チート(現代知識)×チート(魔法)×チート(武術)はチート∞(天災級)?!
第55話(準決勝 第二回戦 更なるツァーリの暴挙)
僕達はまだ勝利の余韻が残っているが、ツァーリの準決勝を見るために試合場に来ていた。1回戦は勝利が確定した後の無慈悲な炎の礫連射と仲間を巻き込む魔法が印象に残っているが、前衛の足止めと中衛の拘束魔法、そこからの攻撃魔法の繋ぎは見事だったし、戦術も、それぞれの魔法・技術も間違いがないから、今度の準決勝でどんなカードを切るのか、見ておきたかった。
「……っ!?エストリアさんの家族が屋敷から連れ出されそうになっています。作戦の実行をお願いします」    
「承知した。こちらは全力を尽くして救出を敢行するから、みんなは戦いに集中してくれ」
僕がヘンリー君への探知魔法を起動すると、屋敷から移動しようとしているのが探知できたので僕は念話で皆に知らせる。するとすぐにカイゼルさんから返事が来る。
僕がエストリアさんに目を向けると、当然だと思うけど、とても不安げな顔をして俯いているのが見える。
「大丈夫。カイゼル達が何とかしてくれるよ」
「そ、そんなのわかってるわよっ!でも……」
当然いつもような元気がないけど、僕は言葉を紡ぐ。
「僕らは信じて戦おう。万が一の場合は・・・僕が全力を出してでも何とかするよ」
「うん・・・」
エストリアさんはいっぱいに目を見開いて僕を見ると、うっすら涙をためながら呟く。
「まずは敵を知らないと。この試合は集中して観戦しよう」
僕は気持ちを切り替えるように目の前の試合上に目を向ける。
「次は準決勝第二試合、学科混合2年生のFチーム対ツァーリ選手率いる3年生のGチームになります!先程、圧倒的な強さを見せつけた3年生Gチームに2年生Fチームがどう立ち向かうのでしょうか!戦いの火蓋がもうすぐ切って落とされます!!」
悠々と入場するツァーリGチームに対して、ツァーリ達の顔色を窺っているように恐る恐る入場するFチーム。確かに第一試合のように恐怖を植え付ける事で、他チームの戦意を下げる手法が有効なのを実感するが、僕はそういうのは好きになれないので、どうしても好意的ではない視線をツァーリのチームに送ってしまう。
ツァーリ達は1回戦と同じ中央部にツァーリを含む全選手が集まった陣形で、Fチームは僕達と同じように、魔術師だけ遮蔽物の奥に待機した陣形だが、魔術師が2人いるのか、中央部に残っているのは3人になっている。
まずは前衛同士のぶつかり合いになりそうだ。
「両チームとも準備が整ったようです!!それでは アインツ総合学園 選抜戦 準決勝 第二試合 Ready? Fight!!」
実況の試合開始の宣言で、両チームとも前衛同士が接敵すべく動き出す。
ツァーリ側は重戦士2名と軽戦士1名が横並びに、Fチームは重戦士、軽戦士、槍使いの構成で、重戦士 vs 重戦士、重戦士 vs 槍使い、軽戦士 vs 軽戦士のマッチアップになっていて、お互い様子見の初撃は無難に防いでいる。
そこへ2年生Fチームの拘束魔法がツァーリGチームの前衛に飛ぶが、抵抗されてしまっているようだ。
「大地棘撃!」
ツァーリチームの魔術師が魔法を発動させると、2年生Fチーム前衛の足元から鋭い釘状の棘が何本も飛び出す。
重戦士が避けそこなって、足の甲を貫通された所に、Gチームの剣が重戦士を強く打つ。さすがに重戦士だけあって、多少の傷を負ったが致命傷にはなっていない。
そこへFチームの前衛の背後から閃光の魔法が発動する。
大地棘撃の魔法により距離が開き、詰めようとしていたGチームの前衛はまともに閃光をくらってしまい目眩んでいる状態だ。
そのチャンスに、Fチームの軽戦士と槍戦士の2人が、Gチームの軽戦士に同時に襲い掛かり小剣と槍で軽戦士に連撃を浴びさせ、続いての連撃で軽戦士の腕章が千切れ飛び戦闘不能になる。これでツァーリのチームは4名だ。
さらにGチームの重戦士も目が眩んでおり、そこに炎の礫の魔法が命中。鎧を突き抜けて痛撃が入り、その隙に更なるFチーム重戦士の一撃が入る。
まさに起死回生の閃光魔法だった。
「貴様らは、平民相手に何をやっているのか!貴族らしい高貴な戦い方を見せよ!!」
ツァーリは激しく苛立ち、メンバーに檄を飛ばす。その檄なのか恐怖なのかに応じた前衛が、傷ついているにもかかわらずFチームに苛烈な攻撃を開始し始め、Fチームは防御に専念した所に4回戦で見せた鎖の拘束魔法が飛び、Fチーム前衛3名を拘束する。
「雷よ、破壊をつかさどる轟雷よ!わが手に集いて、無慈悲な破壊の波となれ!!」
そこへツァーリの上級魔法が飛ぶ。
ツァーリの天に掲げた掌にバチバチと弾ける雷が収束し、雷球を形作る。
「この愚かな者共に、破壊の鉄槌を!轟雷波!!」
魔法の詠唱と共に手を前に突き出すと、手から放電された電撃の波が、味方も敵も遮蔽物もろとも蹂躙する。
電撃の波に蹂躙され麻痺してしまったFチームは、身動きが取れなくなった所にツァーリの放つ炎の礫の連射をくらって、一人ずつ戦闘不能になっていく。
さらにツァーリは悠然とFチームの陣地に入っていくと、遮蔽物に隠れていた麻痺している魔術師に炎の礫を打ち込み戦闘不能にする。
あっという間に形勢が逆転し、Fチームで残っているのはチームリーダーのみになる。
ツァーリは陣地の奥で痺れているリーダーを見つけてると、長い髪の毛を掴み引き摺って開けた中央部に戻ってくる。どうやらFチームのリーダーは女の子のようだ。
「貴様には少し貴族に逆らった者の末路というものを体現してもらおうか」
そう言うと、重戦士2人に痺れたリーダーの両手を拘束するように告げる。
ボゴォッ!
