チート(現代知識)×チート(魔法)×チート(武術)はチート∞(天災級)?!

もるもる(๑˙ϖ˙๑ )

第08話(特待生用の新設学科って……)

 エレン学園長に案内された教室は、校舎1階の一番奥で、訓練場に最も近い教室みたいで、中に入ると適当な席に座るように促される。

 僕は一番背が低いので教壇に一番近い席に座ると、隣には人懐っこい雰囲気を浮かべた僕と同じような服装の男の子が座った。

「まずは特待生での合格おめでとうと言わせてもらうわ」
 エレン学園長は教壇に立つとお祝いの言葉をかけてくれた。

「今年は例年にないくらい優秀な受験生が集まり、例年の基準では特待生での合格間違いなかった子達も涙を呑む結果になるくらい、皆さんは突き抜けた能力の持ち主です。そんな皆さんに教鞭を振るえる私たち講師はとても幸せを感じております。学園生活は厳しくとも楽しい3年になると思いますが、一人一人が仲良く支えあって、卒業してくれる事を期待しています」

 ここで一呼吸間を置くと、真剣な表情で次へと繋いだ。

「そんな皆さんに向けて、今期より新設の学科が選択できるようになりました。本当は数年かけて協議に協議を重ねて実施する予定だったのですが、優秀な皆さんをより良く導くには……と早計に思いながらも実施に踏み切りました」

「皆さんには2つの選択肢があります。一つは例年通り、武術学科、魔術学科、商人学科、生産学科、経営学科に所属し、その道のスペシャリストになる為の学科への参加。もう一つは特待生としての新設の統合学科への参加になります」

「統合学科とは、一般課程の他に武術学科、魔術学科、経営学科の3つの専門過程を同時に履修していただく学科です。ですので当然授業の密度は3倍以上になるのですが、試験結果を見ると皆さんは全て2学科以上の適性を保有しているみたいですので、この統合学科でもやっていけると考えています」

 エレン学園長の説明にクラスがざわつく。

 僕だって心穏やかではない。ただでさえ、アインツ総合学園の授業は厳しくて3年後に卒業できる生徒の割合は5割程度だと言われている。そんな中、さらに3倍の密度って……

「皆さんの一存では決められないと思いますので、ご両親等と相談して入学書類提出の際に、どの学科を選択するかを記入して提出して下さい。皆さんの試験結果も同封しているので、選択の指針にすると良いでしょう」

 僕たちの戸惑いを分かったかのように、エレン学園長は話を繋いでいき、一人一人名前を呼びながら封筒を渡していく。

 最後に僕が呼ばれて封筒を渡されると、小声で「アルカード君は絶対統合学科ですよ」と囁かれた。

「入学に関しての説明に関しては、お渡しした封筒に詳しく記載されておりますので、よく読んで用意するべきものは用意しておくように。それでは説明は以上になります。門まで案内しますので、ついてきてください」
と締めくくると、教室を後にする。

「アルカード君だっけ?君はどうするつもり?」
 隣に座っていた男の子が親しげに声をかけてくる

「アルカードでいいよ。親しい人はアルって呼んでくれる。君は?」
 話しかけられるとは思っていなかったのでちょっとびっくりしつつ答える

「アルか。オレはオスローっていうんだ。俺も呼び捨てで構わないよ。俺は平民だけど騎士を目指しているから統合学科はちょうどいいって思っているんだ。剣と経営を学べるとなるとゆくゆくは軍団長とかになれちゃったりして、とかさ」

 どうやらオスローという男の子は卒業の厳しさなどを考えずに、卒業できた後の夢を思い描いているようだ。

「僕も父さんのような剣士の冒険者を目指していたんだけど、魔法にも適性があるみたいでさ。オスローと同じように剣も魔法も使える冒険者を目指してみようかな」
 言葉に出してみると案外しっくりきた。そうだこれからの厳しさに怯えるよりも、その先の夢に向かっていく挑戦していく方が何倍も楽しいかもしれない。

 アインツ総合学園の初めての友人になるかもしれないオスローと、今までの事とかや村の様子などを話している内に校門に到着した。

「それでは皆さん1ヶ月後に再会することを楽しみにしています。お身体には気を付けてくださいね」
とエレン学園長は微笑みながら僕らに手を振った。

 僕も手を振り返すと、オスローに別れの挨拶と再会の約束をして荷物のある宿屋へと向かった。

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