いをしてくれているスミくんにイタズラを仕掛けたいと思います‼︎』
こんな動画を撮影していたのか。
いや、でもいたずらされた記憶が本当に無い。
『実は実は、スミくんって私のいとこなの‼︎ 近くに住んでて色々手伝ってもらうには丁度いいんだよねぇ。同い年の男の子なんだけどね、ちょっとからかって見たいなぁって思って今日はこんな企画を用意しました‼︎ それがこちら‼︎』
え、スミくんがいとこ⁉︎
ハピネスが唐突に言い放った言葉に俺は度肝を抜かれた。
しかも俺が同い年の男であるということをサラッと言ってしまった。
そしてハピネスは何事も無いかの様に自作のテロップを取り出し、視聴者に見えるように腕を前に出した。
『スミくんの目の前で生着替え‼︎ それはスミくんには見えてないんだけど、どんな反応を見せるのかチェック‼︎』
……は? なんだそれ。
『黒子の服って顔は真っ黒な頭巾で隠れてるんだけど、一応前が見えるようになってるわけ。でも今回スミくんには前が見えないようになっている頭巾をかぶってもらいます‼︎ これなら私の着替えは見えないんだけど、目の前で私が着替えをしてるって思ってドキドキして面白い行動をしてくれるんじゃないかってわけ‼︎』
ってわけ‼︎ じゃねぇよ。え、何これ俺完全にはめられてない?
『てことで準備始めます‼︎』
画面が暗転し、中心に『準備中……』という言葉が5秒ほど表示された後で、その言葉が『いたずらスタート‼︎』に変化する。
『みんないつも私の動画ばっかり見て暇してるんでしょー‼︎ ってことで今回は、友達もいない、彼女もいない、土日は毎日自宅警備っていう人たちのために家でもできるコスプレにチャレンジしてみるぞぉ‼︎』
俺は自分が何を仕掛けられたのか、完全に理解した。
『今は猫のコスプレしてるんだけど、ここから何着かチェンジするから見ててねー‼︎ それじゃあ私はこの大きな壁の裏で着替えをしたいと思います』
大きな壁の裏で着替えをしているハピネスは途中でひょこっと壁から顔と手を出し、地面を向いている俺を指差して口を押さえて笑っている。
そしてYouTubeのコメント欄には、『スミくん必死に下向いてるwww』、『ムッツリかよwww』、『でも見えない状況で必死に下向いてるスミくん可愛い』等というコメントが寄せられている。
『よいしょっとー。あーこれ1着でも結構めんどくさいなぁ。途中で面倒くさくなっちゃったらごめんね』
何となく棒読みだなぁとは思っていたが、状況を理解してから動画を見るとかなり棒読みなことが分かる。
『次の衣装はこんな感じ‼︎ スミくんはどう思う? 可愛い?』
見えていないことがバレないように、違和感を与えないように頷いていたが、俺を見ているハピネスはまたもや俺の方を指差して笑っている。
クスクスと笑い声が聞こえたのはこういうことか……。
俺は、完全にやられた、と座ってパソコンの画面を見ていた体勢からゴロンと寝転がり天を仰いだ。
「あーのっぴきねぇ」
黒子である俺の中身が男ではないと思い込ませるために撮影したこの動画だが、そもそもスミ君の前でハピネスが生着替えをしたからといって視聴者がスミくんを男だと思うのだろうか。
目の前で生着替えが出来るほど親しい男友達だと思う視聴者もいるのではないだろうか。
懐疑的に思いながらハピネスのチャンネルに行き、配信順に並んでいる動画の1番上に来ているであろうコスプレ動画を再生しようとした。
しかし、一番上に来ている動画のタイトルを見た俺は疑問符を浮かべた。
『スミくんにとんでもないイタズラを仕掛けてみた件』
……ん? こんなタイトルの動画を撮影した記憶もなければイタズラされた記憶もない。
まあ俺が手伝いをしている時間帯以外でも動画撮影をしている可能性はある。
とにもかくにも俺はその動画を再生することにした。
『はぴるーん‼︎ いつもニコニコハピネスです‼︎ はいそれじゃあ今回は最近私のお手伝いをしてくれているスミくんにイタズラを仕掛けたいと思います‼︎』
こんな動画を撮影していたのか。
いや、でもいたずらされた記憶が本当に無い。
『実は実は、スミくんって私のいとこなの‼︎ 近くに住んでて色々手伝ってもらうには丁度いいんだよねぇ。同い年の男の子なんだけどね、ちょっとからかって見たいなぁって思って今日はこんな企画を用意しました‼︎ それがこちら‼︎』
え、スミくんがいとこ⁉︎
ハピネスが唐突に言い放った言葉に俺は度肝を抜かれた。
しかも俺が同い年の男であるということをサラッと言ってしまった。
そしてハピネスは何事も無いかの様に自作のテロップを取り出し、視聴者に見えるように腕を前に出した。
『スミくんの目の前で生着替え‼︎ それはスミくんには見えてないんだけど、どんな反応を見せるのかチェック‼︎』
……は? なんだそれ。
『黒子の服って顔は真っ黒な頭巾で隠れてるんだけど、一応前が見えるようになってるわけ。でも今回スミくんには前が見えないようになっている頭巾をかぶってもらいます‼︎ これなら私の着替えは見えないんだけど、目の前で私が着替えをしてるって思ってドキドキして面白い行動をしてくれるんじゃないかってわけ‼︎』
ってわけ‼︎ じゃねぇよ。え、何これ俺完全にはめられてない?
『てことで準備始めます‼︎』
画面が暗転し、中心に『準備中……』という言葉が5秒ほど表示された後で、その言葉が『いたずらスタート‼︎』に変化する。
『みんないつも私の動画ばっかり見て暇してるんでしょー‼︎ ってことで今回は、友達もいない、彼女もいない、土日は毎日自宅警備っていう人たちのために家でもできるコスプレにチャレンジしてみるぞぉ‼︎』
俺は自分が何を仕掛けられたのか、完全に理解した。
『今は猫のコスプレしてるんだけど、ここから何着かチェンジするから見ててねー‼︎ それじゃあ私はこの大きな壁の裏で着替えをしたいと思います』
大きな壁の裏で着替えをしているハピネスは途中でひょこっと壁から顔と手を出し、地面を向いている俺を指差して口を押さえて笑っている。
そしてYouTubeのコメント欄には、『スミくん必死に下向いてるwww』、『ムッツリかよwww』、『でも見えない状況で必死に下向いてるスミくん可愛い』等というコメントが寄せられている。
『よいしょっとー。あーこれ1着でも結構めんどくさいなぁ。途中で面倒くさくなっちゃったらごめんね』
何となく棒読みだなぁとは思っていたが、状況を理解してから動画を見るとかなり棒読みなことが分かる。
『次の衣装はこんな感じ‼︎ スミくんはどう思う? 可愛い?』
見えていないことがバレないように、違和感を与えないように頷いていたが、俺を見ているハピネスはまたもや俺の方を指差して笑っている。
クスクスと笑い声が聞こえたのはこういうことか……。
俺は、完全にやられた、と座ってパソコンの画面を見ていた体勢からゴロンと寝転がり天を仰いだ。
「あーのっぴきねぇ」
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