チート(現代知識)×チート(魔法)×チート(武術)はチート∞(天災級)?!

もるもる(๑˙ϖ˙๑ )

第17話(伝説の賢王からのご招待?!)

 村では平穏無事な日々がのんびりと流れていて、村の子供たちと森へ巨大猪ビッグボア狩りをして怒られたり、河へ馬喰らいピラニアン狩りをして怒られたり、草原へ巨大バッタグラスホッパー狩りをして怒られたりしながら過ごしていた。

「竜の山が吹き飛んだ。星が降ってきた時にはこの世の終わり……一夜城……」
 時折村にやってくる冒険者や交易商人が身に覚えのあるような話をしていて、背筋がむず痒くなる様な気分を味わったりもしていた。

 学園への入学届けを送付し、学園の制服も届き、入学の用意を万全に整えて、出発まで後二日程になり、冒険者の店を手伝いながら過ごしていると、村人が冒険者の店に飛び込んでくる。

「レイオットさん大変だ!ドラゴンが村に!!」
 それを聞いた父さんは状況確認に店の外へ、母さんは倉庫においてある父さんの剣と母さんの弓を取りに行く。

「あー来ちゃったか」
 それを聞いた僕は、心当たり有りと呑気に出て行く。

 外に出て空を見上げると、太陽の光を緑色の鱗で反射しながら竜が旋回していた。竜は僕に気がつくと、村の広場に降り立つ。幼竜とはいえかなりの大きさなので、竜だけで村の広場が埋まってしまう。

「少年。来てやったぞ。もうすぐ1ヶ月、旅立ちの時だ」
 呼んでもないのに来てしまった竜が上から目線で偉そうに言う。まぁ確かにそれっぽいタイミングだけどね。

「実は父様ととさま母様かかさまに挨拶させろと迫られて、断ったら尻尾ではたかれるわ、ブレスを吐かれるわで散々で・・・しかも両親を連れてきたら大パニックになると思い、我だけでやってきたのだが・・・旅立つついでにねぐらに寄って行ってはもらえないだろうか?」
 そう言って頭を下げる竜と僕を見比べている村人の視線がものすごく痛い。

 剣と弓を携えた両親が僕のそばにやってくると、突然膝をおり臣下の礼をとる。

「その緑の鱗の輝きは、いと賢き竜の一族。賢王の一族であられるかと存じます。この度は我が愚息が竜族の方に失礼をしたと聞いていたのですが、まさか賢王の一族の方だったとは。此度の来訪はその怒りの矛を向けに参られたのでしょうか?」
 あれ?両親が何か変なこと言っている。賢王って?昔話にある賢王といえば、アインツにある竜の住むと言われる山に住んでいる古竜をさしていて、人に英知と守りを与えたと言う守護竜で、たしか緑竜グリーンドラゴンだった気が……っておい!そのまんまじゃないか!!

「確かに我の親は賢王と呼ばれていることもあったな。今回はその賢王が、そこの少年の歓待を所望している。連れて行きたいと考えているのだが・・・」

「我が愚息であれば是非もありません。そのまま連れて行ってください」

 僕のあずかり知らないところで勝手に話が進んでいるが、この流れはもう止められないだろうな気しかしない。

「あのー、行くのは良いんだけど、学園に入るための荷物だけ取ってきていいですか?」
 僕の願いは受理されて、数刻後には竜の背に荷物を持って乗り、アインツ竜峰の城を目指すのだった。

 発着場っぽい広場に降り立つと、緑色の結晶が光、天井が開いていく。竜1体が通れるほどの隙間が開くと、その隙間を降りていく

 広間には全長40mを超える竜と30m程の竜2体が待ち受けていた。グリ子(仮)がその竜の前に降り立つと、僕はその背から飛び降りる。

「よくぞ参られた。そなたが、この城を用意してくれた人族か?」
 腹に響くが落ち着いた声が大きな竜から発せられる。

「はい。僕はアルカード・ヴァンゲルグ。13歳です。そもそも僕があなた方の住居を吹き飛ばしてしまったのが主たる原因です。住み慣れた住居を勝手にこのようにしてしまいごめんなさい。ですがご無事だったのは何よりです。」
 僕は深く頭を下げ謝罪する。

