チート(現代知識)×チート(魔法)×チート(武術)はチート∞(天災級)?!

もるもる(๑˙ϖ˙๑ )

第36話(レッツクリエイト!地下訓練施設)

 寮に着いた僕は、ちょっと一人になりたいと言って、みんなから離れ空き地に座っていた。

『少年、大体のイメージは出来ましたが、資材が足りるかどうか分からないので、ここら辺にある物質マテリアルを探知してくれますか?』
 眼鏡さんがそう依頼してくる。

<エグゼキュート ディティールサーチ ワイドマップ マテリアル>
 僕は依頼に応えるために算術魔法を起動すると僕の右目に周辺地図が表示され、様々な色の点が現れると、眼鏡さんが満足げに頷く。

『この世界は鉱石の宝庫ですね。相当地中に良い鉱石が埋まっています。これなら問題ないでしょう。入り口は寮の中の方が良いですから……地下倉庫の壁あたりに設置しましょうか』
 眼鏡さんの考えがまとまったようなので寮の中に戻る。寮の中のロビーではカイゼルさんとグレイスさんが話をしていた。

「アルカード君。寮を改造する許可は伝えておいたので、存分にやってくれたまえ」
「エレン学園長からの指示書は受領しました。どちらに設置なさるのですか?」
 カイゼルさんの依頼に了承したグレイスさんが尋ねてくる。

「地下倉庫あたりがいいんですが」
「なるほど、わかりました」
 眼鏡さんの意図を汲んで僕が答えると、グレイスさんは地下倉庫に案内してくれる。地下倉庫は食品などを置いておく設備で、地下にあるだけに少しひんやりとしている。中は綺麗に整頓されていたので、僕は目星をつけて作業に入ろうとする。

「ちょっと何が起こるかわからないので、一人にしてもらえますか?あと、かなり大きな地揺れがあると思います。なので、食器などが落ちないように気をつけた方がいいと思います」
 僕の言葉にグレイスさんは一瞬訝しげかつ心配そうな眼差しをするが、頷くと地下室を出ていく。

 僕は周りに誰もいなくなった事を確認すると、壁に手を当てて眼鏡さんから教えてもらった魔法を起動する。
<エグゼキュート ストーンコンストラクション トレーニングルーム>

ゴゴゴゴゴ・・・・ッ!!!

 垂直直下型の震度5強の地震に匹敵する振動と共に、ゴッソリと魔力を持っていかれるのを感じる。残り一桁になるまで魔力を吸い出された僕は、膝を付き荒く肩で息をする。
 突然発生した大地震に心配したみんなが地下倉庫に飛び込んできて、僕の顔色を見るなり声を荒げる。

「アルカード君!顔が真っ青よ!!大丈夫?!」
「え、えぇ……なんとか」
 エストリアさんがいの一番に心配してくれる。僕は何とか声を絞り出し、明日の朝もう一作業がある事を伝えると、意識を失ってしまう。

……

『うーん。ちょっとやりすぎましたかね』
【坊主が倒れるまで魔力を吸い出すとは、万が一があったらどうするんだ?!】
『しかしです。万全な訓練施設を作るならあれぐらいの魔力は最低でも必要なのですよ。欲を言えばあの5倍は欲しかったですね』
≪5倍って・・・後から拡張するという手もあったのではないかのぅ≫
『いえ、後からの拡張もこれから実施する予定です。明日の朝には基幹システムの起動を行う予定ですので、少年にはゆっくり休んでもらわないと』

 いつもの夢の世界で3人が言い合っている。僕は参加することも出来ず、魔力切れと疲労でそのまま眠りに落ちていった。

「アル、大丈夫か?」
「昨日のは一時的に魔力が欠乏して倒れただけだから大丈夫だよ」
 朝、僕が起きると既にオスローは起きていて声をかけてくる。大丈夫と答えて、日課のために一緒に空き地に出る。ここでの朝練も地下の訓練場が出来たら終わりかもしれないな。

 オスローの素振りを見ると、昨日の朝と音が違っているのに気が付く。そういえば昨日ゴルドー先生に素振りを見てもらっていたっけ。それをを早速取り入れたようだ。

 斧槍を振り切らずに途中で止めている。腕に負担がかかるけど、次の攻撃に繋ぐ事ができるから、必要な技術になるはずだ。
 オスローは一つ一つの素振りを丁寧に確認しながら練習していたので、素振りだけで相当披露していた。だから今日は模擬戦をやらずに朝練を終了する。
 この後は眼鏡さんから地下室で作業があると言われていたので、そのまま地下室に向かう。

 昨日、地下訓練場生成魔法を起動した所には扉ができており扉の脇には▼型の水晶が緑色に光っていた。
『これは自動昇降機といって、地下の訓練場と行き来する装置です。▼の水晶に触れると自動昇降機が昇ってきます。下の階にいる場合は、▲の水晶に触れると降りてきます』
 眼鏡さんが装置の説明をしてくれたので、僕は水晶に触れて扉を開いて中に入ると、▲と▼の水晶があり、▲は赤色、▼は緑色に光っている。

 僕が▼に触れると扉が勝手に閉まり、下に向けて降り始める。下に降りる浮遊感を数秒感じると動きが止まり、扉が開く。扉の先の部屋は薄暗くてなんとか見通せる感じ、広さは高級ホテルのロビー位あるんじゃないだろうか。部屋の形は八角形で、それぞれの辺に扉があるようだ。

『そのまま正面に向かうと、七色の水晶球があるので、そこに行ってください』
 眼鏡さんの指示に従って正面に進むと、開けた部屋の中心に一抱えもありそうな水晶球が台座の上に乗っていて、水晶球の中は虹色の光彩が常にゆらゆら動いている。

『これは竜の心臓と呼ばれる魔晶石です。無限に魔力を引き出せる便利な魔道具です。とはいえ人が作れる道具ではないですけどね。この周りにあった魔晶石を全て集めて圧縮加工しました。これには、既に3つの術式を埋め込んであるので、後は起動するだけです。起動する魔法は<エグゼキュート バッチ トレーニングルーム>です』
 僕は眼鏡さんの言う通りに魔法を起動する。

<エグゼキュート バッチ トレーニングルーム>

 すると魔晶石が強烈な光を放ち台座が上にせり上がっていく。魔晶石が完全に天井に隠れガコン!という何かに嵌まるような音がすると柱にや壁に青白い光の線が縦横無尽に走り、そのうち数本が天井に到達すると、天井に設置された水晶が輝き始め、部屋が昼間のような明るさで照らされる。

『取り敢えず無事に起動したようですね。後は魔導人形ゴーレム整備メンテナンスするから、安心して学園に行くと良いでしょう』
 言われた通りに従うたびに理解の範疇を超える現象が起きて、僕は何がなんだかわからなくなってしまう。そう混乱する僕に眼鏡さんが退室を促す。

 僕は自動昇降機を使って地下倉庫に戻ると、朝食を取るために食堂に行くのだった。


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