チート(現代知識)×チート(魔法)×チート(武術)はチート∞(天災級)?!
第05話(朝のひと悶着)
目が覚めるとまだ薄暗く見慣れない天井、見慣れない部屋だった。ぼやけた頭で考えてみると、だんだん思い出してきた。そうか今アインツに試験を受けに来てたんだった。
試験の結果は2日後に発表とあったし、今日一日はゆっくり街見学できるなぁと思いながら、いつもの日課をしに部屋から出る。
ここはアインツの冒険者の宿で、父さんのつてで泊まらせてもらっている。ここの冒険者の宿には、訓練できるちょっとした空きスペース的な庭があるのも父さんに聞いていたので、愛用の木剣を片手に向かう。
幸い庭には誰もいなかったので、いつものとおりに木剣を振るう。
袈裟斬り、水平薙ぎ、逆袈裟斬り、大上段からの唐竹割り、上段片手突き、中段片手突き・・・それぞれを一つ一つ確認しながら型を身体に染み込ませていく。
どんな型を知っていたとしても、それを扱う力と敏捷性がなければ、宝の持ち腐れなので、父さんの教え通り、愚直に毎日やり続けている。
でも、いっこうに身体が大きくならないんだよなぁ。
「あ、あの」
腕とか脚も細くてひょろひょろだし……
「えーっと」
父さんはあんなにガッチりしていて強そうなのに・・・あ、でも鍛冶屋のおやっさんほどムキムキではなかったな。
「す、すみません」
そうだ!格好いいガッチリ系。父さんはそんな感じだ。
「すみません!!!」
突然僕の後ろで大きな女の子の声がした。
びっくりして後ろを振り向くと、茶髪で髪をお下げにした僕と同じ年くらいの女の子が、空の木桶を持って目に涙をためながら不満げに頬を膨らませてる。
「さっきから声かけているのにっ!無視ですかっ!!」
なんか怒られた。僕怒られるようなことしてたかなぁ・・・
考え事をしながら素振りをしていて、まるで気にも留めてなかった自分の行動もわからず、僕は目を白黒させた。
「私はっ!水汲みをっ!したいんっ!ですけどっ!!」
短くスタッカートの聴いたしゃべり口で女の子が抗議をする。
ふと後ろを見ると井戸があった。そういえば庭と井戸のセットは定番だよね?
気がつくと朝日も顔を出して、少し周りが明るくなっていて、僕はバツが悪そうに頭を掻きながら、数歩退き、女の子に道を空けた。
女の子は僕をにらみながら通り過ぎると井戸に向かい水を汲みあげる。汲み上げた水を何度か木桶に移し、重たそうに持ち上げると宿に向かって進む。
隣を通る際にも、僕のほうをにらみつけるので、足元の窪みに気がつかない。僕の朝練により足型に凹んだ窪みは、女の子の足を取るのに十分な深さだった。
まぁ、普段から当たり前のように通っていたら、今日突然訓練をしてできた凹みがあるなんて、気がつかないのが普通だろうなと考えていたら、案の定、女の子がつまずいて倒れる。
僕は予想通りだったので、瞬時に踏み込み、女の子の倒れる方にもぐりこむと、女の子の肩をそっと支えるように手を出す。
女の子は受身を取ろうと両手を差し出す形になったので、予定通り肩を押さえる事ができた。
よくある恋愛譚だとここで胸とかに手が当たるんだろうけど、僕はそうならないように細心の注意を払う。それでゴタゴタに巻き込まれるのは嫌だしね。
ザバァァッ!!
うん。そうなるよね。
女の子の手から離れた木桶は当然宙を舞い前方へ飛ぶ訳で……という事は女の子の前方にもぐりこんでいた僕へ向かってくる訳で……僕は女の子の肩を両手で受け止めている訳で……木桶を弾く腕は残っていない訳で……
まぁ朝練で汗かいてたし、ちょうど良かったかな。なんて事を考えながら大量の水をかぶることになった。
幸い替えの衣服は持ってきていて、家でも洗濯の手伝いは当たり前のようにやっていたので、部屋に戻って着替えた後に、さっきの庭で洗濯でもしようと濡れた衣服を持って降りてくると、さっきの女の子とそのお母さんと見られる女性が待っていた。
どうやら、女の子の不始末を謝罪したかったらしい。
僕も色々迷惑をかけたので気にしてませんと答えながら庭に向かおうとすると止められた。せめて洗濯はさせて欲しいと言われて、自分でできるからと断ったが、何か押し問答になりそうなので、洗濯して貰う事にした。
そして朝食がもうすぐできるからと、食堂に促されたので素直に朝食をとりにいく。
朝食は豆の煮込みとパンと目玉焼きとミルク。のはずだったのだが……
なぜか、トルティージャ(具沢山オムレツ)と果物までついてきている。
それを運んでくれた先ほどの女の子がお盆で口元を隠しながら、上目遣いで「お詫びとお礼です」と一言言って走り去っていった。
僕はおなかがとても空いていたのでありがたく頂戴することにして、豆の煮込みを食べてみる。トマトベースのソースに、形を残したままホクホク食感の豆が美味しい。うちの店とは違って、香辛料が多めに効いているのは、街ならではの流通があるせいかな。
パンも硬い黒麦パンと違って、白い柔らかめのパンで煮込みにつけて食べると、パンによくソースが染み込んでいっそう美味しい。
追加のトルティージャはジャガイモとほうれん草とチーズが入っていて、卵の風味を損なわないように、薄めの塩コショウで味が調えられている。都会のセンスと流通を生かしていて、僕らの村ではなかなか出せない料理だと感じた。
