チート(現代知識)×チート(魔法)×チート(武術)はチート∞(天災級)?!

もるもる(๑˙ϖ˙๑ )

第37話(とんでもない訓練施設が出来ちゃった)

 僕が食堂に現れると、皆の視線が集中する。

「元気そうね。良かったわ」
 エストリアさんが優しさと安堵が混ざった表情を向けてくる。

「心配してくれてありがとう」
「ク、クラスメイトだから心配しただけよ!」
 僕がにこやかに返すと、顔を真っ赤にして強い拍子で否定しながら、そっぽを向いてしまう。

「お前も大変なのに目をつけられてるよな」
 何か嫌われてるのかなと思いながら席に着くと、オスローがニヤニヤと笑みを浮かべて僕を見ながら朝食を口に頬張りつつ喋る。

「倒れてしまったようだが、うまくいったのかい?」
 カイゼルさんが優雅にナイフとフォークでオムレツを食しながら言う。

「うん、一応設備のおおよそは出来て、基幹システムっていうのを起動させてきた。今日の夕方くらいには使えるようになるかもしれない……はず」
 カイゼルさんの質問にそう答える。

「い。一体、何を、ど、どうしたら、そんな事が、できるのでしょうか?」
 キーナさんがオドオドと問い掛けてきて、恐らくみんなが疑問に思っている事だなぁとは思うけど、両親からも口止めされてるから話せないんだよね。

「よくわからないんだけど、僕が困ると魔法の使い方が閃いたりするんだ」
 ぼくはそんな曖昧な答えでお茶を濁す。

「閃き……ですか。た、確かに私も、魔術とか閃く時もある……かな」
 まぁ誤魔化せたかどうかは微妙だけど、一応納得はしてくれたみたいだ。

 今日は魔術概論がなくなった分、1日中座学になるので気合いを入れていこうと、僕達はみんな揃って登校する。

 座学も分かってくると楽しいもので、アインルウム同盟国がどうして生まれたのかをみんなで多角的に捉えて分析して発表してみたり、難しい計算を解いてみたり、戦争の起こりと終息の条件を調べてみたりとただ教えてもらうだけではなく、考えて発表すると時間があっという間に過ぎていく。

 座学だと、エストリアさん、キーナさん、カイゼルさんが特に優秀で歴史、軍略、計算と色々な視点の考えや解析、解答を導き出していた。こと計算にかけてはイーリスさんが抜群だった。

『概ね完了したようです。みんなを連れて行っても良いですよ。あぁ、そうそう武具も服も基本的には用意されているので、手ぶらでかまいません』
 座学を終えた僕達が寮に戻りながら歩いていると眼鏡さんが状況を教えてくれるので、僕がその旨をみんなに伝える。一度寮に返ったら取り敢えず鞄だけ置いて、みんなで地下倉庫に集まる事にする。

「これは自動昇降機と言って、この▼型の水晶に触れると昇降機が昇ってくるんだ」
「なるほど、こうか?」
 僕の説明を聞いたオスローが、▼型の水晶に触れると反応して、▼型の水晶が緑色に強く輝く。すると直ぐに扉が開いてみんなで乗り込む。
 中は広いので、8人が乗ってもまだまだ余裕があり、最大20人くらい乗れそうな感じだ。

「ワクワクするのだー!」
 翠が探検気分でニコニコしながら飛び跳ねている。昇降機で飛び跳ねると危ないんだけどな……

 昇降機が動き出し数秒の浮遊感を味わうとチーンという音と共に昇降機が止まる。そして扉が開き、その扉から見えた風景に僕を始めみんなが驚嘆のため息をつく。

 昇降機から降りた先は、昼間のように明るい。というのも10mくらい上の天井の中央には金と水晶をふんだんに使ったシャンデリアが吊り下げられており、シャンデリアの根元付近に埋まっている数個の大きな水晶柱の光を、シャンデリアの水晶が集光しプリズム効果で七色の光を散りばめながらキラキラと輝き照らしているからだ。
 壁は1辺ずつが一枚板で継ぎ目なく天井まで伸びており、磨き上げられて鏡のようになった真っ黒い石で出来ている。
 部屋の中央には水場があり甕を持った女性の像の甕の部分から水が流れ出し、清涼な雰囲気を醸し出している。
 そして噴水脇には執事っぽい形の魔導人形ゴーレムとメイドっぽい形の魔導人形ゴーレムが直立していた。

 僕らが全員が昇降機から降りると、2体の魔導人形が反応してお辞儀をして、執事型の魔導人形が挨拶をする。
<ようこそいらっしゃいました。我が主マイマスターと御友人方>

「ねぇ、アルカード君。これは一体何なの?!」
 エストリアさんが聞いてくるけど、僕にも何が何だかわからない。

<私共は我が主マイマスターにて創造クリエイトされた魔導人形になります。主な役割は魔導人形によって違いますが、案内/清掃/整備/製造/採掘/採取/戦闘等になります。>
 その問いに答えるようにメイド型の魔導人形が説明を始める。

「ちょ……これは、一体何だ?!」
 カイゼルさんも予想外すぎる出来事に言葉をなくしている

<ここはロビーになりまして、まずは各施設を案内させていただきます。まず皆様からみて右側の扉、自動昇降機エレベータ側から、男性浴室、女性浴室、鍛冶場となっております。正面には訓練施設用のホールに続く扉がございますので、後ほどご案内させていただきます。そして左側の扉、自動昇降機側から、加工場、集中管制室、魔導人形プラントとなります。魔導人形プラントは危険ですので近付かない方がよろしいかと存じます>

「しゃ、喋る魔導人形なんて……聞いた事ないです……」
 いろいろな知識があるキーナさんも、ありえない状況に唖然としている。

「それにこの部屋でそこらかしこに使われとる装飾品……全部希少金属レアメタルやで一体幾らになるのか想像もつかへん」
 イーリスさんが商売人らしい感想を漏らす。

<では、訓練施設にご案内いたしましょう。付いてきて頂けますでしょうか?>
 僕達は呆然としながら執事型魔導人形に案内されて正面の扉の前に立つと、扉が自動で左右に分かれる。扉の先は緩やかな昇り階段状のまっすぐな通路が伸びており、左右の水晶が順次点灯し通路を明るく照らし出す。

 通路の先にはまた扉があり、自動で開く。部屋はさっきのロビーと同じ大きさで、部屋の形も八角形になっていて部屋の中心には大きな柱が立っており、幾つもの水色に発光する線が模様のように走っている。

<ここが訓練施設用のロビーになっておりまして、右手前側から、男性用武具倉庫、物理戦闘施設1、物理戦闘施設2になります。正面が集団戦闘施設になり、左手前側から、女性用武具倉庫、魔法戦闘施設1、魔法戦闘施設2になっております。お着替えなどは武具倉庫にスペースがありますのでご活用頂ければと存じます>

「もう、びっくりしすぎて何がなんだか……もう驚けないわ」
 エストリアさんが溜め息をつきながらボヤく。

 僕もびっくりしすぎて疲れてしまったけど、各施設はもっととんでもない物だった。

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