チート(現代知識)×チート(魔法)×チート(武術)はチート∞(天災級)?!
第42話(能力制限の付与魔法)
僕達が地下施設から帰ってくると、丁度朝食の時間になっており、みんなが食堂に集まっていた。僕とオスローが装備品を抱えているのを見て、みんなが朝食の手を止めて近付いてくる。
その中でエストリアさんだけは気まずそうに少し離れていたけど。
「それが、話していた装備品か・・・ふむ、腕輪型なんだな」
腕輪は銀色の金属でできており、太めの腕輪と細めの腕輪の2種類がある。太い方の腕輪は男性の指二本分位の幅で精緻な文様が彫られていて、数は4つ。
細い方は女性の指一本分位の幅で草花をモチーフにした細工が彫られているのが3つある。
「もう使えるのかい?」
「ううん。これはただの腕輪なので、学校が終わってから、もう一作業必要になるかな」
「もう一作業?」
「うん。これに能力制限魔法を付与しないと」
「「「「「……」」」」」
……あ、あれ?僕また変なこと言っちゃった?!
「おーっ!今日もご飯がおいしいのだーっ!」
言葉を失うクラスメイトの中、翠だけはいつもと変わりのない食事風景を描いている。
「あ、あの。能力制限魔法を付与って……」
「アルカード君、まさか付与魔法まで……使えるのかい?」
みんなが言葉を失っている所、魔法に興味があるキーナさんと、いつも冷静なカイゼルさんだけが言葉を発する。
「あ、うん。な、何か、出来そうだなって……閃いた、というか……」
僕はしどろもどろになりながら答える。
「え、付与魔法は、そ、相当に希少な加護の、ま、魔法ですよね」
橙色の髪の奥の天色の瞳を輝かせながら興味津々なキーナさん。
「ただでさえ、尋常じゃない加護を有するアルカード君だが、さらに付与魔法までもか……だが、あの地下施設を創造したことも踏まえれば不思議ではない……か」
顎に手を当てながら、妙に納得したようにうなずくカイゼルさん。
「び、吃驚したけど。確かに地下施設を作ったコイツなら、驚くまでもなかったわね」
「まぁ、アルだしなー。流石にちょっと吃驚はしたけど」
見開いた眼をジト目に変えながら濃紺の瞳を向けてくるエストリアさんと、茶褐色の逆毛の後ろで手を組みながら、いつも通りのトーンで話すオスロー。
「あ、あはははは」
僕は頬をポリポリ掻きながら笑って誤魔化す。
「学校が終わってからと言ったか?まぁそう急ぐこともないだろうし、無理はするなよ」
こちらもいつもと変わらぬ表情と態度で落ち着いた黒目で見てくるウォルトさん。
そんな朝の一幕があり、その後学園に向かい授業を受けた僕は、寮に帰ると部屋で一人になる。同室のオスローは、帰ってくるなり「訓練してくるぜ」と地下施設に向かっていったからだ。
「さてと、じゃぁ始めようかな」
『まずは、魔法の媒体になる魔宝石の精製から始めた方がよいでしょう』
僕が腕まくりをして、付与の作業に入ろうとすると、眼鏡さんが話しかけてくる。
「魔宝石?」
聞きなれない言葉だったので、オウム返しに聞き替えす。
『魔法を永続的に発動する場合、何かを媒体にした方が都合がよいのですよ。特に宝石は強度や親和性の高さから重宝されるのです。以前お教えした<クリエイトストーン>の魔法の応用で行けます』
「あの水晶を作ったやつかな?」
『そうです。あの算術魔法のパラメータを変動させれば作られる宝石が変わります。ちなみに水晶も手軽に手に入る魔宝石の一つです。今回は自らに弱体をかける魔法になりますから、黒色の魔宝石である黒琥珀が良いでしょう』
どうやら僕が両親に見せてみた魔法の応用でよいらしい。
「えーっと、<エグゼキュート クリエイトストーン ジェット>でいいのかな?」
『そうですね。イメージがわかないとうまくいかないと思うので、龍爺さん宜しく頼みます』
『ふむ。ならば<鉱物生成 黒琥珀>』
龍爺さんが手に魔力を集中し、生成魔法を起動すると、龍爺さんの手に真っ黒で緩く光を反射する宝石が生成される。そして僕の頭の中に、黒琥珀と呼ばれる宝石の生成された由来や重さ、滑らかさ、触り心地が共有される。
「こうかな?……<エグゼキュート クリエイトストーン ジェット>」
僕は魔力を漲らせながら、魔法を起動する。すると無事に僕の手の中に、龍爺さんが作ったものと同じような宝石が生成される。
『そのままだと使いにくいので、いくつかの小さな球にしてください』
「じゃぁ……<エグゼキュート スプリットストーン>、<エグゼキュート ポリッシングストーン スフィア>」
