チート(現代知識)×チート(魔法)×チート(武術)はチート∞(天災級)?!

もるもる(๑˙ϖ˙๑ )

第24話(学園の施設と御礼)

 午後になるとまた教室に戻り、今後の授業の説明を受けた後に一通りの施設の説明を受けて、近場は実際に移動して見て周れるようだ。

 様々な科目があることもあり、学園寮はかなりの広さを持っていて、屋外の運動場と、屋内の訓練場、大講堂、校舎、水練場、作業棟などが目立つ建物だが、他にも屋外菜園、温室菜園、中庭、池、林、合戦場などがあるみたいだ。

 受験・入学式を通して、運動場や訓練場、大講堂の場所は分かっていたが、改めて見学し備品の置き場や使い方を教えてもらった。始めて行く水練場は縦25m、横6列の大きな広さだった。

「これなら翠も水浴びできるのだ!」
 小さな翠がそんな事を言うものだから、回りから不思議な顔をされる。翠はきっと竜形態での事を言っているから理解されなくて当然だ。

 また作業棟はすごくて、服飾/鍛冶/製薬/建築/造船を行える作業スペースや設備がそろっていて、建築/造船が出来るスペースは相当に広かった。

 屋外菜園も本格的な畑がいくつもあり、色々な植物が植えてあった。温室菜園は、上部が水晶でできたドームで覆われており、中に入ると非常に暖かく、ここには見慣れない植物や果物が栽培されているようだ。中庭までの説明を受けたところで案内は終わり、林や池や合戦場は組織戦の授業の際に改めて説明するとの事だった。

 多くの設備に驚いていると、実はアインツ総合学園がこういった学園施設の中ではトップクラスの広さと設備を誇っているらしい。というのも学園施設は利便性の為、都市部に作られる事が多く、都市部だと土地の問題であまり広大な施設を用意できないらしい。
 アインツは首都機構をアインツベルンに移した為、都市の利便性と広大なスペースを両立できたとの説明を受けた。

 この後は自由時間となり、門限までに寮に戻る事になる。明日から本格的な授業が開始されるので、座学はちょっと苦手だけど、武術と魔術は楽しみだ。
 エレン学園長の解散の掛け声と共に、みんなは思い思いの場所へ散っていく。

 オスローからどうすると聞かれたが、エストリアさんがやってくるのが見えたので、僕はちょっとエストリアさんに翠の事を頼まないといけない事を伝えると、わかったと笑みを浮かべ、カイゼルさんの方に走っていく。

 僕は翠とエストリアさんと一緒に中庭の歓談席に移動する。

「まずは私からいい?」
 エストリアさんが切り出すので僕は頷く。

「1ヶ月前、弟のヘンリーを助けてくれたのは貴方ね?」
「名前を聞いていなかったから分からないけど、3人の貴族風の男に襲われていた男の子は助けたよ」
 相変わらず鋭い目をしたまま聞かれるので、そう答える。

「そう。やっぱり貴方だったのね。入学式の時に助けてくれた人がいたと、家に帰った後に教えてくれたから、お礼を言うのが遅くなってしまったの。アルカード君。弟を助けてくれて本当にありがとう。とても感謝してるわ」
 今までの鋭い目つきとは打って変わった少し細めた目で朗らかで優しい笑みを浮かべてくれる。それがあまりにも綺麗だったので、僕は言葉を失ってしまった。

「どうしたの?アルカード君。私、何かおかしい事をいったかしら?」
 僕がぼーっとしていたので、心配そうに聞いてくる。

「い、いえ、とても綺麗で優しい笑顔だったからビックリしちゃって……」
 僕はブンブンと首を振りながら答える。するとエストリアさんの顔が急に顔を真っ赤になる。

「バ、バカ!そ、そんな綺麗だなんて!私はそういうつもりで言ったんじゃないですからねっ!」
 急に激しく否定をし始める。

「と、とにかく。弟の事のお礼を言いたかっただけ!貴方の事なんかそれ以外、これーーーーーっぽっちも何にも思ってないんですからねっ!」
 まくしたてるように全否定をしながら、慌てて席を立って走り去ってしまう。そして、少しの段差につまずいて転んでしまう。
 エストリアさんはすぐに立ち上がると、キってこちらをにらんで走っていく。転んだ時に桃色の布切れが見えたけど気のせいだよね。

 そんな僕の横で翠は買ってあげた柑橘系の果実水を何事もなかったように嬉しそうに飲んでいた。あ、そういえば翠の事、頼めなかった……

 まぁ寮に戻ってからでいいかと、果実水を飲み終わった翠を連れてブラブラと周りを見ながら寮に戻るのだった。

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