リーダーの腹にツァーリの拳がめり込む。
バキィィィィッ!!
さらにリーダーの顔に拳がめり込む。歯が折れて、口の端から血がたれる。
「ははははは!!いい様だ!!貴族に逆らうとどうなるか思い知らせてやる!!」
ドゴゥッ!バキィッ!!
リーダーの腕章が千切れそうになると、ツァーリは魔術師に回復魔法をかけるように指示する。
そして回復してはリーダーを滅多打ちにする。
「ま、参ったから、もうやめ……」
「ん?何か言ったか?聞こえんなぁ?」
リーダーは途切れ途切れで降参を口にして許しを請うがツァーリは聞く耳を持たずに、何度も何度も拳を撃ち込む。
「ツァーリ君。止めなさい!もう勝負は付いたでしょう!!」
少し遅れてエレン学園長の制止の声が会場に響くと、ツァーリは鬱陶しげにエレン学園長を一瞥し、最後にリーダーの腹に蹴りでつま先を減り込ませると、肩をすくめて踵を返す。
リーダーは血を含んだ嘔吐を繰り返すと、糸が切れた人形のようにその場に倒れた。
「次はお前達がこうなる番だ。楽しみにしておくんだな」
ツァーリはそのまま僕とエストリアさんを指差し、高笑いを上げながら試合場を後にする。
残された僕達はあまりの仕打ちに言葉を失い、そしてその後に込上げてくる怒りで絶対にツァーリを許してはならないと固く誓うのだった。
「……っ!?エストリアさんの家族が屋敷から連れ出されそうになっています。作戦の実行をお願いします」    
「承知した。こちらは全力を尽くして救出を敢行するから、みんなは戦いに集中してくれ」
僕がヘンリー君への探知魔法を起動すると、屋敷から移動しようとしているのが探知できたので僕は念話で皆に知らせる。するとすぐにカイゼルさんから返事が来る。
僕がエストリアさんに目を向けると、当然だと思うけど、とても不安げな顔をして俯いているのが見える。
「大丈夫。カイゼル達が何とかしてくれるよ」
「そ、そんなのわかってるわよっ!でも……」
当然いつもような元気がないけど、僕は言葉を紡ぐ。
「僕らは信じて戦おう。万が一の場合は・・・僕が全力を出してでも何とかするよ」
「うん・・・」
エストリアさんはいっぱいに目を見開いて僕を見ると、うっすら涙をためながら呟く。
「まずは敵を知らないと。この試合は集中して観戦しよう」
僕は気持ちを切り替えるように目の前の試合上に目を向ける。
「次は準決勝第二試合、学科混合2年生のFチーム対ツァーリ選手率いる3年生のGチームになります!先程、圧倒的な強さを見せつけた3年生Gチームに2年生Fチームがどう立ち向かうのでしょうか!戦いの火蓋がもうすぐ切って落とされます!!」
悠々と入場するツァーリGチームに対して、ツァーリ達の顔色を窺っているように恐る恐る入場するFチーム。確かに第一試合のように恐怖を植え付ける事で、他チームの戦意を下げる手法が有効なのを実感するが、僕はそういうのは好きになれないので、どうしても好意的ではない視線をツァーリのチームに送ってしまう。
ツァーリ達は1回戦と同じ中央部にツァーリを含む全選手が集まった陣形で、Fチームは僕達と同じように、魔術師だけ遮蔽物の奥に待機した陣形だが、魔術師が2人いるのか、中央部に残っているのは3人になっている。
まずは前衛同士のぶつかり合いになりそうだ。
「両チームとも準備が整ったようです!!それでは アインツ総合学園 選抜戦 準決勝 第二試合 Ready? Fight!!」
実況の試合開始の宣言で、両チームとも前衛同士が接敵すべく動き出す。
ツァーリ側は重戦士2名と軽戦士1名が横並びに、Fチームは重戦士、軽戦士、槍使いの構成で、重戦士 vs 重戦士、重戦士 vs 槍使い、軽戦士 vs 軽戦士のマッチアップになっていて、お互い様子見の初撃は無難に防いでいる。
そこへ2年生Fチームの拘束魔法がツァーリGチームの前衛に飛ぶが、抵抗されてしまっているようだ。
「大地棘撃!」