先程と同じように魔力を漲らせて魔法を起動し、黒琥珀を分割し、球化する。
『これで下準備が終わりました。それでは付与と行きましょう』
僕の作った黒琥珀球の出来に満足しながら、眼鏡さんが次の工程を促す。
『まず、一つの魔宝石に付与できる魔法の数は一つです。そして付与できる文節の数は魔宝石の質と大きさに応じて増減します。先程作成した黒琥珀であれば、3文節くらいは入るでしょう』
眼鏡さんが簡単に付与の説明をしてくれる。また魔宝石には、魔法の相性があるみたいだ。
『今回使用する魔法は<負荷>の魔法です。対象のありとあらゆる行動に負荷をかけて、筋力/敏捷性/器用さ/イメージ力を低下させます。また制限をあえてかける為の魔導具ですので、消耗型で付与させましょう』
「消耗型?」
『はい。付与魔法の発動される為の魔力の運用の仕方の一つです。魔法を付与させたとしても魔力が必須になります。その魔力の運用方法は主に二種類ありまして、蓄積型と消耗型になります。蓄積型は魔力を一定量使用すると、術者が意識せずとも使用した魔力が枯渇するまで発動し続けます。逆に消耗型ですが、こちらは常に魔力を消費し続ける代わりに、術者の魔力が枯渇するまで永続的に発動します。使用魔力量が自然回復量を下回っている場合は、実質無限に発動し続けられる訳です』
「なるほど、じゃぁこの腕輪を発動させると筋力/敏捷性/器用さ/イメージ力が低下すると共に、魔力をも消費し続けるという事だね」
スペックだけ見ると、まるで呪いの魔導具のようだ。
『その通りです。今回はその<負荷>の魔法を使った魔宝石を腕輪一つに対し、4つ使います。<負荷>を重複起動させることにより、最大4段階の能力制限をかけられるようにしましょう。そちらの世界で魔法を刻む際には、算術魔法の定義は使えません。変換できませんからね。なので、そちらの方式に合わせる必要があります。幸い付与句は使えるので、<エグゼキュート エンチャント ジュエル>で付与を起動させ、直後に<負荷>の魔法を埋め込みます。<負荷>魔法をそちらで使うとすると、「自分自身に、負荷を!」ですね』
相変わらず何を言っているのかわからないけど、僕は眼鏡さんの言う通りに魔法を起動してみる。
「えっと、<エグゼキュート エンチャント ジュエル>」
僕が黒琥珀を一つ手に持ったままで魔法を起動する。すると、手のひらに乗せている黒琥珀の周りが虹色の光を帯びて明滅する。
「自分自身に、負荷を!」
次にこの世界の言語魔法を実行すると、黒琥珀を包む光が一層強く輝き、虹色の光が白と紫の2つの伸縮を繰り返す光の輪になり、クルクル回り始める。
そしてその円の内側に魔法陣らしき線が描かれていき、そのまま黒琥珀の中に吸い込まれていくと、黒琥珀が目も眩むような強力な光を発っする。
思わず目を閉じてしまった僕だが、恐る恐る目を開けてみると、黒琥珀の光は収まっていた。よくよく黒琥珀の中を見てみると複雑な文様で魔法陣の様なものが刻み込まれているのが見えた。
『おそらく完成しています。試しに魔力を通してみて下さい』
「あ、うん。」
僕は眼鏡さんに促されるままに、黒琥珀に魔力を通すと、ズンッといった感覚と共に、身体に相当な負荷がかかる。手を動かしてみると、まるで水の中で手を動かす時のように抵抗を感じる。さらに流している魔力だが、どこか引っかかる感じで、今までのようにうまく魔力が放出できなくなっている。
魔力を流すのを止めると、身体は普通に動き、頭も晴れやかになる。
「うまく出来たみたいです」
『そうみたいですね。一瞬我々との接続も少し乱れたように感じましたので、イメージ力の低下も伴っているようです』
こうして僕は、必要な分の黒琥珀の魔宝石を作っていく。そして魔晶石に特定の加工を施した誘引魔宝石も作成する。
これは腕輪に接している身体から魔力を腕輪に引き込む為に必要な魔宝石であり、これがないと魔力を腕輪に流し込む際に、無駄に大きな魔力を放出する必要が出てくるし、思い通りに魔術効果を連動させることができない。
魔力を欠損させずに誘引させることだけが目的かつ、腕輪の見た目の象徴にもなる魔宝石になるので、形や色を改造する。
『次は魔術回路の作成ですね。基本的な魔術回路の溝は彫り込まれていますので、使用したい魔術回路の溝に魔導体を流し込むのです』
眼鏡さんの説明を聞きながら、腕輪の裏を見てみると、確かに細い溝がびっしり彫られている。
『魔導体は青銀鉱と魔晶石を破砕/化合して作ります』
