チート(現代知識)×チート(魔法)×チート(武術)はチート∞(天災級)?!

もるもる(๑˙ϖ˙๑ )

第01話(あれ?何でこうなった?)

 あれ?何でこうなった?

 僕の目の前の標的どころか防御結界が消滅。また標的の先にある校舎の3階以上が消滅。
さらにさらに遠く離れた先にあるアインツ竜峰の山頂付近がゴッソリと抉れてしまっている。

「な……なんだ今の?」あっけにとられる受験者
「……(ガクッ)」女の子が気絶
「キャァァァァァッ」大絶叫を上げ試験会場から逃げだす女の人
「ば……ばかな・・」呆然とする教員

 ま……まわりの視線があまりにも痛すぎる……

 ……

 14歳になる年を迎えると各種組合が合同で運営する職業育成機関アインツ総合学園への入学試験を受ける事ができるようになるが、家はそれほど裕福ではないので、学費の免除の特約がある特待生を目指して、田舎町から地方都市アインツに上京してきた。

 まぁ試験に落ちたとしても、地方都市に一人で出てきて、色々なものを見たり、食べたりできるのは大きな経験になると思っているので、気楽なものだ。

 試験会場はアインツ総合学園の戦闘訓練用の訓練場と大講堂のようで、訓練場では体力や戦闘スキル/魔法スキルの試験が行われる。訓練場は常に強力な防御結界が張られており、結界内外からの影響を完全に遮断している為、いざという時は避難場所として使われる事もあるらしい。大講堂では筆記試験が行われ、読み書きと計算、アインツの地理/歴史と一般常識などが試される。

 僕は冒険者に必要なスキルや武器の扱いを習得できる武術学科を志望しており、他に魔術学科、商人学科、生産学科、経営学科がある。学費免除の特待生枠は学科に関係なく10席になっている。

 今年は200名くらいの受験者が参加しているそうなので特待生の倍率は20倍だ。それぞれの学科の定員は30名になるので、20名×5クラス+特待生枠10名で、110名が合格するから、倍率は2倍程度になる。

 午前中に筆記の試験があり、武術学科の場合は、筆記はあまり重要ではない事もあり、店の手伝いで数字や文字に触れることが多かった僕は大丈夫だと思う。

 午後になると戦闘試験が開始される。魔法で作られた標的に向かって、魔法や武器で攻撃し、型や威力を見て評価しているようだ。

 僕が住んでいたのは小さな田舎町だったので、他の人がスキルを使っている所を見たことがなかったから、わくわくしながら他の人の試験を眺めていた。

 スキルとは7歳の誕生月以降に行われる魂観こんかんの儀により、啓示される魂魄こんぱくのありようによって得られる特殊能力の事で、力が強くなったり、早く動けたり、魔法が使えたりといったものがある。

 魂魄、ソウルや加護とも呼ばれるものは、前世の魂の記憶であり、どんな生物にも一つずつ存在すると考えられている。前世が魔法使いの場合は、魂魄の記憶を用いて簡単に魔法が使えるといった利点がある。魔法使いの魂魄がなくても努力を重ねることにより魔法を使うことができるが、魂魄持ちにはかなわないことが多い。

 僕の魂魄はちょっと特殊で……

「次!アルカードさん!」

 そんな事を考えている内に、僕の名前が呼ばれた。

 一応試験員に全力でやったほうが良いか聞いた所、特待生を目指しているなら力の出し惜しみをする理由はないと言われたので全力を出すことにする。

 左足を前に、右足を引く。左手は盾の様に構え、右手は軽く握りこみ中腰に構えて目を閉じる。大きく息を吸い、ゆっくりはきながら右腕に螺旋をイメージ。右腕に渦巻く熱を感じ目を見開く。体勢をさらに落とし、右足を蹴り出す事で左足を軸に反時計回りに回転しその勢いのまま右足を強く踏み込む!
 ズンッという腹に響く重低音が右足から響き、大地の勁と自分の勁を同期させると共に、低い姿勢から伸び上がる力も全て同一ベクトルに収束させる。腰溜めした拳を捻りこむ様に突き出し、標的に向かって螺旋の力を解放。

ズギャギャギャギャッッ!!!
バリッバリッバリッバリッバリンッッ!!

 一瞬で標的が消滅し、空気を劈くような衝撃音と目がくらむような真っ白な魔力光が斜め上に突き抜ける。衝撃音に追従するように幾重にも張ったガラスが粉々に砕け散る音……

 僕が放った衝撃光は標的/防御結界ごと喰らい尽くし、そのまま校舎を貫通し、遠く離れたアインツ竜峰まで到達すると、その山頂ごと全てを消滅させ、衝撃光は遥か彼方へ消えていった。

「え……えーっと」

 これ死人でたんじゃないかなぁ……っていうか防御結界脆過ぎでは?

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