チート(現代知識)×チート(魔法)×チート(武術)はチート∞(天災級)?!

もるもる(๑˙ϖ˙๑ )

第11話(竜との仲直り)

「貴様、何で生きているんじゃ?」
 化け物を見るような目で見ないで欲しいと思いながら、全方位シールドを張って耐えたことを説明するが、全然納得してくれないようなので、どうしたら信じてくれるか聞いてみたところ、本気で殴って見てくれと頼まれた。

 どんなことになるかわからないし、痛いし危ないと告げているのだが、人族の子供に竜の鱗が貫かれるはずがないと、自信満々に言うものだから、大変なことになっても怒らないでねと釘を指す。

 仕方無いからと、試験で使った技の威力を5%位の威力にして打ってみようと思う。

 僕が構えに入り、右腕に螺旋の魔力を込め始めると、竜の顔がどんどん青ざめていく。十分に魔力が溜まり螺旋の力として解放しつつ、掌底を繰り出す。

「おっ!ちょっ!おまっ!!」
 何か竜があわてて止めた気がするが、僕の一撃は竜の首と胴体の境に綺麗に入り、螺旋の力が解放される。
 螺旋の力は竜の巨体を吹き飛ばさずに、身体の内部を浸透し胴体を抜け、腰の辺りから衝撃が突き抜けていく。

ズゥゥゥンッ!!

 竜はグリンと白目を剥くと、口から泡を出しながら引っくり返ってしまった。

 ……あぁ、またやってしまった

 僕の自重したはずなのに全く自重できていない一撃が竜を昏倒させてしまうのであった。どうしよう……

 心配になった僕は<エグゼキュート ディティールサーチ ターゲット>と呟くと竜の詳細情報を確認する。
 よかった。命に別状が無いようで、状態が気絶になっているだけだ。

 ついでに他の情報を見てみると、種族がリトル翠竜エメラルドドラゴンとなっていた。緑竜グリーンドラゴンは聞いたことがあるけど、聞いたことのない珍しい竜らしい。
 確かに鱗の色がやや青みがかった緑に見える。こちらの事を心配してたところもあるし、人族にとって友好的な竜なんだろう。

 まだ起きる気配がないので、暇つぶしに木剣で型をなぞったり、新しい型の模索をしたりしていると、竜がピクリと身体を揺らす。
 心配なので目を覗き込むと竜は焦点の合わない目でしばらく僕を見ていると思っていたら急に後ろに跳び退った。

「貴様は何なのだ!!」
 なんか恐ろしいものを見た子供みたいにガタガタ震えながら竜が威嚇する。請われたから一発入れただけで、敵対しなければ何もしないと、持っていた木剣を腰に挿し、両手を開けて肩をすくめるポーズで敵意がないことを示す。
 竜の方も今までのやり取りを思い出したのか、少しは納得した顔でこちらの話を聞いてくれる。

「しかし、困ったのぅ。ねぐらがあの状態じゃ父様ととさま母様かかさまにこっぴどく叱られる。しかも遊びに行っている内に壊されたと知ったら・・・ガクガクブルブル」
 空ろな目をしながら竜がガクガクブルブルと震える。そもそもねぐらを破壊したのは僕なので、申し訳ない気持ちでいっぱいだから、ねぐらを何とかする事を提案する。

 できるのか?!と期待を込めた眼差しを受けた僕は、多分何とかなると答えた。
 ただ僕の足では山まではかなり遠いので、時間がかかってしまう事を話すと自分の背中に乗っていけばすぐだと、背中に乗ることを了承してくれた。

 竜の背中に乗れるなんて!まるで竜騎士のようだ!!と僕は喜び竜の背に乗らせてもらって、ねぐらまで連れて行ってもらう事にした。

「そういえば、ドラゴンさんの名前は何と言うんですか?」
 僕が尋ねると、竜というものは固有名詞がないらしい。

 鱗の色を示す竜語とその竜の魔力波形の型を意味する竜語を足したものが個別名になるそうだ。試しに聞いてみるとグワッギッグフゥらしい。全くわからない。

緑竜グリーンドラゴンの子供だから、グリ子でいい?」
 と聞くと不思議そうな顔をしながら、よくわからないからそれで良いと言ってくれた。本当にいいのだろうか?と思ったが、良いと言っているから取り合えずそれで呼ぶことにする。

 グリ子(仮)が大きく羽ばたくと少しずつ上昇が始まり、どんどん速度が上がっていく。

 あっという間に地上から離れ、さっき乗っていた馬車が小豆のような大きさになる。って状況をちゃんと報告しないと、大変な事になる!!と気づいた僕は、先ほどの馬車の少し先に下りてもらうように頼む。

 望みどおりの位置に降ろしてもらった僕は急いで馬車の方に走っていく。竜を恐れながらも御者さんと家族、冒険者の2人組が心配そうに声をかけてくれた。
 キチンと交渉がすんでトラブルが解決したので、これから竜のねぐらに一緒に向かってから、目的地である自分の家に帰ることを伝えると、何でねぐらに向かうのか訳わからんという顔をしながらも理解してくれた。

 これで、グリ子(仮)の討伐部隊とかが編成されないはずなので、安心してねぐらに向かう事にする。

 先ほどのように力強く羽ばたくと、どんどん地上が遠く離れ、馬車が米粒くらい小さくなると、アインツ竜峰の方角に向けて加速していく。
 ものすごい速さで飛んでいるので、吹き飛ばされるかと思ったのだけど、竜の背では微風くらいの風の強さだった。
 どうやら飛行中は風防の魔法が無意識で展開されているようだ。

 あっという間に、僕が吹き飛ばしたアインツ竜峰の山頂付近に到着すると、僕はグリ子(仮)の背から飛び降りる。
 周りを見渡すと、見事な程、綺麗さっぱり何もかもが抉れ消滅していた。

 いや、これはグリ子(仮)でなくても怒るよなぁ……と僕は思ったのだった

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