チート(現代知識)×チート(魔法)×チート(武術)はチート∞(天災級)?!

もるもる(๑˙ϖ˙๑ )

第52話(4回戦、ツァーリの戦い)

 僕らは3回戦の間に魔術学科3年生のDチームへの情報収集と対策をし、4回戦開始前に再び試合場に集結した。
 相変わらずエストリアさんの家族の動きはないが、恐らく5回戦目あたりに動きがあるだろうと、カイゼルさんは念話で予測を示していた。
 僕達に出来る事は全力で5回戦を突破し、決勝戦でツァーリと決着をつける事だ。

 3回戦は予想通り、学科混合2年生のFチームが勝利したみたいだが、去年混合チームに入っていたサクラ先輩が武術学科のチームに入ったため、戦力的に大幅ダウンし苦戦したらしい。

 時間近くになり、ツァーリを含む4回戦のメンバーが試合場にやってくる。
 ツァーリのチームは、重戦士、重戦士、軽戦士、魔術師、そしてツァーリといった構成で、一方武術学科の方は重戦士、拳士、軽戦士、槍使い、弓使いという構成のようだ。

「さてさてやって来ました4回戦。優勝候補筆頭のツァーリ選手率いる3年生のGチーム対武術学科3年生のHチームの戦いです!奇しくも緒戦から3年生同士のカードになってしまったが、これはこれで見所のある戦いになりそうですね!」
「学年総代のツァーリ君の強力な魔法を中心に、息の合った前衛/中衛/後衛が揃った非常に安定感のあるチームで、特待生選抜チームだけあって、それぞれが傑出しているわ」
「さて開始の時間が近付いてきて、各チームとも陣形を整えるが……おーっと!ツァーリ選手のGチーム、後衛が後ろに下がらず中央部に陣取ったままです!!これは武術など相手にならないという意思表示でしょうか?!」

 実況のココットさんの言うとおり、3年生Gチームはツァーリを含め、中央部に陣取っており、Hチームと正面対決の様相だ。

「それでは時間です!!アインツ総合学園 選抜戦 第四試合 Ready? Fight!!」

 武術学科の5人が一斉にGチームに襲い掛かる。身軽な拳士と軽戦士が重戦士2人に接敵し、拳と剣を振るうが長盾に弾かれてしまう。

 少し出遅れた重戦士と槍使いが接敵しようとすると、地面から鎖が伸びて手足に絡まり動きを封じてしまう。どうやら魔術師の拘束系土魔法らしい。

「戦力差も分からん、バカ共め」
 ツァーリはそう罵ると、見ていろと言わんばかりに一瞬僕らの席の方を視線を向け、詠唱を始める。

「炎よ、破壊をつかさどる爆炎よ!わが手に集いて、無慈悲な破壊の炎となれ!!」
 ツァーリの天に掲げた掌に小さな炎が生まれ、ぐんぐんと大きくなり直径1m大の炎が渦巻く火球になっていく。

「この愚かな者共に、破壊の鉄槌を!爆炎球エクスプロージョン!!」
 ツァーリの手から放たれた火球は放物線を描きながら、重戦士と槍使いが拘束されている所に着弾する!!

ドゴァァァッン!!!

 巨大な炸裂音と爆炎が重戦士と槍使いどころか、味方前衛の重戦士をも巻き込んで破裂する!

「な、なんとっ!!ツァーリ選手が放ったのは上級魔術の爆炎球エクスプロージョン!!破壊力は見ての通り、味方まで巻き込んで一瞬で試合場の中央部を吹き飛ばしました!!味方ごと巻き込み破壊しつくす炎は、まさに恐ろしいの一言に尽きます!!」
「まともな戦術ではないですね……こういう試合だからまだ良いけど、これを実践でやられては、たまったものではないでしょう」

 それを見た僕達も絶句していた。まさか味方を巻き込むのを全く躊躇せずに必殺魔法を打ち込むなんて……

 爆炎球エクスプロージョン!!の壮絶な威力で、試合場の床も半分融解している。こんな高温度の炎を魔法防御無しで浴びたら、一瞬で黒焦げになる威力だ。

 まだ煙が立ち込める中、一本の矢が放たれてツァーリの頬をかすめる!

 煙の中立っていたのは、半分焦げている弓使いだが、辛うじて腕章は残っている。試合場でその弓使いの他に立っているのは、ツァーリと防御魔法をかけていた魔術師だけだ。

 弓使いが次弾を撃つより早く魔術師が拘束魔法を詠唱すると、岩の鎖が弓使いを拘束する。

「貴様!平民の分際で私に矢を射掛けるなどと!!」
 ツァーリが激昂し、弓使いに炎の礫ファイアボルトを撃ち込む。腕章が光って破壊されたにもかかわらず、連続で撃ち込み続けるツァーリに静止の声が掛かる。

「ツァーリ君。止めなさい!もう勝負は付いたでしょう!!」
 エレン学園長の制止の声が会場に響くと、ツァーリは鬱陶しそうに一瞥すると、フンと鼻を鳴らして試合場を降りていく。

 弓使いは腕章の防御が切れた状態で何発もの炎の礫を受けた事で、全身に重度の火傷を負っていた。

「ひどい……なんでこんなに、酷い事が出来るの?」
 キーナさんが青白い顔をしながら身体を振るわせる。

「あいつ……あいつは絶対許せないわ」
 エストリアさんが復讐の炎を宿しながら断言する。

 僕達は、絶対ツァーリに負けないと更に強く心に誓うのだった。


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