チート(現代知識)×チート(魔法)×チート(武術)はチート∞(天災級)?!

もるもる(๑˙ϖ˙๑ )

第21話(入学式、やっぱり早速トラブル)

 やはりいつもと同じ時間に目が覚め、いつも通りの朝練をこなしていると、翠が興味津々に練習を見学してる。
 一通りの型と素振りを終えて、翠と共に朝食をとって、制服に着替えて荷物を持ち部屋を出ると、既に制服を着た翠が待っていたので、僕は翠の部屋に忘れ物がないか確認し、学校に向けて出発した。

 登校していると僕らは白い制服なのだが、他の学園生はほとんど青い制服ばかりで、嫉妬のこもったような視線で、居心地の悪さを感じる。

 生徒証を見せて校門をくぐると、桃色の花が一面に咲き誇り、太陽の光を受けて、優しく色づいていた。

「きれいなのだー」
 翠がくるくる回って喜んでいるのを微笑ましく見ていると、後ろを歩いてきた上級生らしい人にぶつかってしまう。

「この平民風情が私に触れるなどと!!」
 ぶつかられた上級生は過剰に反応し、翠を突き飛ばす。

「あっ、ごめんなさいなのだ」
 突き飛ばされて尻餅をつきながらも謝る翠に対し、激昂した上級生は翠の顔めがけて蹴りを入れようとする。

「軽く当たっただけで、女の子の顔を蹴ろうとするのは酷くないですか?」
 僕はその場に割って入って蹴りを脛で受ける。何気なく止めた僕に対し、上級生はさらに激昂して、僕の顔めがけて拳を放ってきたので、僕は下から掬い上げるように肘で拳を迎撃する。周りから見ると簡単に受け流しているように見えているだろうが、思いの外鋭い蹴りと突きだ。

「平民の癖にツァーリ様になんて事を!!」
 僕が難なく捌き、攻撃に転じているのを見て、激昂して暴力を奮ってきた男の取り巻き達が大騒ぎする。

「この平民どもが!平民の癖に特待生などと調子に乗っていられるのも今のうちだけだ!!」
 上級生が脛受けされた足の甲と肘で迎撃された拳の痛みに顔をゆがませながら、捨て台詞を残して取り巻きと一緒に去って行く。

「わぁっ!」
「よくやった!」
 なぜか分からないが、周りから僕たちを称える歓声が上がる。

「翠、大丈夫かい?」
「大丈夫・・・ちょっとビックリしたのだ」
「こういうこともあるから、人のいっぱいいる所は気をつけようね」
 僕が手を差し出すと、翠は僕の手を掴み、少し翳りを見せながら答えるので少し諭すと、まだ歓声の上がる中を、僕らは入学式のある大講堂に向かって行くのだった。

 大講堂には白い制服を着た生徒が7名と青い制服を着た生徒が100名ちょっとで、白い制服の1列と青い制服の11列が出来ていた。僕ら白い制服を着た生徒は一番左側の列に並ぶ。入学試験の時に話しかけてくれたオスローも白い制服だった。どうやら彼も特待生らしい。

 入学式の式典が始まり、それぞれのギルドの代表者の挨拶や、市長の挨拶などがあり、偉い人の話は長くて眠くなるなぁと眠気を我慢していたら、壇上に白い制服をきた金髪ツインテールの女の子が現れる。
「本日は、ご多忙にもかかわらず、多くの方々に貴重な時間を割いて頂きまして、誠に恐縮でございます。僭越ながら今年度の入学生を代表して、エストリア・フォン・ヒルデガルドが挨拶させて頂きます」
 あの子が入学生代表だったのかと1ヶ月前に助けた男の子の事を思い出し、白い制服という事はあの子も同じ統合学科なのかと考えながら、エストリアさんの代表挨拶を聞く。

「まだまだ皆様からご指導ご鞭撻を賜る事が多い身ではございますが、一日も早く貢献できるように鍛錬してまいることを約束させて頂き、代表の挨拶と代えさせていただきます。」
 大きな拍手の中、壇上を降りて僕らの列の一番前に並ぶと続いてエレン学園長が登壇して挨拶を始める。

 入学式の式典が終わると、担任がそれぞれの部屋へ引率するようで、僕らは試験のときと同じエレン学園長が担当のようだ。
 最初から並んでいた7人+生徒代表のエストリアさんの8名がエレン学園長に促されて、移動を始める。

「アル。久しぶりだな。やっぱお前も統合学科を選んだんだな」
 移動し始めると茶褐色の髪を逆立ていて濃茶色の瞳を持つオスローが気軽に僕に声をかけてくる。オスローは僕より頭一個が背がたかく、しっかりと筋肉がついている体型だ。

「久しぶり、オスロー、やっぱり騎士団狙いで?」
「当然だろ。オレの加護は旗手ベアラーって言って、戦闘と指揮の適性が高いみたいだからな。しかし、お前の裾を掴んで話さないちっこいのは何なんだ?」
 僕が聞くと、オスローはニヤリと笑いながら答える。

「あぁ、色々あって一緒に入学する事になったんだ。ほら自己紹介」
「翠というのだ!アルとはしゅじゅうかんけい?なのだー!!」
 周りの空気が一瞬で固まり、僕に冷たい視線が集中する。

「……」
 初耳の言葉が飛び出したんだっけど……主従関係って?

「翠、いつの間に僕と主従関係になったの?」
「翠はアルにぶっとばされたのだ!とっても痛かったのだ!!」
 僕が周りの目を気にしながら小さい声で尋ねると、そう嬉しそうに自慢する。痛い!周りの視線が突き刺さるように痛い!

「そういえば、オスローは1ヶ月の間何をしていたの?」
 僕は耐え切れず、オスローに無理やり違う話題を振って誤魔化す。

 そうこうしている内に、やってきた目的の教室は、前回同様に校舎1階の一番奥で、訓練場に最も近い教室だった。

 教室に入ると、25人くらい入る所、3席×3列の9席しかないのでやけにスカスカだ。好きな場所に座るように言われたので、僕は合格説明の時と同じ、一番前の真ん中の席に座ると、翠は僕の右隣の席に座った。

 他の人は思い思いの場所に座るのを確認すると、エレン学園長が話し始める。

コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品