僕は眼鏡さんに促されるままに<クリエイトストーン>で青銀鉱と魔晶石を生み出し、それを破砕と化合の魔法を使い、微細な粉状の魔導体を作り上げていく。
次に腕輪の裏側の魔術回路を導引の魔法をかけた細い棒でなぞっていく。
導引の魔法は、一定の時間の間、物体をその場所に引き付ける力を発生させるので、導引された場所に微細な粉状の魔導体を振りかけると、勝手に魔導体が溝に集まるので、大目に振りかけた後腕輪を逆さまにして振ると、余計な魔導体が振り落とされる仕組みだ。
そして、魔術回路の起点の位置に誘引魔宝石を埋め込み、そこから延びる魔術回路の所々に空いている穴に魔宝石をはめ込んでいく。改造した誘引魔宝石は、穴を加工する必要があったけど、他は丁度かちりとはめ込めるサイズだったので、手間をかけることなく作業を終わらせる。
最後に定着の魔法をかけて、誘引魔宝石、魔導体、魔宝石を定着させる。
こうして<負荷>の効果が埋め込まれた腕輪が完成する。腕輪にはまだいくつからの穴が開いているので、後から他の魔宝石を埋め込むことも可能だ。
『使い方としては、まず腕輪を腕に通します。宝石の台座には突起と、それを囲むような数字が刻まれている輪が二つありますよね。内側の輪の台座の突起と数字を合わせると、魔力が引き込まれて<負荷>の魔法が起動します。数字が大きくなるほど、<負荷>の魔法が重複発動するので、負荷が倍増します。解除するときは台座の突起を<0>の所に合わせて下さい。おそらく1段階ごとにランク1つ分の負荷がかかると思います。つまりCランクの強さがある場合、1の負荷をかけるとDランク相当に、2の負荷をかけるとEランク相当になると思ってください』
僕は眼鏡さんの教えてくれた通り、腕輪に腕を通し、台座の突起を<1>の所に動かす。カチリとハマる感触がした瞬間、先ほど黒琥珀に魔力を通した時と同じ負荷が僕にかかる。
1個目の腕輪が完成し、テストをしていると、訓練場での訓練を終えたオスローが部屋に入ってくる。
「お、出来たのか?」
僕の腕にはまった腕輪を目敏く見つけたオスローが興味津々に聞いてくる。
「うん。とりあえず1個だけど」
「とりあえず1個って。この短期間で付与装備を1つ開発するとか、異常な速度だと思うが」
「そう?いくつか魔宝石を作って、既存の魔術回路を魔導体で有効化したくらいだよ」
「ごめん。何言っているのかわからん。とりあえず、オレも使ってみていいか?」
「うん」
僕は腕輪の目盛りを<0>に戻してからオスローに渡し、使い方を説明する。
「ぐっ!」
急に全身にかかった負荷にオスローが声を漏らす。
「こ、これ、結構来るな」
オスローが身体を動かしているが、目に見えて反応が悪くなっている。
「早く動かそうとすると、相当筋肉に負荷がかかるみたいだから、筋力アップのトレーニングとかにもよさそうかもしれないな」
軽く拳打を繰り出してみながらオスローがそうコメントして、<負荷>を解除する。
「おー、軽い軽い」
負荷がなくなったオスローが元気に軽く飛び跳ねる。
「なるほどな、これはこれで能力を制限しながらも、更に上を目指す身体が出来そうだから有効っぽいな。ま、飯ついでにみんなに見せに行くか」
オスローはそう言うと、僕に腕輪を手渡し、一緒に食堂に向かうのだった。
僕達が食堂に着くと、続々とみんなが降りてきて、交替で腕輪を装備し<負荷>を試してみる。
「これは常時負荷が掛かっているので、逆によい訓練になりそうだ」
腕輪を体験したウォルトさんがその状態で腕を曲げたりして負荷を実感している。
「おぉぉぉぉ!!なんか身体が重いのだー!!!」
負荷を3つかけた翠が、超嬉しそうにノロノロと歩いている。そんな相変わらず翠を見て、みんなから笑顔がこぼれる。
「とりあえず、この能力制限の腕輪なら、私達が相当強くなっても、それを隠して学園生活が送れそうだな。まぁ、これを作ったオーバースペックな技術は置いておいて、助かったよアルカード君。無理しない範囲で、全員分宜しく頼む」
カイゼルさんがにこやかな中に重々しい雰囲気を纏わせながら、僕に依頼してくる。そしてエストリアさんは相変わらずジト目で僕の方を見てくる。
確かにオーバースペック……だよな、これ。
夕食後部屋に戻った僕は、メンバー分の残り6つを一気に組み上げる為に作業に着手する。もう手順はわかっていたので、スムーズに組み上げていく僕の作業を見たオスローが目を真ん丸にして驚いていた。
「使っている魔法がわけわからないし、作業は細かいし、オレには無理だな」
