チート(現代知識)×チート(魔法)×チート(武術)はチート∞(天災級)?!

もるもる(๑˙ϖ˙๑ )

第14話(キャッスル3分クリエイト?!)

 僕が意識を取り戻すと、当たりは真っ暗だった。幾重にも折り重なった瓦礫の、ほんの少しの隙間に僕は倒れていた。

 身体を確認してみると、擦り傷などが多少あるけど、骨折や切断などの怪我はなさそうだ。

 パラパラと、砂や小石が転がる音がたまにするが、辺りは静かだ。グリ子(仮)は無事だろうかと、仲良くなった竜の事を気にかけながら、ここから脱出するための手順を確認する。

 確か、こうだったな……<エグゼキュート ストーンコンストラクション キャッスル>の魔法式を展開させると、周りの隕石の欠片が閃光を発し、あまりの眩しさに僕は目を閉じる。

 ガゴンッ!だが、ズゴンッ!だかの大きな音がそこらじゅうで響いて、身の危険を感じてしまったが眩しくて何も見えない。徐々に閃光の眩しさが消えてくると、目の前が明らかになる。

 ……うん。黒いお城だ。

 僕の足元には隕石を素材にした黒いレンガ状の床が敷き詰められており、その先には険しい山頂から削りだされたような形状の城がそびえ立っていた。その城の周り、僕の後ろには城よりも竜の背よりも高い壁がぐるりと囲われているのがわかる。僕はその城と壁の広場に尻餅をついた状態で座っている感じだ。

 城の方に目を向けると、竜でも通れそうな大きな扉が閉じているので、中には入れそうにもないなぁと残念に思っていると、見覚えのある竜が僕の元にやってくる。

「無事に生きておったか。隕石が落ちてきた時はこの世の終わりかと生きる事を諦めたのだが……相も変わらぬお主の意味不明な一撃で隕石を粉々にしたと思ったら、そのまま逃げる間も無く生き埋めになったのが見えて、そのままポックリかと思ったぞ」

 グリ子(仮)はどうやら心配してくれていたらしい。僕と目が会うと照れてそっぽを向く。そっぽを向いた先に大きな扉があったので、開くことができるか聞いてみると、わからんがやってみると回答が返ってきた。グリ子(仮)が扉に近付き、軽く前足触れると、扉はスーッと音もなく開く。

 開いた扉から中を覗くと、丹念に磨き上げられた隕石の通路が続いており、通路の高さ/幅共にグリ子(仮)の4倍以上ある造りになのでグリ子(仮)と一緒に奥を目指す。通路の所々に白い結晶が発光しているので、通路の中は柔らかな光で照らされていた。

 通路の奥には入り口と同じような扉があり、入り口同様にグリ子(仮)が触れると音もなくスーッと扉が開く。

 扉の中はかなりの広さの円形の大広間となっており、グリ子(仮)が10匹いても余裕がありそうな広さだ。天井は丸みのある黒い板で球状に覆われていているが、細かい粒が光を反射し星座のように光っている。

 壁にはドラゴンの背ほどあるような柱が立っており、その柱の上には円形の部屋を囲むように回廊が伸びている。そこに上がれるように所々に階段が設置されていて、回廊から放射線状に通路に繋がっているように見える。しかし、階段、回廊、通路共に人族が4人並べるくらいの幅しかないので、竜が使用することができなさそうだ。龍爺さんが人間と同じ大きさだったから、使い道があったのだろう。

 回廊の上には精緻な絵や文様がびっしりと描かれており、所々に発光する白い結晶が埋め込まれていて、絵や文様の一部のように結晶も設置されていて、絵/文様/結晶全てで荘厳さを醸し出している。

 グリ子(仮)もあっけにとられながらも、興味津々に首を動かして広間を見渡している。他にも色々ありそうだけど、取り敢えず寝起きするには十分そうだ。

「グリ子(仮)、これでねぐらは大丈夫かい?」
「十分すぎる!前のねぐらと比べられないくらい良さそうだ!!」
 僕が尋ねると嬉しそうに答えてくれた。

 まだまだ色々探検するところはありそうだけど、おなかが空いたし、そろそろ出発しないと父さんと母さんが心配するから帰りたいと伝えると、グリ子(仮)は気分良く、家の近くまで乗せて行ってくれると言ってくれた。
 幸い日も落ちかけて、周りが暗くなり始めているので、もう少ししたら竜が上空を飛んでいても誰にも気付かれないようになるなと思ったので、言葉に甘えることにした。

 もう少し時間があるみたいなので、大広間を探検してみると、綺麗な緑色の結晶が埋め込まれているのを見つけた。結晶のすぐ下には文字板が埋め込まれてあり、文字盤にはこのように書かれていた。

『ドーム開閉スイッチ:竜の魔力波とキーワードを検知するとドームが開閉します』

ドームという意味が分からないけど何かが開いたり閉じたりする機構みたいに思えるので、グリ子(仮)に、この緑の結晶に向かって「開け」と念じてくれとお願いする。

 グリ子(仮)が目を閉じ念じ始めると、緑色の結晶が強く輝きだす。

ゴゴゴゴゴゴ……

 という音が天井からするので見上げてみると、球状の天井が少しずつ開いていき、念じるのを止めると、天井が開くのがとまり、「閉じろ」と念じると閉まっていく。

「なるほど、ここから出入りできるみたいだね。外にも似たようなのがあるのか調べてみた方がいいかも」

 開いた天井から見える空は、すでに星が瞬く時間になっており、出発の刻限が近いことを教えてくれる。出発ついでに天井から外へ飛び立って、振り返ってみると天井開閉部の境目当たりに広めのスペースと緑に光る結晶があるのを見つけた。
 グリ子(仮)がそのスペースに降り、結晶に向けて閉じろと念じると、天井部が閉まっていく。

 安心したグリ子(仮)は僕を背に乗せ、僕の住んでいる村へと出発するのだった


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