チート(現代知識)×チート(魔法)×チート(武術)はチート∞(天災級)?!

もるもる(๑˙ϖ˙๑ )

第16話(報告、告白、そして……)

 いつも通りの時間、いつも通りの部屋、いつも通りの朝を久しぶりに迎えた僕は、父さんと一緒に朝練を行い、ボリュームたっぷりの朝食を食べる。朝食を食べ終わると、父さんと母さんが席に着き、真面目な顔をして試験の結果を聞かれる。

 僕は学園長から預かった封筒を父さんに渡す。父さんは封筒をあけると、中には紙の束が入っていて、母さんと一緒に目を通した。

「まずは特待生の合格おめでとう、アル。俺には過ぎた息子だ」
「あなたは私たちの誇りよ。良く頑張ったわね」
 優しい言葉をかけられて、僕は嬉しくなって満面の笑みを浮かべてると、父さんは一枚の紙を僕に見えるようにテーブルの上に出す。
 その紙には以下のように書かれていた

『特待生合格証

 戦闘技能:測定不能
 魔法技能:測定不能
 読み書き:A
 計算  :S
 歴史知識:A
 一般知識:B

 ※戦闘技能、魔法技能においてはSSSを上回りますので、学園で正しい力の使い方を学ぶ事が必須です。必ず入学させて下さい』

「なぜこんな事が書かれているのかは、昨日冒険者に話した事とも関係あるのだろう?父さん、母さんに詳しく話してくれないか?」

 正直僕は夢の中の出来事を話しても信じてもらえないと思っていたので、特殊なスキルは何となく使えるようになったと両親には説明していた。
 何故ならスキルを使い始めた周りの同じ年くらいの子達に聞いたら、魂観の儀以降に意識せずともスキルが何となく使えるようになったと言っていたし、また魂魄と話せるかと聞いたら、何言ってるんだコイツ?という目で見られたからだ。両親からそんな目で見られたくないと思って、僕はずっと黙っていたんだ。

 1ヶ月後には学園に入学するし、簡単に両親にも会えなくなる。それに嘘はついていないけど両親にずっと隠し事をしているのも嫌になった僕は、怖がる気持ちを振り切って両親に話す。

「あ、あの。信じてもらえないかもしれないけど。僕の中には魂魄が3つもあって、夢の中だけになるけどその3つの魂魄と話ができるんだ。父さんに褒めてもらった剣術も、母さんにびっくりされた弓術や魔術もみんなその魂魄に教えてもらったんだ。例えば、こんな事とかも」
 恐る恐る両親の顔を見ながら話を切り出すと、両親は真剣な顔をしながら僕の話を聞いてくれているので僕は最近覚えた算術魔法を使う。

<エグゼキュート クリエイトストーン クリスタル>
<エグゼキュート ポリッシングストーン スフィア ターゲット>

 一つ目の算術魔法で僕の目の前に水晶の塊が現れ、次の算術魔法で水晶の塊が研磨されツルツルの表面を持つ水晶球になる。
 そして僕は、バツが悪そうにゴトンと机に落ちた水晶球を見る。父さんは恐る恐る手を伸ばし、水晶球を手に取ると感嘆の声を漏らす。そのまま無言で水晶球を母さんに渡すと、母さんはその手触りと透明度を確かめ、机の上に静かに置き、父さんと頷き合う。

「アルの事だから嘘は言っていないのだろう。しかしこの力は非常に危険だ。悪いことを考える連中にしたら喉から手が出るほど欲しがる力なのは間違いない。なぜなら、この一瞬に作ったこの水晶球を売りに出したら金貨5枚以上の値打ちが出る。まさに金の卵と映るだろう。だからこの力は伏せていなければダメだ。これから学園に入ったら、勉強や皆の魔法を良くみて、基本的にはその程度の魔法だけを使うようにしなさい。本当の危険が迫った時は全力を出さざるを得ないけどな」

 父さんと母さんは僕の言う事を信じてくれたので、ほっと胸をなでおろした。

「あ、あと。僕は新設された統合学科に入って色々挑戦したいんだ。授業が多くて厳しいといわれていたけど」
 僕が一番気になっていた学科のことを話すと、両親は頑張りなさいと応援してくれ、冒険者の宿の仕事があるから、また夜にでも話そうと仕事に戻っていった

……

 昼には友達に学園合格の話をして、羨望と嫉妬の眼差しを受け、夜には学園から端を発したドラゴン事件の一通りを説明し、眼鏡さんと筋肉さんと龍爺さんの話もした。母さんは楽しそうな方々ねと微笑んでくれたし、父さんはその鬼族と手合わせしたいと力瘤を作ってた。

 僕が就寝すると、いつもの夢の中に入っていく。

「よかったな坊主。両親に分かってもらえて」
 いの一番に筋肉さんが僕を迎え入れてくれる。

「この世界でお主に与えた力がそれ程までに脅威だと考えられているとは、全くわからなんだ」
「しかしこのレベルだと私の至高の魔法は少しも理解されてないのでしょうね……ですが、我々もアル君の目を通して、この世界の常識を見て、適切に振舞えるように協力しましょう」
 龍爺さんは申し訳なさそうに、眼鏡さんは残念そうにしたが、前向きに対策を考えてくれているみたいで嬉しい。

「だからまずは力を10%程度に抑えるパッシブの算術魔法を開発……」
「全てを算術魔法で何とかしようとするのをやめれ」
 そして眼鏡さんがそう言いかけると、即座に筋肉さんが突っ込みを入れるのだった。

「しかしじゃな……夢の中でないと助言できないとなると、この先色々不都合がありそうじゃな。どうやらお主はトラブルを呼び込む体質みたいだから特にな」
 龍爺さんが顎に手を当て真剣に考え込む。

「そんなこともあろうかと、既に算術魔法は完成させてありますよ。<パッシブ コミュニケーション ソウル>という魔法です。これは常に我々と少年が意思の疎通を行える魔法で、現実に戻ったら使ってみて下さい。ただし我々の声は他の人には聞こえないので、現実で話しかけてると、ブツブツと喋っているただの怪しい人に見られるから注意です。想うだけで我々には届くので声を出す必要はないですよ」
「本当に見せかけの反省しかしないのな。お前は」
「うるさいので黙っててもらえますか?この筋肉おバカさん」
「何を!このインテリ眼鏡!!」

 僕の夢の中なのに、ここは本当に賑やかで騒々しい。でも僕はそんな3人が大好きなのだった。


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