チート(現代知識)×チート(魔法)×チート(武術)はチート∞(天災級)?!

もるもる(๑˙ϖ˙๑ )

第35話(伝説のドラゴンスレイヤー)

「悪いがおとなしく素振りをしていてくれないか?他の生徒の指導ができん」
 ゴルドー先生からあきれられた僕達は、大人しく素振りを繰り返す事にする。

「つまんないのだー」
 翠はそう言って仰向けに寝転がって、つまらなさを全身で表現する。

「そういえば翠。さっきの昇竜撃っていうのは技の名前かい?」
僕は気になっていた事を聞くと、嬉しそうに飛び起きる。

「そうなのだ!必殺技なのだ!格好いいか?!」
「格好いいと思うよ。さすが翠だね」
 目を輝かした翠が無邪気に尋ねてくるので、技名を言うと避けられちゃう気がして駄目なんじゃないかなぁと思いながらも、褒めておく。

「アルにぶち当てる必殺技を他にも考えるのだー!!でもアルには秘密なのだ!!」
 そうやる気を出すと僕に見えないように訓練場の端っこに走っていく。

 その間もゴルドー先生の指導は続き、結局みんなは時間いっぱい素振りをしていた。

「あー、疲れたー。飯食いてー」
「もう、腕がパンパン。これ以上は振れないわ」
「全くだ。私の美しい腕がウォルトのような無骨な腕になってしまうよ」
「うるさい。訓練と気合が足りんのだ」
「ウチも身を守る力が欲しいだけなんやけどなぁ」
「・・・」
 みんなすごく辛かった様だ。最初は筋肉が慣れていないし、体力も無いから大変なんだよなと他人事のように思いながら皆を眺める。

「おい、アルカード。ちょっと模擬戦をしてみないか?」
「え?!いいんですか?」
 そんな僕にゴルドー先生から声が掛かり、何も教えてもらえないと思ってガッカリしていた僕は、びっくりした声を上げてしまう。

「お前の威力に付き合うとケガしてしまいそうだから、大人気ないが防御魔法をかけさせてもらうけどな……鎧よ。わが身を守りたまえ。防護プロテクションアーマー!」
 ゴルドー先生が魔法を起動すると薄ぼんやりとした光が全身を包む。

「面白そうなのだー」
 必殺技の訓練をしていた翠もやってくる。

「さぁ、こい!」
 ゴルドーが誘ってくるので、怪我をさせない程度にと僕は踏み込んで袈裟斬りに斬り込む。残像だけを残す剣筋を講師は見切って後ろにステップすると、僕はそのまま更に踏み込んで水平斬りを放つ。
 ゴルドー先生が剣を立てて、その水平斬りを受け流すので、僕は最後の一撃の為に一歩を踏み込んで逆袈裟に斬り上げる!
 だが踏み込んだ瞬間、足元に何か当たり、天地が逆さまになって、僕は地面に叩きつけられる。

 とっさに受身が取れたので、ダメージは大した事がなかったけど。

「なるほどな。力・技は一級品だが、駆け引きはド素人か。普通の敵なら問題ないが達人クラスと相対したら、あっさりと負けるな。とはいえこの年齢でこの力と技は異常だぁな」
 ゴルドー先生が倒れた僕に剣を突きつけて言うと、剣を肩まで上げ、ポンポンと剣の腹で肩を叩くと何が起こったかわかったか?と聞いてくる

「えっと、踏み込んだ足が地面に付く直前に払われた?」
「そうだ、足払いってやつだな。体重移動はしているが踏み込みが完了していない踏み込み直前の足を払うとああなるんだ。3連撃の水平斬り後の逆袈裟斬り上げはアイツの得意技だったからな」
 ゴルドー先生の問いに足元に感じた感覚から推測して答える。そして誰かを思い出してニヤリと笑いながら答えてくれる。

「ヴァンゲルグって事は、レイオットの倅だろ?ビシビシ鍛えてやるから覚悟しとけ」
「はいっ!」
 ゴルドー先生はどうやら父さんの知り合いらしいので、何か嬉しくなって答える。

「ゴルドー?レイオット?まさか!≪破岩の≫ゴルドーと≪雷迅の≫レイオット?!って伝説級の冒険者じゃない!!」
 それを聞いていたエストリアさんが大声を上げる。

「聞いた事があるな。帝国領の方で暴れまわっていたブラックドラゴンを討伐した竜殺しドラゴンスレイヤーの剣士達がそんな異名じゃなかったか?」
 続けてウォルトさんが呟く。

「ほ、他には、≪森の癒し手≫クリスティーナ、≪深謀なる≫シグルスの4名です……」
「まー、そう呼ばれていた事もあったなぁ……」
 みんなのツッコミに遠い目をするゴルドー先生。

「とにかく、これから3年間ビシビシしごくからそのつもりで頑張るようにな。特待生の諸君」
 それを聞いたみんなは伝説の冒険者に教えてもらえるという事で、目を輝かせて返事を返す。まぁ翠はよくわかっていなかったみたいだし、キーナさんは武術に興味がなさそうだったから微妙に苦笑いを浮かべていたけど。

 僕らは授業を終えて着替えて教室で終礼をすませると、みんなで一緒に寮への帰途につく。

「そういえば翠ちゃん。さっきの昇竜撃っていうの?あれはどうやっているの?」
「うーん。魔力をギューッとして、当たったらボンッ!ってするとビューンってなるのだー!!」
「全く分からないわね……」
 エストリアさんが翠の技に興味を持ったのか尋ねるが、全く容量の得ない答えなので溜め息をついてしまう。

 いや、息を吸うように簡単に魔力を操る竜族だからこその技だから人には出来ないんじゃないかなぁと思ったが、いきなり否定するのは何なので黙っていた。

【いや出来るぞ。隕石を砕いた際に使った鬼闘術が似たようなものだ。要は魔力を収束して拳撃と共に爆発させるだけだからな】
 あー、うん。確かにやりました。隕石砕きました。何か学園の日々が充実しすぎてて忘れてたよ。
と思いながら寮に帰る僕は急に何かを思い出す。

 そういえば地下訓練施設作るんだった……


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