オスローはそう言いながら、ベットに横になると、あっという間に寝息を立て始めてしまう。
静かになった部屋の中で、僕が作業するカチャカチャという音だけがしばらく響いていた。
何とか夜更け前までに製造を終えた僕は、少しだけ睡眠をとって朝を迎える。そして朝食時にみんなに腕輪を渡すと驚いた顔をされる。
「無理しない範囲でと言ったのだがな。まさか今朝には出来ているとは、とんでもない製造速度だな」
カイゼルさんはそう言いながら、呆れ半分、心配半分といった顔で僕を見てくる。
「アンタ、目の下に隈が出来てるわよ。相変わらず無茶して」
「あはははは。すぐに必要かなと思ったからさ」
エストリアさんがちょっと怒りを含む口調で叱ってくるので、僕は笑って誤魔化す。
そして腕輪をつけたまま1日講義を受けてみたが、予想以上にしんどい事が分かった。無意識に力を入れようとすると、全てに制限が掛かるからだ。
普通にペンを使う、食事をするなどのように小さな力しか使わない普通の作業に関しては、大した負荷にはならないが、走る、投げるなどの身体を使う大きな動作を行った際には、強い負荷を感じる。
例えば、掃除の為に机を動かそうと持ち上げようとする、ゴミをくずかごに投げ込もうとする等でも、大きな負荷がかかる。
特に武術実践の授業が辛かった。ランニングや素振り、模擬戦など、いつも通りに動けなくて、周回ランニングもほぼ同着だったし、素振りも50回でへとへとだった。そして、それを見ていたゴルドー先生が不思議な顔をしていた。
でも模擬戦に関しては、負荷の量を調整すれば、同格になるので接戦になる。特にオスロー vs 翠などの試合が面白い。
「うぉぉぉぉっ!!」
オスローが斧槍を水平に薙ぐ。
負荷がかかる前までは、簡単に軽やかに躱していた翠が、躱せないと判断し腕で防御すると、薙ぎの勢いで数歩後ずさる。
オスローがそのまま斧槍を引き付けて二撃目に入る構えの動作にあわせて、翠が懐に潜り込もうとすると、オスローは斧槍を反転させ石突で迎撃しようとする。
「しょうりゅうげき!なのだ!!」
接近戦が得意な翠は、その攻撃を予測していたのか、簡単に避けると、必殺の拳撃を放つ。
オスローは食らったらやばいと、避けられた斧槍を素早く手繰り寄せて柄で受けるが、衝撃を殺しきれずに足元が軽く浮き無防備になる。
そこに、昇竜撃の上へ向かう力を利用して、翠がバク転蹴りを放つとオスローの股間に吸い込まれるように蹴りが入り、オスローは斜め上方に吹っ飛んでしまう。
吹っ飛んだ先では、蹴られたところを押さえて内股気味に地面を転がり、目に涙を溜めながら悶絶するオスローの姿があった。
……制限かかってなかったら潰れてたんじゃないか?あれ……
「なんか、ごめんなのだ」
悶絶するオスローに、翠がうつむき加減に謝ると、オスローは転がりながらも大丈夫、大丈夫なはず……と呻いていた。
僕はウォルトさんと模擬戦を行ったが、ウォルトさんの両手剣が繰り出す上段からの重い連戟を防御して腕が上がらなくなった所に、袈裟斬りフェイントからの横薙ぎの一撃を受けて、負けてしまった。
ウォルトさんは負荷の掛かり方を把握し、最適な威力・速度での剣戟を放っていたが、僕は力のコントロールが出来ずに無駄な力が入ってしまい精彩を欠いたのが敗因だったと思う。
『要は力の入れ所っていうやつを常に把握して行動すればいいわけだが……坊主は今まで適当だったからなぁ』
負けた僕に筋肉さんがコメントをしてくれる。次はもっと頑張ろう。
でも、少しずつではあるけど、負荷とのうまい付き合い方が判ってきた気がしてきた。
そんな風に負荷をかけての一日を過ごした僕達だが、明日は初めての休日になる。みんなはどこかに出かけるのだろうかと思いながら、学校を後にするのだった。
その中でエストリアさんだけは気まずそうに少し離れていたけど。
「それが、話していた装備品か・・・ふむ、腕輪型なんだな」
腕輪は銀色の金属でできており、太めの腕輪と細めの腕輪の2種類がある。太い方の腕輪は男性の指二本分位の幅で精緻な文様が彫られていて、数は4つ。
細い方は女性の指一本分位の幅で草花をモチーフにした細工が彫られているのが3つある。
「もう使えるのかい?」
「ううん。これはただの腕輪なので、学校が終わってから、もう一作業必要になるかな」
「もう一作業?」
「うん。これに能力制限魔法を付与しないと」
「「「「「……」」」」」
……あ、あれ?僕また変なこと言っちゃった?!