ツァーリチームの魔術師が魔法を発動させると、2年生Fチーム前衛の足元から鋭い釘状の棘が何本も飛び出す。
重戦士が避けそこなって、足の甲を貫通された所に、Gチームの剣が重戦士を強く打つ。さすがに重戦士だけあって、多少の傷を負ったが致命傷にはなっていない。
そこへFチームの前衛の背後から閃光の魔法が発動する。
大地棘撃の魔法により距離が開き、詰めようとしていたGチームの前衛はまともに閃光をくらってしまい目眩んでいる状態だ。
そのチャンスに、Fチームの軽戦士と槍戦士の2人が、Gチームの軽戦士に同時に襲い掛かり小剣と槍で軽戦士に連撃を浴びさせ、続いての連撃で軽戦士の腕章が千切れ飛び戦闘不能になる。これでツァーリのチームは4名だ。
さらにGチームの重戦士も目が眩んでおり、そこに炎の礫の魔法が命中。鎧を突き抜けて痛撃が入り、その隙に更なるFチーム重戦士の一撃が入る。
まさに起死回生の閃光魔法だった。
「貴様らは、平民相手に何をやっているのか!貴族らしい高貴な戦い方を見せよ!!」
ツァーリは激しく苛立ち、メンバーに檄を飛ばす。その檄なのか恐怖なのかに応じた前衛が、傷ついているにもかかわらずFチームに苛烈な攻撃を開始し始め、Fチームは防御に専念した所に4回戦で見せた鎖の拘束魔法が飛び、Fチーム前衛3名を拘束する。
「雷よ、破壊をつかさどる轟雷よ!わが手に集いて、無慈悲な破壊の波となれ!!」
そこへツァーリの上級魔法が飛ぶ。
ツァーリの天に掲げた掌にバチバチと弾ける雷が収束し、雷球を形作る。
「この愚かな者共に、破壊の鉄槌を!轟雷波!!」
魔法の詠唱と共に手を前に突き出すと、手から放電された電撃の波が、味方も敵も遮蔽物もろとも蹂躙する。
電撃の波に蹂躙され麻痺してしまったFチームは、身動きが取れなくなった所にツァーリの放つ炎の礫の連射をくらって、一人ずつ戦闘不能になっていく。
さらにツァーリは悠然とFチームの陣地に入っていくと、遮蔽物に隠れていた麻痺している魔術師に炎の礫を打ち込み戦闘不能にする。
あっという間に形勢が逆転し、Fチームで残っているのはチームリーダーのみになる。
ツァーリは陣地の奥で痺れているリーダーを見つけてると、長い髪の毛を掴み引き摺って開けた中央部に戻ってくる。どうやらFチームのリーダーは女の子のようだ。
「貴様には少し貴族に逆らった者の末路というものを体現してもらおうか」
そう言うと、重戦士2人に痺れたリーダーの両手を拘束するように告げる。
ボゴォッ!
リーダーの腹にツァーリの拳がめり込む。
バキィィィィッ!!
さらにリーダーの顔に拳がめり込む。歯が折れて、口の端から血がたれる。
「ははははは!!いい様だ!!貴族に逆らうとどうなるか思い知らせてやる!!」
ドゴゥッ!バキィッ!!
リーダーの腕章が千切れそうになると、ツァーリは魔術師に回復魔法をかけるように指示する。
そして回復してはリーダーを滅多打ちにする。
「ま、参ったから、もうやめ……」
「ん?何か言ったか?聞こえんなぁ?」
リーダーは途切れ途切れで降参を口にして許しを請うがツァーリは聞く耳を持たずに、何度も何度も拳を撃ち込む。
「ツァーリ君。止めなさい!もう勝負は付いたでしょう!!」
少し遅れてエレン学園長の制止の声が会場に響くと、ツァーリは鬱陶しげにエレン学園長を一瞥し、最後にリーダーの腹に蹴りでつま先を減り込ませると、肩をすくめて踵を返す。
リーダーは血を含んだ嘔吐を繰り返すと、糸が切れた人形のようにその場に倒れた。
「次はお前達がこうなる番だ。楽しみにしておくんだな」
ツァーリはそのまま僕とエストリアさんを指差し、高笑いを上げながら試合場を後にする。
残された僕達はあまりの仕打ちに言葉を失い、そしてその後に込上げてくる怒りで絶対にツァーリを許してはならないと固く誓うのだった。
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