チート(現代知識)×チート(魔法)×チート(武術)はチート∞(天災級)?!

もるもる(๑˙ϖ˙๑ )

第28話(夢と現実の接続点)

 僕はいつもどおり朝早く目覚めると、いつもの朝練をしにベッドを抜ける。寮の周りには適度な空き地があったので、朝練にはちょうどいい。いつもの木剣ではなく、支給された小剣を片手に空き地に向かう。

 空き地に着くと、夢で約束した算術魔法を起動する。

 <パッシブ コミュニケーション ソウル>
 すると自分の中に魔力が染み込み、夢の世界とこの世界との繋がりを感じとれるようになった気がする。

『お、繋がりましたね』
【大丈夫か坊主。何か疲れやすいとかないか?】
《魔力の循環は安定しているようじゃの》
 僕の頭の中に3人の声が聞こえる。

『こちらが強く発しない限りは、君の意思の方が優先されますので、聞こうと思った時にしか聞こえないので安心して下さい』
【坊主が求めれば、イメージも伝えられるし、眼鏡の特性によりそのイメージを直接肉体にフィードバックやトレースができるから、強敵が現れたときは頼っていいぞ】
 眼鏡さんと筋肉さんが、この繋がりの使い方を教えてくれる。

≪会話をしている間は多少魔力が減るが、おぬしの魔力には余裕があるから大丈夫じゃろう≫
 そして龍爺さんが問題なく使えそうな事を保証してくれる。

 繋がったことに安心すると、新しい小剣を使っていつも通り素振りを始める。

【うーん、坊主、斬り降ろしするなら、剣を振り上げる時はもっと大きく後ろに引いて、剣の軌道が円を描くように斬り降ろすんだ。今だと剣の軌道が上がって下りるだけの山型になっていて、折角後ろに引いた力が分散してしまってるぞ】
 筋肉さんが僕の素振りに対してアドバイスをくれる。

≪そうじゃ、少年よ。常に魔力循環をしながら生活した方が、魔力の親和性が上がってより高度な魔力運用ができるようになるのじゃ。今までの鍛錬に加えて、魔力を体の隅々まで巡らせるイメージをしながら鍛錬するようにすればよい≫
 次に龍爺さんがアドバイスをしてくれる。色々なことを同時にやるのは難しいと思うけど、まずはやってみようと挑戦してみる。

「気付いてやってみるのが大事じゃ。やらぬは永遠に0じゃが、やれば1以上になる可能性があるからの」
 当然すぐには出来ないけど、龍爺さんもわかっているようで、そんなアドバイスをくれる。

 いつも一人で黙々とやっていた朝練だけど、魂魄の指摘を受けながらだと難しいことやわからないことも沢山あるが、一人でやるよりもなんか楽しくて、夢中になってやってしまった。

「今は浴場が使えないので、これで汗を拭ってもらえますか?朝食は7時からですので遅れないようにして下さい」
 いつもよりの多くの汗をかいた僕が寮に戻ると、朝は何かと忙しいはずのグレイスさんが濡れたタオルを数枚渡してくれた。

「ありがとうございます」
 僕は感謝を口にしながら濡れタオルを受け取ると部屋にそーっと戻る。オスローが寝てたら迷惑になるからね。

「おう。おはよう、アル」
 僕の気遣いは必要がなかったらしく、部屋に入ると既に置きていたオスローが挨拶してくる。

「いつもは店の手伝いで早起きしてたんだが、こうして何もないと微妙な感じだなぁ。アルは何をしていたんだ?」
 そしてそんな事を聞いてくるので、毎日の習慣の朝練をやっている事を話すと、明日から参加したいから、一緒に起こしてくれとお願いされたので快諾する。

「さてと、そろそろ朝食っぽいから用意するか」
「そうだね」
 既に朝食の時間が近くなっていたので僕とオスローは顔を洗ったりする為に洗面所に向かう。

 身だしなみを整えた僕らが食堂に降りると、ちょうど翠と女の子達が下りてくる。

「アル、アル。これ似合うか?」
 翠は僕の所に走り寄ってきてクルクル回りながら聞いてくる。昨日の買い物で寝間着も買ったらしく、薄緑色のダボっとした上着とズボンで、上着の裾の所にデフォルメされた竜の刺繍がしてあった。

「うん。とても可愛いよ」
 僕がそう答えると、嬉しそうにニマーっと笑顔を浮かべる。

 みんな比較的楽な恰好なのに対し、エストリアさんだけは、ブレザーは羽織っていないが、すでに制服のシャツとスカートを着ていた。カイゼルさんはすごく豪奢で派手な真っ赤に金刺繍のガウンだった。

 朝からおいしい朝食を食べた僕達は、学園に行く準備を整えるとグレイスさんに見送られて寮を出る。今日は全員そろって8人での登校だけど、やっぱり女子のグループと、男子のグループに分かれて雑談をしながら歩く。
 翠は何も考えずに僕と女子のグループを行ったり来たりしている。やっぱり両方共が気になるみたいだ。
 寮は学園の敷地内にあるので、そんなに時間がかからずに学園へ到着する。

 僕らは統合学科になるので歴史/経済/地理/計算/薬学/初級魔術概論/初級武術概論など座学科目も盛りだくさんで、その他にも初級武術実践/初級魔術実践/調合実践/サバイバル術/などといった実践科目も豊富だ。

 午前中には歴史/地理/初級魔法概論の講義があり、歴史や地理に関しては年配の講師が担当で、アインルウム同盟国の起こり、アインツベルンへの遷都、地方都市アインツの成り立ちなどの説明があった。とてもゆったりとした話し方をするので眠気が襲ってくるけど、エストリアさんやカイゼルさんが、時折飛ばす鋭い質問があったので、その度に身を引き締めて何とか起きていられた。
 オスローも僕と同じように眠気と戦っていたんだが、翠は爆睡していた。

 大丈夫か翠?

 僕の中では時折眼鏡さんや龍爺さんが歴史や地理についてなるほどと相槌を打っているのが聞こえていた。

 何とか眠気と戦った講義が終わると、次は初級魔術概論の講義になるので楽しみだ。

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