「気にする事はない。おかげで前よりよっぽど快適で豪華な住処になったので逆に感謝しておる。私は人族から賢王ヴァイゼルと呼ばれている緑竜だ。竜族の名前は人族には発音できぬから好きに呼んでくれてかまわない。ちなみに吹き飛ばされた時は、ちょうど竜の集いで家を空けていてな。財宝が全て消し飛んだくらいしか問題はない。本来留守を任されていた者達も、たまたま遊びに行っていたらしく被害は負っておらぬ」
 賢王様は目を細めながら優しく答えてくれる。

「私は賢王の妻。かつては人族から竜妃ケーニギンと呼ばれていましたわ。主人同様、お好きにお呼び下さいね。それはそうと、この子がずいぶんと懐いているみたいで。極度の人族嫌いでしたのに」
 隣にいた竜妃様が優しげに綺麗な声で語りかけてくる。

「こんなに素晴らしい住居を用意し、我が子とも親しくなった人族に是非一度会ってお礼をしたいと思ってな。迷惑を承知で来て貰った訳だ。しかしこの姿だと距離があって話しづらいな」

 賢王様が一声吼え声をあげて、足元に複雑な魔方陣が構築されて光に包まれると、光の中で竜の身体が縮んでいき人型に近付いていく。
 身長としては僕の父さんより少し高くて、濃い緑の髪と同じ色の瞳が特徴的で、顔には皺が刻まれている年配の理性的な細身の男性に化身した。
 トップスは白と青をベースとした生地に豪奢な金の刺繍が散りばめられた上着を濃い緑の腰帯で締めていて、ボトムスは白をベースとして側面に細く帯状に上着同様の生地があつらえられているズボンをはいている。

 竜妃様も同様に吼え声をあげると、明るい緑色をした髪と優しげな濃い緑色の瞳を持つ、胸の大きな美しい女性の姿に化身した。
 竜妃様も賢王様同様の生地のトップスだが帯は桃色をしており、ボトムスはズボンではなくて少しゆったりとしたスカートだ。

「父様、母様。人族の前で化身するなど、我には禁止していたではないですか!」
 グリ子(仮)が不満げな声を上げる。

「恩人の前で隠し立てしていても仕方あるまい。お前もなりたいんだったら化身するがいい」
 そう言われると、ブツブツ文句を言っていたグリ子(仮)も人型に化身する。

 グリ子(仮)は綺麗な翠色をした髪を頭の両サイド後方で縛って短いポニーテールを作ってる。前髪はやや目にかかるくらいの長さで前髪の2房だけが黄色をしていて跳ねておりピクピクと揺れている。
 目は大きくパッチリとしていて薄い緑色の瞳は元気で好奇心が旺盛そうな美人さんだ。身長は小さいのが気になっている僕よりやや小さく、スレンダーな体型をしていて賢王様同様の生地のトップスだが、丈が膝上まであるのでワンピースみたいに見えていて腰を赤色の帯で締めている。
 アンダーには賢王様と同じズボンだが膝が隠れるくらいの長さしかなくて非常に活発に見える服装だ。

「グリ子(仮)って女の子だったの?」
「そうなのだ。わかっていなかったのかー?」
 僕がびっくりして聞くとグリ子(仮)は語尾を間延びさせて答える。

 あまりにも竜のときとのギャップがありすぎるので問うと、どうやら竜形態のときは威厳を見せるためにあのような喋り方にしているらしい。本来はこんな感じでラフに喋るそうだ。

 グリ子(仮)とその両親に連れられて、大広間から階段を上り回廊を伝って別の部屋に案内される。その部屋のサイズは人族に合わせて作られており、高すぎず広すぎずなので落ち着く。

 部屋の中央には20人ぐらい座れそうな長いテーブルと座席があり、奥の座席に座るように薦められる。テーブルの天頂席は賢王様、僕の目の前の席が竜妃様、竜妃様の隣がグリ子(仮)だ。

 賢王様が手元においてあったベルを鳴らすと、数人の女性が料理を持って現れる。女性はみんなフリルのついたカチューシャをつけ、黒いワンピースにフリルの沢山ついた白いエプロンを着ている。話に聞くメイド服というものだろうか?

 こうして賢王様との晩餐が始まるのだった。


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