「おーっ!今日もご飯がおいしいのだーっ!」
言葉を失うクラスメイトの中、翠だけはいつもと変わりのない食事風景を描いている。
「あ、あの。能力制限魔法を付与って……」
「アルカード君、まさか付与魔法まで……使えるのかい?」
みんなが言葉を失っている所、魔法に興味があるキーナさんと、いつも冷静なカイゼルさんだけが言葉を発する。
「あ、うん。な、何か、出来そうだなって……閃いた、というか……」
僕はしどろもどろになりながら答える。
「え、付与魔法は、そ、相当に希少な加護の、ま、魔法ですよね」
橙色の髪の奥の天色の瞳を輝かせながら興味津々なキーナさん。
「ただでさえ、尋常じゃない加護を有するアルカード君だが、さらに付与魔法までもか……だが、あの地下施設を創造したことも踏まえれば不思議ではない……か」
顎に手を当てながら、妙に納得したようにうなずくカイゼルさん。
「び、吃驚したけど。確かに地下施設を作ったコイツなら、驚くまでもなかったわね」
「まぁ、アルだしなー。流石にちょっと吃驚はしたけど」
見開いた眼をジト目に変えながら濃紺の瞳を向けてくるエストリアさんと、茶褐色の逆毛の後ろで手を組みながら、いつも通りのトーンで話すオスロー。
「あ、あはははは」
僕は頬をポリポリ掻きながら笑って誤魔化す。
「学校が終わってからと言ったか?まぁそう急ぐこともないだろうし、無理はするなよ」
こちらもいつもと変わらぬ表情と態度で落ち着いた黒目で見てくるウォルトさん。
そんな朝の一幕があり、その後学園に向かい授業を受けた僕は、寮に帰ると部屋で一人になる。同室のオスローは、帰ってくるなり「訓練してくるぜ」と地下施設に向かっていったからだ。
「さてと、じゃぁ始めようかな」
『まずは、魔法の媒体になる魔宝石の精製から始めた方がよいでしょう』
僕が腕まくりをして、付与の作業に入ろうとすると、眼鏡さんが話しかけてくる。
「魔宝石?」
聞きなれない言葉だったので、オウム返しに聞き替えす。
『魔法を永続的に発動する場合、何かを媒体にした方が都合がよいのですよ。特に宝石は強度や親和性の高さから重宝されるのです。以前お教えした<クリエイトストーン>の魔法の応用で行けます』
「あの水晶を作ったやつかな?」
『そうです。あの算術魔法のパラメータを変動させれば作られる宝石が変わります。ちなみに水晶も手軽に手に入る魔宝石の一つです。今回は自らに弱体をかける魔法になりますから、黒色の魔宝石である黒琥珀が良いでしょう』
どうやら僕が両親に見せてみた魔法の応用でよいらしい。
「えーっと、<エグゼキュート クリエイトストーン ジェット>でいいのかな?」
『そうですね。イメージがわかないとうまくいかないと思うので、龍爺さん宜しく頼みます』
『ふむ。ならば<鉱物生成 黒琥珀>』
龍爺さんが手に魔力を集中し、生成魔法を起動すると、龍爺さんの手に真っ黒で緩く光を反射する宝石が生成される。そして僕の頭の中に、黒琥珀と呼ばれる宝石の生成された由来や重さ、滑らかさ、触り心地が共有される。
「こうかな?……<エグゼキュート クリエイトストーン ジェット>」
僕は魔力を漲らせながら、魔法を起動する。すると無事に僕の手の中に、龍爺さんが作ったものと同じような宝石が生成される。
『そのままだと使いにくいので、いくつかの小さな球にしてください』
「じゃぁ……<エグゼキュート スプリットストーン>、<エグゼキュート ポリッシングストーン スフィア>」
先程と同じように魔力を漲らせて魔法を起動し、黒琥珀を分割し、球化する。
『これで下準備が終わりました。それでは付与と行きましょう』
僕の作った黒琥珀球の出来に満足しながら、眼鏡さんが次の工程を促す。
『まず、一つの魔宝石に付与できる魔法の数は一つです。そして付与できる文節の数は魔宝石の質と大きさに応じて増減します。先程作成した黒琥珀であれば、3文節くらいは入るでしょう』
眼鏡さんが簡単に付与の説明をしてくれる。また魔宝石には、魔法の相性があるみたいだ。
