チート(現代知識)×チート(魔法)×チート(武術)はチート∞(天災級)?!

もるもる(๑˙ϖ˙๑ )

第26話(夕食会と不安)

 19時になると、皆が食堂に集まる。食堂は6名座れるテーブルが10卓あって、カウンターに料理が並んでいて、自分で好きなものを取り分ける形式らしい。
 僕がオスローと一緒のテーブルに座ろうとすると、カイゼルさんが大きな声でみんなに告げる。

「このメンバーは今日から3年間学業・寝食を共にする仲間たちだ。この素晴らしい出会いに感謝して、今日は存分に交流を深めようではないか!」
「それも、そうね」
 エストリアさん達もカイゼルさんに同意する。僕とオスローも断る理由がなかったので、同意すると、机をくっつけて8人が座れるようにする。
 すると、グレイスさんが気を利かせて料理を運んでくれて、今日は食卓から各々が取り分ける形式にしてくれるようだ。

「僭越ながら、私ことカイゼル・ローランドが乾杯の音頭を取らせてもらおう。ちなみに乾杯は、プロージットというから、私の後に続いてくれたまえ。では、今日はこのような素晴らしい8人のメンバーが共に集えた事を神に感謝すると共に、今後の苦難を共に助け合い、励ましあい乗り越えていく誓いとして、乾杯したいと思う。今日の出会いとこれからの栄光と成功を願って、乾杯プロージット!」
乾杯プロージット!!!」
 各々の杯に果実水やお茶が用意されているのを見てカイゼルさんが音頭を取る。みんなで杯をぶつけ合って、綺麗な音色が響く。初めてやってみたけど、なんかすごい一体感を感じてカイゼルさんは凄いと思った。
 その後は、みんなで大皿から自分の皿に料理を取り分けて、歓談しながら食べる。翠は背伸びしないと大皿に手が届かないので、僕が取り分けてあげようとしたが、僕と翠の反対側に座っていたエストリアさんが率先して取り分けてくれた。一緒に出掛けた事で距離感が縮まったみたいで嬉しい。

「おいしいのだー!」
 翠はすごい勢いで口元を汚しながら食べていて、エストリアさんはそんな翠の口を、時折ナプキンで拭いながら温かい目で見守っている。弟がいるからか、手馴れていて頼もしい。

「アルカード君。いや親しみを込めてアル君と呼ばせて頂くよ」
 いつもの髪をかき上げるポーズを取るカイゼルさんがやってくる。

「はい、構いません。カイゼルさん」
「ノンノン。呼び捨てで構わない。ウォルトの事も同様に呼び捨てで構わない」
「別に構わないんだが、お前に言われると妙に癪だ」
 僕がさん付けで呼ぶと、カイゼルさんは首と指を横に振りながら言う。勝手に決めつけられたウォルトさんは、カイゼルさんをにらみつけている。

「魂観の儀で魂魄/加護が分からないと聞いたが、良かったら詳しく聞かせてもらえないか?」
「あ、私も気になっていたのよね」
「わ、私も」
 カイゼルさんがそう切り出すと他の人も同意して聞いてきたので、魂観の儀の事を話す。手をかざしたた水晶球が砕けてしまった事、また予備の水晶球も同様に砕けてしまったという事を。

「2個とも砕けたって事は偶然ではなさそうだ。まるで、かの偉大な大魔導士アンブロジアスの再来のようだ!」
「アンブロジアスっていうと、勇者と一緒に魔王を撃退した大魔導士よね」
「ア、アンブロジアス様が、こ、魂観の水晶球に触れると、あまりの魔力に耐えられず、割れてしまったと言われているのです……」
「アルすげーな。伝説の大魔導士様みたいな魔力があるってことかよ!」
「そんなことないです。僕なんて大したことないので」
 みんながそれぞれにべた褒めな感想を言ってくるので、僕は何か恥ずかしくなって俯いてしまう。

「ともかく、明日からの魔法の授業が楽しみだね。私のスペシャルな魔法を見せられると思うと、胸が疼いて今晩は眠れなさそうだ!!」
 それを見ていたカイゼルさんが雰囲気を変えるためにか大げさな手ぶりをしながらカイゼルさんが言う。

「胸が疼くのは病気だから、さっさと医者に行け。高鳴るなら別だが」
 そんなカイゼルさんの発言をウォルトさんがバッサリ切って捨てる。

「あはははは」
 そんな二人を見て、思わずみんな笑い声をあげてしまう。

 カイゼルさんが一人一人の所に行き、色々な話題をすることにより、話題が次々と変わり、みんなはそれぞれ色々な意見があり、それが共有できたのはすごく大事なことだと思った。

 食事もみんなで完食し、お腹一杯になった翠がウトウトと舟をこぎ始めたので、時間も21時を回っており、それぞれの部屋に戻り休むことになった。

「おやすみ」
「おやすみなのだ……」
 別れ際に翠に声かけるとと眠たそうな返事が帰ってくる。エストリアさんが、そんな翠の手を握って連れて行ってくれる。

 僕はオスローと一緒に部屋に戻ると、さっきの魂観の儀に関するみんなのコメントを思い出していた。曰く大魔導士と同じ/あまりの魔力/魔法の授業が楽しみなど。自分はまともに魔法を使えている気がしないので、少し不安になってしまったので、ちょっとオスローに尋ねてみる。

「オスロー、魔法ってどういう風に使っている?」
「どういう風にって?んー、手を向けて呪文を唱えると、魔法がビューンって飛んでいく感じかなぁ……アルは違うのか?」
「い、いや、僕も似たような感じ……だと思うよ」
 僕は慌てて返事をしたが、正直僕の魔法は全然違うように感じているので、明日からの魔法の授業どうしようかと頭を悩ましてしまう。

 そんな事を考えながら、床に就いたのだが、慣れないイベントが多く、予想以上に疲れていたようで、すぐに眠りにつくのだった。

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