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修学旅行

あやのさとし

第14話 友情

春休みを終え、高校3年生になった。
健康診断の日の朝、日の光で目を覚ます。
いつかの春のようにその日は、雲が多くいつ天気が悪くなってもおかしくないような日だった。また、雨が続いたこともあり、花びらの大半が散り落ちて、残骸のようになってしまっていた。

春休みの間に古くなってきたからと嘘をついて、サイズアップして作り直してもらった制服に着替え、学校に向かう。
昼夜はたくさん食べているけど、朝はちゃんと食事制限を続けてジムも通っている。
これまでよりも大きめの制服に、僅かでもゆとりが生まれてないことが気がかりだけど、痩せてるはず!と思った私は家では体重計には乗らなかった。
内心は測るのが怖かったのかもしれない。

学校に着き、健康診断が始まる。
身長を測定する。
159cm。
(変わんないか。あと1cm欲しかったな〜!)
体重計に乗る。
60kg。
(え、増えてる。。運動頑張っているのに。。)

家に帰ってふとLINEに目をやると、さやかから短距離走のレギュラーから外されてしまったと報告を受けた。
短距離走のタイムが思うように出なくなったこと原因だ。
ダイエット計画が思い通りに運ばない原因を2人で話し合ったが、答えは明確だ。
ちゃんと食事量も減らさないといけないという話になった。
もう1回ダイエット頑張ろう。
原因は分かってる。あとは直すだけだ。

しかし2ヶ月後、ジムをやめてしまった。
また、バランスの取れた食事だけにして、ジムで汗を流すようにした。

まさに禁断症状のようだった。お腹がすいて、力が出なくなる。活力がなくなる。運動をするとその分お腹がすいてしまい、食べてしまう。また体が重くなり、少しの運動でも疲れてしまうようになる。すると今度は食べる頻度が増える。消費量よりも摂取量が過多になる、まさに負のスパイラルだ。 

次第に余分な贅肉がさらに蓄積されてしまい、ランニングマシンで走ると、胸、お腹、お尻と体の至る所がぶるんぶるんと揺れに揺れ、私に走らせまいと阻害してきた。
怠けて休憩中に間食を取ることも増えていった。
買い直した水着もまた入らなくなり、水中ウォーキングは辞めてしまった。
痩せなきゃいけないと分かってはいるものの、体が思うように動かなくなってきた。贅肉という授かり物を持ちながらの運動はとても辛く、楽な道へと誘っていく。

こうして、まりんはジムを辞めた。
同じ時期、さやかも激太りにより部活での居場所がなくなり退部し、ジムにも通わなくなった。

午前授業だった7月のとある金曜日。
学校帰りに私の家でさやかと遊んでいる。
机の上にはピザや、ハンバーガーにチキンなどのファストフードからケーキやドーナツ、シュークリームなどのデザートまで高カロリーなものがずらりと並んでいた。
2人は安全ピンで止めているスカートのホックを外す。きつきつだった腰回りにゆとりが生まれ、まとわりついた脂肪が居場所を見つけたように流れていく。
そして、ファストフードの包装を取ると、部屋の中に美味しそうな香りが充満する。
「うっまーい!!あたし学校帰りのピザは最高だと思う!!」
「肉汁たっぷりでハンバーガーも最高だよぉ!」
「いやいや、このチキンもさ!…あ!そうだ今日ウィリアムス夫妻からもらったチキンソルト持ってきたの!これ振りかけて…うっまーーい!!」
さやかがチキンにかぶりつく。顎を引くとき肉が寄せられ、二重顎になっていた。
(チキンソルトか。。私あれどこやったっけ。。)
あたりを見渡すと、机の下にある埃被った袋を見つけ、中からチキンソルトを取り出した。
チキンにかける。温かいチキンの上に振りかけると雪が手に触れて消えるように消えていった。
かぶりつくと香ばしさが伝わってくる。
あぁウィリアムス夫妻と味わった味だ。
「美味しいね〜!!久々にウィリアムス夫妻に会いたくなっちゃうね〜!!」
「でも今のあたしとまりんの姿見ても、誰だか分かってくれるかなぁ〜??」
「たしかに。。そういえば今、わたしたちって何kgあるんだろう。」

体重を久々に測ってみようということになり、安全ピンを元に戻して、2人は階段を降りる。
洗面所でお母さんが体重計と睨めっこしている姿があった。

「74kgか。痩せないなぁ。」
後ろから私たちが覗く。
「ひゃあっ!!」
まずいものでも見られたようにお母さんが飛び上がる。
「もう、あなたたちお部屋で楽しんでるかと思ったら〜!これはあれよ。ダイエットの成果を確認してたのよ。しっかしあなたち2人ともぽちゃぽちゃしてきたわね〜双子ちゃんみたいでかわいいわ。でも少しずつ痩せないと私みたいな中年体型になっちゃうから気をつけなさいよ〜!」
そう言ってお母さんは洗面所を出ていった。

2人で顔を合わせ、まずさやかが半裸になり体重計に乗る。

胸は、谷間を形成できるほどに、大きくなっていた。腹筋があったとは思えないほど、パンツの上に贅肉がのっかり、はみ出していた。
1メートルは超えているであろう巨大なお尻は、ブラジル人を想起させるように突き出てきて、それに連なる太もももセルライトが目立ち始めていた。
最近はスポーツをしていないから肌も少し白くなった気がする。

87kg。

「あはは。もう陸上やってたとは思えないね。。笑まりんの番だよ。」

まりんが服を脱ぐ。
たわわな巨乳が目に入る。前のサイズではカップもアンダーサイズも到底合わないため買い替えた。そしてそれに負けないようにでっぷりとしたお腹が目に入る。縦に綺麗だったおへそは蓄えられた大量の贅肉で横に潰されていた。お尻と脚は真っ白な綺麗な形をそのまま大きくしていて、これはこれでマニア受けしそうだ。腕を振ると胸だけではなくくっついている2つ目の腕がぷるぷると揺れる。

「じゃあ乗るね。」
(お母さんより太っちゃったかな。同じくらいかな。)

78kg。

(こ、ここまで!?中学生の時と一緒だ。。)

でも、あのときのような孤独感に苛まれたり、もう痩せようという気持ちにはならなかった。
なんでだろう。。

「ねぇねぇ、まりん…お互いたしかに太っちゃったけど…さっきさ、お母さんが双子みたいだって!あたしね、、中学入ってからスポーツばかりしてたからみんなから男みたいって言われてすごくコンプレックスだったの。普通の女の子に憧れてた。だからね、アイドルみたいなまりんちゃん見て、あたしもそうなりたくて、勇気振り絞って声をかけたんだ。だからね、今すごく嬉しい。」

「さ、さやか。。泣。わたしは、、ずっと太ってていじめられてたの。でも、さやかがいつもいてくれたから、すっごく楽しかった。わたしも双子みたいにこれからもずっと一緒にいたい。」

贅肉の塊を間に挟みながら、2人は目に涙を浮かべ抱き合った。
私にはさやかがいる。同じ出来事を共有できる親友なんだ。
だから、体型なんてもうどうでもいい。
これからも2人はずっと一緒だ。

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