『今回使用する魔法は<負荷>の魔法です。対象のありとあらゆる行動に負荷をかけて、筋力/敏捷性/器用さ/イメージ力を低下させます。また制限をあえてかける為の魔導具ですので、消耗型で付与させましょう』
「消耗型?」
『はい。付与魔法の発動される為の魔力の運用の仕方の一つです。魔法を付与させたとしても魔力が必須になります。その魔力の運用方法は主に二種類ありまして、蓄積型と消耗型になります。蓄積型は魔力を一定量使用すると、術者が意識せずとも使用した魔力が枯渇するまで発動し続けます。逆に消耗型ですが、こちらは常に魔力を消費し続ける代わりに、術者の魔力が枯渇するまで永続的に発動します。使用魔力量が自然回復量を下回っている場合は、実質無限に発動し続けられる訳です』
「なるほど、じゃぁこの腕輪を発動させると筋力/敏捷性/器用さ/イメージ力が低下すると共に、魔力をも消費し続けるという事だね」
スペックだけ見ると、まるで呪いの魔導具のようだ。
『その通りです。今回はその<負荷>の魔法を使った魔宝石を腕輪一つに対し、4つ使います。<負荷>を重複起動させることにより、最大4段階の能力制限をかけられるようにしましょう。そちらの世界で魔法を刻む際には、算術魔法の定義は使えません。変換できませんからね。なので、そちらの方式に合わせる必要があります。幸い付与句は使えるので、<エグゼキュート エンチャント ジュエル>で付与を起動させ、直後に<負荷>の魔法を埋め込みます。<負荷>魔法をそちらで使うとすると、「自分自身に、負荷を!」ですね』
相変わらず何を言っているのかわからないけど、僕は眼鏡さんの言う通りに魔法を起動してみる。
「えっと、<エグゼキュート エンチャント ジュエル>」
僕が黒琥珀を一つ手に持ったままで魔法を起動する。すると、手のひらに乗せている黒琥珀の周りが虹色の光を帯びて明滅する。
「自分自身に、負荷を!」
次にこの世界の言語魔法を実行すると、黒琥珀を包む光が一層強く輝き、虹色の光が白と紫の2つの伸縮を繰り返す光の輪になり、クルクル回り始める。
そしてその円の内側に魔法陣らしき線が描かれていき、そのまま黒琥珀の中に吸い込まれていくと、黒琥珀が目も眩むような強力な光を発っする。
思わず目を閉じてしまった僕だが、恐る恐る目を開けてみると、黒琥珀の光は収まっていた。よくよく黒琥珀の中を見てみると複雑な文様で魔法陣の様なものが刻み込まれているのが見えた。
『おそらく完成しています。試しに魔力を通してみて下さい』
「あ、うん。」
僕は眼鏡さんに促されるままに、黒琥珀に魔力を通すと、ズンッといった感覚と共に、身体に相当な負荷がかかる。手を動かしてみると、まるで水の中で手を動かす時のように抵抗を感じる。さらに流している魔力だが、どこか引っかかる感じで、今までのようにうまく魔力が放出できなくなっている。
魔力を流すのを止めると、身体は普通に動き、頭も晴れやかになる。
「うまく出来たみたいです」
『そうみたいですね。一瞬我々との接続も少し乱れたように感じましたので、イメージ力の低下も伴っているようです』
こうして僕は、必要な分の黒琥珀の魔宝石を作っていく。そして魔晶石に特定の加工を施した誘引魔宝石も作成する。
これは腕輪に接している身体から魔力を腕輪に引き込む為に必要な魔宝石であり、これがないと魔力を腕輪に流し込む際に、無駄に大きな魔力を放出する必要が出てくるし、思い通りに魔術効果を連動させることができない。
魔力を欠損させずに誘引させることだけが目的かつ、腕輪の見た目の象徴にもなる魔宝石になるので、形や色を改造する。
『次は魔術回路の作成ですね。基本的な魔術回路の溝は彫り込まれていますので、使用したい魔術回路の溝に魔導体を流し込むのです』
眼鏡さんの説明を聞きながら、腕輪の裏を見てみると、確かに細い溝がびっしり彫られている。
『魔導体は青銀鉱と魔晶石を破砕/化合して作ります』
僕は眼鏡さんに促されるままに<クリエイトストーン>で青銀鉱と魔晶石を生み出し、それを破砕と化合の魔法を使い、微細な粉状の魔導体を作り上げていく。
次に腕輪の裏側の魔術回路を導引の魔法をかけた細い棒でなぞっていく。