味と量に満足する朝食を堪能したので、いよいよ街に出発だ。
試験の結果は2日後に発表とあったし、今日一日はゆっくり街見学できるなぁと思いながら、いつもの日課をしに部屋から出る。
ここはアインツの冒険者の宿で、父さんのつてで泊まらせてもらっている。ここの冒険者の宿には、訓練できるちょっとした空きスペース的な庭があるのも父さんに聞いていたので、愛用の木剣を片手に向かう。
幸い庭には誰もいなかったので、いつものとおりに木剣を振るう。
袈裟斬り、水平薙ぎ、逆袈裟斬り、大上段からの唐竹割り、上段片手突き、中段片手突き・・・それぞれを一つ一つ確認しながら型を身体に染み込ませていく。
どんな型を知っていたとしても、それを扱う力と敏捷性がなければ、宝の持ち腐れなので、父さんの教え通り、愚直に毎日やり続けている。
でも、いっこうに身体が大きくならないんだよなぁ。
「あ、あの」
腕とか脚も細くてひょろひょろだし……
「えーっと」
父さんはあんなにガッチりしていて強そうなのに・・・あ、でも鍛冶屋のおやっさんほどムキムキではなかったな。
「す、すみません」
そうだ!格好いいガッチリ系。父さんはそんな感じだ。
「すみません!!!」
突然僕の後ろで大きな女の子の声がした。
びっくりして後ろを振り向くと、茶髪で髪をお下げにした僕と同じ年くらいの女の子が、空の木桶を持って目に涙をためながら不満げに頬を膨らませてる。
「さっきから声かけているのにっ!無視ですかっ!!」
なんか怒られた。僕怒られるようなことしてたかなぁ・・・
考え事をしながら素振りをしていて、まるで気にも留めてなかった自分の行動もわからず、僕は目を白黒させた。
「私はっ!水汲みをっ!したいんっ!ですけどっ!!」
短くスタッカートの聴いたしゃべり口で女の子が抗議をする。
ふと後ろを見ると井戸があった。そういえば庭と井戸のセットは定番だよね?
気がつくと朝日も顔を出して、少し周りが明るくなっていて、僕はバツが悪そうに頭を掻きながら、数歩退き、女の子に道を空けた。
女の子は僕をにらみながら通り過ぎると井戸に向かい水を汲みあげる。汲み上げた水を何度か木桶に移し、重たそうに持ち上げると宿に向かって進む。
隣を通る際にも、僕のほうをにらみつけるので、足元の窪みに気がつかない。僕の朝練により足型に凹んだ窪みは、女の子の足を取るのに十分な深さだった。
まぁ、普段から当たり前のように通っていたら、今日突然訓練をしてできた凹みがあるなんて、気がつかないのが普通だろうなと考えていたら、案の定、女の子がつまずいて倒れる。
僕は予想通りだったので、瞬時に踏み込み、女の子の倒れる方にもぐりこむと、女の子の肩をそっと支えるように手を出す。
女の子は受身を取ろうと両手を差し出す形になったので、予定通り肩を押さえる事ができた。
よくある恋愛譚だとここで胸とかに手が当たるんだろうけど、僕はそうならないように細心の注意を払う。それでゴタゴタに巻き込まれるのは嫌だしね。
ザバァァッ!!
うん。そうなるよね。
女の子の手から離れた木桶は当然宙を舞い前方へ飛ぶ訳で……という事は女の子の前方にもぐりこんでいた僕へ向かってくる訳で……僕は女の子の肩を両手で受け止めている訳で……木桶を弾く腕は残っていない訳で……
まぁ朝練で汗かいてたし、ちょうど良かったかな。なんて事を考えながら大量の水をかぶることになった。
幸い替えの衣服は持ってきていて、家でも洗濯の手伝いは当たり前のようにやっていたので、部屋に戻って着替えた後に、さっきの庭で洗濯でもしようと濡れた衣服を持って降りてくると、さっきの女の子とそのお母さんと見られる女性が待っていた。
どうやら、女の子の不始末を謝罪したかったらしい。
僕も色々迷惑をかけたので気にしてませんと答えながら庭に向かおうとすると止められた。せめて洗濯はさせて欲しいと言われて、自分でできるからと断ったが、何か押し問答になりそうなので、洗濯して貰う事にした。
そして朝食がもうすぐできるからと、食堂に促されたので素直に朝食をとりにいく。
朝食は豆の煮込みとパンと目玉焼きとミルク。のはずだったのだが……
なぜか、トルティージャ(具沢山オムレツ)と果物までついてきている。
それを運んでくれた先ほどの女の子がお盆で口元を隠しながら、上目遣いで「お詫びとお礼です」と一言言って走り去っていった。
僕はおなかがとても空いていたのでありがたく頂戴することにして、豆の煮込みを食べてみる。トマトベースのソースに、形を残したままホクホク食感の豆が美味しい。うちの店とは違って、香辛料が多めに効いているのは、街ならではの流通があるせいかな。
パンも硬い黒麦パンと違って、白い柔らかめのパンで煮込みにつけて食べると、パンによくソースが染み込んでいっそう美味しい。
追加のトルティージャはジャガイモとほうれん草とチーズが入っていて、卵の風味を損なわないように、薄めの塩コショウで味が調えられている。都会のセンスと流通を生かしていて、僕らの村ではなかなか出せない料理だと感じた。
味と量に満足する朝食を堪能したので、いよいよ街に出発だ。
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