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修学旅行

あやのさとし

第5話 ウィリアムス夫妻

1週間が経った。
さやかとショッピングモールに行った日以来、日本は再び厳しい寒波に覆われていた。

リンリンリンリンリン!
静かな自室にスマートフォンの目覚まし音が鳴り響く。
7時だ!私は自然と飛び起きた。
足取り軽く、階段を駆け降りて、リビングに入るといつも通りエプロン姿の母がいた。
「あら、もう起きたの!?」
いつも寝坊がちな私。お母さんが目を丸くする。
「だって、今日はオーストラリアだよ!!はじめての海外ではじめての飛行機だもん!楽しみすぎるよ〜!私のサラダはどこ?」
「あ、ごめんなさいね。今から準備するからね。でもあなたちゃんとサラダ以外も食べないとだめよ。痩せすぎちゃって心配だわ。」
「なーにー。今のお母さんみたいにまた太っちゃっていいの〜?(ニヤニヤ)」
「こら〜お母さんだってダイエットしてるのよ。まぁあなた今は食べなさすぎるから少し前くらい食べたほうがいいかもね。」
「嫌だよ〜もう太りたくないから!じゃあサラダできるまでの間着替えてくる♪」

修学旅行の初日と最終日は学校を通る関係から制服着用が義務付けられている。
私は颯爽と制服に着替え、朝食を済ませた。
私はキャリケースを引っ張って学校へと向かった。
学校の最寄り駅でさやかと合流し、修学旅行の話をしているうちにすぐ学校に着いた。

そこからは流れるように時間が過ぎて行った。
旅行経験の乏しい私にとって、はじめての空港、はじめての飛行機、はじめての海外…その全てが新鮮味にあふれていた。
飛行機での長旅を終え、オーストラリアに着き、マイクロバスに揺られた水蓮女子高校の生徒一行は、とある会館に着いた。
もう夜になろうとしていたが、夏真っ盛りでとても暑く冬服の制服を身にまとっているのもあり、とても汗ばんでいた。そこで、髪をポニーテールのようにして後ろに結んだ。汗が滴のように滴る頸がブラウスの襟の隙間から見える。
この会館で7日間を共に過ごすホストファミリーとはじめて会う。

「え〜ここからはホームステイにてこれまでの語学学習の成果を出して頂きます。日々のコミュニケーションも全て英語。そんな環境で皆さんの実力がわかると思います。ではですね、今から皆さんのホストファミリーの方々の名前を順番に発表させて頂きます。名前を呼ばれたら、ホストファミリーの方が外で待っていてくれてますから、ホストファミリーの方と一緒にホームステイ先に向かってください。今回は皆さんのために20組のホストファミリーの方がいらっしゃっています。皆さんの先輩方がこのオーストラリア修学旅行にとても真面目に取り組み、食事や家の手伝いなど礼儀正しい行いをしてきたからこそ、今年もこのようにして修学旅行を行うことができています。水蓮学園の名に恥じぬようあくまで語学学習であること、集団行動の一員であることを肝に銘じ、取り組むことを期待しています。では、英語の高橋先生あとはお願いします。」
「はい。教頭先生ありがとうございました。では、発表していきます。1組の相澤さんと上坂さんは…」

会館の中がざわめきはじめた。
「わたしたち誰になるんだろうね!」
さやかが目を輝かせている。
「うんうん、はやく発表して欲しいよぉ〜」
はやく知りたい。外国人かぁ。海外ドラマを見るとジーンズやサングラスがとても似合うスレンダーな人や、胸やお尻が大きいグラマーな人が多い。少なからずそんな海外女性に憧れがあった。そんな人と1週間一緒にもし過ごしたら、海外の映画やファッションのこととか色々知りたい。
そんな期待に胸を膨らませていた。
「2組 彩木さん、速水さん!ウィリアムスさん夫妻、ジャックさんとミアさんです。移動してください。」
「私たちだ!行こ行こ!」
さやかはもう走って行った。もう、足が速いんだから。短距離走が専門の彼女だからこそ、こういうときの走り出しはいつも速い。
わたしは少し遅れて会館を出た。
左手には1つ前に呼ばれた女の子たちとホストファミリーの方らしき人が見える。
いかにも海外ドラマとかに出てきそうな、綺麗な熟年夫婦という感じだ。
私のホストファミリーはどんな人なんだろう。

あたりの見渡すと、さやかの後ろ姿が見えた。
しかし、それ以上にその後ろのビッグサイズな2人に目線がいってしまう。
どちらも、さやかの3倍くらいはあるだろうか。
「あ、ごめん、待たせたね。。」
さやかの横にわたしは行き、目で合図を送る。
そう、この人たちがウィリアムス夫妻なのか?と。
「遅いよ〜!あ、この方達がジャックさんとミアさんだよ!!」
戸惑いながらもさやかはそう答える。

私たちは簡単に自己紹介した。
でも、ウィリアムス夫妻の会話が全く頭に入ってこない。
体型にどうしても目がいってしまう。
ジャック•ウィリアムスさん。
スキンヘッドの頭をしているが、にっこり笑うととても優しそうに見える。
ほっぺから首にかけてフレンチブルドックのように肉がつき、喋るたびぷるぷると揺れている。
お腹は何人の子供を身篭っているのかというほど突き出ている。肩から背にかけては、肉が盛り上がっていた。
どうやったら、背中までこんな肉がつくんだろう。
こんな巨体を2本の脚でよく支えられているなと感心した。
次に、ミアウィリアムスさん。
綺麗なブロンドヘアーをしていて、厚手の化粧をしている。
胸、お腹、お尻に対してボンッボンッボンという表現がこれほどにまで合う人は見たことないくらい膨れた胸、膨れたお腹、膨れたお尻をしている。
顔まわりはとてもすっきりしているからため、顔と体を両方見ると錯覚でも起こしているのかと思ってしまう。
両者と握手をし、抱き合った。
指にまで肉がたっぷりついているので握手するだけでむちむちさが伝わる。
当然、抱擁も目いっぱい広げても手が回ることはない。

(どうやったらここまで太れるの。。)
それ以外の言葉が思い浮かばなかった。
目線を横にずらすとさやかが口をぽかんと開けていた。
私は妙に納得して、ホストファミリーの車に乗り込んだ。
「2人とも疲れたんじゃないかしら?日本からオーストラリアはとても遠かったでしょう。よかったら、これでも飲んで。」
そう言って、ミアさんは後部座席に座っている私たちの方を向き、コーラを差し出してきた。
「ありがとうございます。」
2人はそう言って受け取った。
(コーラか。しかもこれ600mlじゃん。。)
中学3年生のとき、ダイエットを決心してから一切飲んでなかった。もちろん今だって飲む気はなかった。
でも、オーストラリアに着いてからろくに水を口にしていなかったし、何より日本との寒暖差ががまりんの体力を奪っていた。
仕方ない。2年ぶりにコーラを口にした。
キャップを捻るとぷしゅーっと勢いよく音がする。
喉の奥で爽快に炭酸が弾け、口の中に甘みが広がった。
久しぶりに飲むコーラはとても美味しかった。
(お、美味しい。。)
辺りはもう暗くなっていた。拙い英語だったが、どうにか会話を弾ませつつ、2人はごくごくコーラを飲み干した。

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