導引の魔法は、一定の時間の間、物体をその場所に引き付ける力を発生させるので、導引された場所に微細な粉状の魔導体を振りかけると、勝手に魔導体が溝に集まるので、大目に振りかけた後腕輪を逆さまにして振ると、余計な魔導体が振り落とされる仕組みだ。
そして、魔術回路の起点の位置に誘引魔宝石を埋め込み、そこから延びる魔術回路の所々に空いている穴に魔宝石をはめ込んでいく。改造した誘引魔宝石は、穴を加工する必要があったけど、他は丁度かちりとはめ込めるサイズだったので、手間をかけることなく作業を終わらせる。
最後に定着の魔法をかけて、誘引魔宝石、魔導体、魔宝石を定着させる。
こうして<負荷>の効果が埋め込まれた腕輪が完成する。腕輪にはまだいくつからの穴が開いているので、後から他の魔宝石を埋め込むことも可能だ。
『使い方としては、まず腕輪を腕に通します。宝石の台座には突起と、それを囲むような数字が刻まれている輪が二つありますよね。内側の輪の台座の突起と数字を合わせると、魔力が引き込まれて<負荷>の魔法が起動します。数字が大きくなるほど、<負荷>の魔法が重複発動するので、負荷が倍増します。解除するときは台座の突起を<0>の所に合わせて下さい。おそらく1段階ごとにランク1つ分の負荷がかかると思います。つまりCランクの強さがある場合、1の負荷をかけるとDランク相当に、2の負荷をかけるとEランク相当になると思ってください』
僕は眼鏡さんの教えてくれた通り、腕輪に腕を通し、台座の突起を<1>の所に動かす。カチリとハマる感触がした瞬間、先ほど黒琥珀に魔力を通した時と同じ負荷が僕にかかる。
1個目の腕輪が完成し、テストをしていると、訓練場での訓練を終えたオスローが部屋に入ってくる。
「お、出来たのか?」
僕の腕にはまった腕輪を目敏く見つけたオスローが興味津々に聞いてくる。
「うん。とりあえず1個だけど」
「とりあえず1個って。この短期間で付与装備を1つ開発するとか、異常な速度だと思うが」
「そう?いくつか魔宝石を作って、既存の魔術回路を魔導体で有効化したくらいだよ」
「ごめん。何言っているのかわからん。とりあえず、オレも使ってみていいか?」
「うん」
僕は腕輪の目盛りを<0>に戻してからオスローに渡し、使い方を説明する。
「ぐっ!」
急に全身にかかった負荷にオスローが声を漏らす。
「こ、これ、結構来るな」
オスローが身体を動かしているが、目に見えて反応が悪くなっている。
「早く動かそうとすると、相当筋肉に負荷がかかるみたいだから、筋力アップのトレーニングとかにもよさそうかもしれないな」
軽く拳打を繰り出してみながらオスローがそうコメントして、<負荷>を解除する。
「おー、軽い軽い」
負荷がなくなったオスローが元気に軽く飛び跳ねる。
「なるほどな、これはこれで能力を制限しながらも、更に上を目指す身体が出来そうだから有効っぽいな。ま、飯ついでにみんなに見せに行くか」
オスローはそう言うと、僕に腕輪を手渡し、一緒に食堂に向かうのだった。
僕達が食堂に着くと、続々とみんなが降りてきて、交替で腕輪を装備し<負荷>を試してみる。
「これは常時負荷が掛かっているので、逆によい訓練になりそうだ」
腕輪を体験したウォルトさんがその状態で腕を曲げたりして負荷を実感している。
「おぉぉぉぉ!!なんか身体が重いのだー!!!」
負荷を3つかけた翠が、超嬉しそうにノロノロと歩いている。そんな相変わらず翠を見て、みんなから笑顔がこぼれる。
「とりあえず、この能力制限の腕輪なら、私達が相当強くなっても、それを隠して学園生活が送れそうだな。まぁ、これを作ったオーバースペックな技術は置いておいて、助かったよアルカード君。無理しない範囲で、全員分宜しく頼む」
カイゼルさんがにこやかな中に重々しい雰囲気を纏わせながら、僕に依頼してくる。そしてエストリアさんは相変わらずジト目で僕の方を見てくる。
確かにオーバースペック……だよな、これ。
