チート(現代知識)×チート(魔法)×チート(武術)はチート∞(天災級)?!

もるもる(๑˙ϖ˙๑ )

第32話(正しい魔術概論とこれからについて)

 防御結界を破壊/修復するトラブルがあったせいで、午後の講義は有耶無耶になり無くなってしまった。僕のせいだけど。

 そして僕の魔法を見たクラスメイト達が、習得したいと請われた事もあり、初歩的な魔法の意味を、龍爺さんや眼鏡さんの言葉を僕を通して教えてみる。

 今まで考えもしていなかった事象の制御は難しそうだが、さすがに優秀な特待生だけあって炎の事象の具現化はすんなり使えた。
 魔法適性が低いと言っていたオスローやイーリスさんもきちんと事象を知って理解し、イメージを固めた所、弱々しいながらも事象の具現化に成功していた。
 鉱石や宝石を生み出すのは父さんと母さんに止められていたので、石の具現化のみを教えようとしてみた所、炎や氷などと違って無から有を生み出すのは、なかなか難儀しているようだ。
 とはいえ一日目なので、こんなところだろうと実践を打ち切ると、僕らは寮に帰るのだった。

 寮に戻り、風呂・夕食などを済ませた僕達は談話室に集まる。今後の魔術概論や魔術実践において、どう振舞うかを決める必要があったからだ。

「魔法がアル君の言う通りであった事は、講義後の練習で各々が実感した事と思う」
 カイゼルさんが切り出すと、皆真面目な顔で頷く。

「となるとだ。アル君の魔術概論を聞いて実践してみると、今の魔術概論はお遊戯をただ暗記しているだけで、学ぶだけ時間の無駄になるだろう。我々は栄えある1代目の統合学科だ。3年という時間は長いが、講義一つ一つに与えられた時間は余りにも少ない」
 カイゼルさんの言葉に皆が頷く。

「そこでだ。一番魔術が苦手と思われるオスロー君でさえ、あの少ない時間で既に事象の実現化に成功している。また、アル君の魔術概論は、各国間のパワーバランスすら崩しかねないという問題もはらんでいる」
 僕がびっくりした顔をしていると、エストリアさんが話をつなぐ。

「アルカード君の使った炎弾ファイアバレットを100人の魔術師が使ったと想像してみて。あの鎧すら用意に貫通し、撃たれてからは避けられない魔法……3,000人の騎士程度、近寄る間に全滅すると思わない?」
 深く考えていなかったけど、確かに近寄られる間に10発以上は撃ち込めるはず。衝撃波の巻き込みも考えたら3,000人くらいなら用意に行動不能に出来そうだ。

「なので、私はこの技術を広めるべきではないと考えていて、今のように頻繁に戦争をしなくなるなど、もっと我々が成熟しないとただの脅威/暴力になる。とはいえ、学ぶ機会を失うのはもったいない。知識は積み重ねるべきものだし、安全に使うためにもキチンとした理解や世に出す魔法の選別と体系化、かけるべき制限などを検討する必要があるだろう」
 キーナさんが大きくうんうんと頷く。

「という事で、アル君からの魔術継承は放課後我々だけで秘密裏に行い、通常の魔術概論は不要になるので別の講義に当ててもらう。そして我々は技術習得と共に、人の目に触れても良い魔法の選別と体系化を進める。悪いがアル君には常識が少々かける節があるので、我々全員でフォローするべきだ」
 いつもの軽い調子ではなく、真剣な表情と語り口のカイゼルさん。こっそり僕は常識無しと言われてしまう。ちょっと凹むなぁ。

「カイゼルはんの言う通りやねん。せやけどエレン学園長も相当アルカード君の力を把握しとる。講義の調整も必要になるんやから、話を通しとった方がえぇと思うで」
 イーリスさんの意見にカイゼルさんも頷く。

「では、明日の朝一に私とカイゼルでエレン学園長に説明してこよう。少しばかり縁があるので、話が早いはずだ」
 寡黙なウォルトさんが名乗りを上げる。

「おい、ウォルトよ。私の見せ場を持っていかないでくれたまえ」
 相変わらず決めポーズをとりながらウォルトさんにクレームを言う。そんな二人に笑いながら、僕達は談話室を後にするのだった。

「まだ入学して2日だって言うのに、大変な状況になったなぁ。まぁ、俺は魔術も多少使えるようになりそうだから、魔法も使える騎士を目指す!」
 部屋に戻るとオスローがそう切り出して、燃えながら拳を突き上げる。

「という事で、いろいろ教えてくれよな。アル?武術系の練習にはいくらでも付き合うからよ」
 僕はもちろんと拳を突き出すと、オスローも拳を突き出して当てる。

「そういえば、オスローの旗手ベアラーってどんな加護なのか聞いていい?」
 加護は基本的には伏せておく。なぜならその人の特性が分かってしまい、戦う事になった場合は、その弱点を衝かれたりしてしまうからだ。

「アルだったらいいか。どうせ弱点がばれても関係ないしな。旗手ベアラーってのは、民衆を率いて、民衆のシンボルとなって戦った人の魂魄で武術と統率に優れているんだ。旗という文字があるだけあって、長い得物が特に得意なので、おれはこの斧槍ハルバードを選んだ。武術系の能力値と習得率、人の心を動かす会話や指揮に恩恵を受ける加護なのさ。だから魔術系には恩恵を受けていないので、今一他のメンバーに遅れをとっちまうんだよな」
 そう説明すると、明日の朝練からは俺も参加するから寝るぜと寝台に入ったので僕も寝台に入り目を閉じた。

 僕の魔法を見ても怖がらず、受け入れてくれた仲間達の縁に、僕はとても感謝しながら眠りにつくのだった。


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