チート(現代知識)×チート(魔法)×チート(武術)はチート∞(天災級)?!

もるもる(๑˙ϖ˙๑ )

第22話(自己紹介、色々な加護)

 みんなが席に着いたところでエレン学園長が話を切り出す。

「皆さん入学おめでとう。そして8人の生徒が統合学科を選択してくれた事、大変嬉しく思っているわ。残念ながら3人は辞退してしまったけど、志望した学科で頑張ってくれる事でしょう。自己紹介からしていくのが基本よね。まずエストリアさん、お願いできる?」
 エストリアさんは指名されると、一度両目をつぶって立ちあがる。

「私はエストリア・フォン・ヒルデカルド、加護は白騎士ヴァイスリッターよ。武術と魔術を主体に学んでいくつもりでこの学科を選んだわ。3年間宜しくお願いするわね」
 金髪ツインテールでやや吊目の濃紺の瞳に強い意思を宿して回りを見渡す。

「ヒルデカルドというと、州家の貴族様かな?」
僕の左側の列の一番後ろに座っていた銀髪の男の人が厳しい雰囲気を全く気にせずに、何故か長い銀髪をかき上げたポーズを決めながら聞く。

「そんな大層なものじゃないわ。名前だけ継いだだけの、しがない一分家でしかないから」
 エストリアさんが鋭い眼で答えるのを聞いた銀髪の男の人は肩をすくめたポーズをする。

「次はイーリスさん。お願いできる?」
 エストリアさんの前に座っている赤毛を肩口で三つ編みにして、茶色の好奇心旺盛そうな瞳を持つ女の子が立ち上がると独特の口調で自己紹介をする。

「ウチはイーリス・ウェスト言います。家は交易商をやっとります。加護は開拓者パイオニア。いずれは世界中に店を出したいと考えとるから、武術と経営を学びとーて、この学科にきめたさかい。みんなよろしゅーに」
 ぺこりと頭を下げると着席する。

「次はその前の翠さん。宜しくお願いね」
「翠は翠なのだ!!宜しくなのだ!!!」
 指名された翠は勢いよく立ち上がると右手を高く掲げて嬉しそうに大声で挨拶する。全く自己紹介になってないんだけど……と僕は冷や汗が流れてしまう。

「翠さんはとある筋からのご紹介で、試験免除の特待生として入学してもらったの。まだまだ色々と足りないところはあると思うけど、武術・魔術の素養は超一流だと考えているので、みなさんフォローの方、宜しくお願いするわね。次はアルカード君ね」
 そうエレン学園長がフォローを入れてくれたので、僕は一安心すると立ち上がる。

「僕はアルカード・ヴァンゲルグ。冒険者の宿の息子です。加護は……調べられなかったけど、武術と魔術の適性が高いみたいです冒険者を目指しているので、全教科頑張りたいと思ってます。みなさん宜しくお願いします」
 加護が調べられなかったというフレーズでちょっとざわめきを感じたけど、無事紹介を終える。

「次はオレだな!俺はオスロー・ブルケッタ。実家はパン屋だけど、加護が旗手ベアラーで武術と指揮に適性があったので、騎士を目指しているんだ。みんなよろしくな!!」
 オスローが先生の指示を待たず元気よく自己紹介する。

「オスロー君は元気があってムードメーカになりそうね。次はキーナさん、いい?」
 濃橙色の髪を目元まで伸ばして目を隠した女の子が恥ずかしそうに席を立つ。

「は、はじめ……まして。キーナ・ストラバーグと言います。か、加護は軍師で、す。宜しくお願いします」
 頬を真っ赤に染めながら、語尾に向かってか細くなる声で自己紹介する。

「ストラバーグ?もしかして、あの出版社かしら?≪貴族の責務とは≫は私の愛読書なの。今度話を聞かせてくれると嬉しいわ」
 エストリアさんがそう言うと、恥ずかしそうだけど、少し嬉しそうに小さな声で了承の意を返す。

「次はウォルト君、いいかしら?」
 窓側の列の真ん中に座っていた、灰色の髪をした短かめの髪で黒い目をした体格の良い男の人が立ち上がる。とても同じ年には見えないほど、がっちりとした体型だ。

「ウォルト・シュテルンだ。主に騎士を輩出している家系になる。加護は守護騎士ガーディアンだ。後ろのカイゼルのお守りもしているので、このバカで何か困ったことがあったら俺に言ってくれ。直ちに矯正する」
 ちらりと後ろを見ながら淡々と自己紹介する。

「つれないことを言うなよ」
 カイゼルと呼ばれた男の人は口をとがらして文句を言う。

「では最後はこの私だね」
 そう言いながら椅子の上に立ち上がったのは、カイゼルと呼ばれた男の人で、長い銀髪の前髪は左右に流していて、後髪は首の後ろでくくっている。瞳は碧色の男の人で、綺麗な長い銀髪をかき上げてポーズをとる。
 どこからかキラッという効果音がする気がしないでもない。

「私はカイゼル・ローランド。しがない貴族の末席に加わらせて頂いている。大したものではないので、親しみを込めてカイゼルと呼び捨てて構わないよ。加護は秀才ブリリアントだ。みな宜しくお願いしたまえ。」
 なんかお願いしているのか命令しているのかわからない感じだけど、親しみやすい人みたいだ。

「これで8人ね。個性の強い8人だと思うけど、みんなの加護は2系統以上の適性を持っているわ。これから3年間。ともに切磋琢磨していく仲間たちになると思うから、仲良くね」
 エレン学園長がそう締めくくる。

 僕はとても特殊な加護を聞けて、またこれからの学園生活が楽しくなりそうな事を想像してとてもワクワクするのだった。

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