夕食後部屋に戻った僕は、メンバー分の残り6つを一気に組み上げる為に作業に着手する。もう手順はわかっていたので、スムーズに組み上げていく僕の作業を見たオスローが目を真ん丸にして驚いていた。
「使っている魔法がわけわからないし、作業は細かいし、オレには無理だな」
オスローはそう言いながら、ベットに横になると、あっという間に寝息を立て始めてしまう。
静かになった部屋の中で、僕が作業するカチャカチャという音だけがしばらく響いていた。
何とか夜更け前までに製造を終えた僕は、少しだけ睡眠をとって朝を迎える。そして朝食時にみんなに腕輪を渡すと驚いた顔をされる。
「無理しない範囲でと言ったのだがな。まさか今朝には出来ているとは、とんでもない製造速度だな」
カイゼルさんはそう言いながら、呆れ半分、心配半分といった顔で僕を見てくる。
「アンタ、目の下に隈が出来てるわよ。相変わらず無茶して」
「あはははは。すぐに必要かなと思ったからさ」
エストリアさんがちょっと怒りを含む口調で叱ってくるので、僕は笑って誤魔化す。
そして腕輪をつけたまま1日講義を受けてみたが、予想以上にしんどい事が分かった。無意識に力を入れようとすると、全てに制限が掛かるからだ。
普通にペンを使う、食事をするなどのように小さな力しか使わない普通の作業に関しては、大した負荷にはならないが、走る、投げるなどの身体を使う大きな動作を行った際には、強い負荷を感じる。
例えば、掃除の為に机を動かそうと持ち上げようとする、ゴミをくずかごに投げ込もうとする等でも、大きな負荷がかかる。
特に武術実践の授業が辛かった。ランニングや素振り、模擬戦など、いつも通りに動けなくて、周回ランニングもほぼ同着だったし、素振りも50回でへとへとだった。そして、それを見ていたゴルドー先生が不思議な顔をしていた。
でも模擬戦に関しては、負荷の量を調整すれば、同格になるので接戦になる。特にオスロー vs 翠などの試合が面白い。
「うぉぉぉぉっ!!」
オスローが斧槍を水平に薙ぐ。
負荷がかかる前までは、簡単に軽やかに躱していた翠が、躱せないと判断し腕で防御すると、薙ぎの勢いで数歩後ずさる。
オスローがそのまま斧槍を引き付けて二撃目に入る構えの動作にあわせて、翠が懐に潜り込もうとすると、オスローは斧槍を反転させ石突で迎撃しようとする。
「しょうりゅうげき!なのだ!!」
接近戦が得意な翠は、その攻撃を予測していたのか、簡単に避けると、必殺の拳撃を放つ。
オスローは食らったらやばいと、避けられた斧槍を素早く手繰り寄せて柄で受けるが、衝撃を殺しきれずに足元が軽く浮き無防備になる。
そこに、昇竜撃の上へ向かう力を利用して、翠がバク転蹴りを放つとオスローの股間に吸い込まれるように蹴りが入り、オスローは斜め上方に吹っ飛んでしまう。
吹っ飛んだ先では、蹴られたところを押さえて内股気味に地面を転がり、目に涙を溜めながら悶絶するオスローの姿があった。
……制限かかってなかったら潰れてたんじゃないか?あれ……
「なんか、ごめんなのだ」
悶絶するオスローに、翠がうつむき加減に謝ると、オスローは転がりながらも大丈夫、大丈夫なはず……と呻いていた。
僕はウォルトさんと模擬戦を行ったが、ウォルトさんの両手剣が繰り出す上段からの重い連戟を防御して腕が上がらなくなった所に、袈裟斬りフェイントからの横薙ぎの一撃を受けて、負けてしまった。
ウォルトさんは負荷の掛かり方を把握し、最適な威力・速度での剣戟を放っていたが、僕は力のコントロールが出来ずに無駄な力が入ってしまい精彩を欠いたのが敗因だったと思う。
『要は力の入れ所っていうやつを常に把握して行動すればいいわけだが……坊主は今まで適当だったからなぁ』
負けた僕に筋肉さんがコメントをしてくれる。次はもっと頑張ろう。
でも、少しずつではあるけど、負荷とのうまい付き合い方が判ってきた気がしてきた。
そんな風に負荷をかけての一日を過ごした僕達だが、明日は初めての休日になる。みんなはどこかに出かけるのだろうかと思いながら、学校を後にするのだった。
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