婚約破棄戦争
第9話
「ヒィヒィヒィィィン」
「あらら。
これは、逃げて来たのかな?
困ったな。
どうしたらいいのかな?」
「我々が連れて行くと、御家に迷惑がかかると思われます。
騎乗するのは勿論、手綱を掴むのも問題があります」
「そうだよね。
でも、すてておくわけにもいかないよね。
何か提案はある?」
「そうですね。
この子達は皇家に納められるほどの名馬達でございます。
やるべき事を言って聞かせて、戦闘侍女の一人に先導させれば、色々と役に立ってくれると思われます。
「エファに策があるのね。
だったら、人選も含めて任せるわ」
「御任せ下さい」
マカァ姫一行は、クロウリー准男爵を懲らしめてやろうと、勇んで牧場の城に向かったのだが、城に着く前にギャラハー馬と軍馬の一団と出会うことになった。
どうやら牧場にいるギャラハー馬達が、マカァ姫一行の事を感じ取り、他の馬を率いて逃げて来たようだ。
全ての皇家御召馬に逃げられたら、クロウリー准男爵は厳罰を受ける。
クロウリー准男爵を推挙した、オキャラン王家のイーハ・オキャランも大恥をかく。
だがここでマカァ姫が手出しすれば、全てをマカァ姫の責任に転嫁するだろう。
そう話し合ったマカァ姫一行は、今回はクロウリー准男爵を見逃す事にした。
だがギャラハー馬一〇〇頭と軍馬一〇〇〇頭をそのままにも出来ないので、指図する戦闘侍女を付けて、策略に使う事にしたのだ。
★★★
「うわっぁぁぁl」
「馬が逃げたぞぉぉぉ」
「門をしめろぉぉぉ」
「ウギャァァァ」
皇都では、貴族士族庶民の別なく、全ての厩から馬が逃げ出した。
いや、馬だけではなく、荷駄に使う驢馬や牛にいたるまで、駄獣と輓獣が逃げ出した。
その指図をしたのが、マカァ姫一行から離れた戦闘侍女をであり、実際に駄獣と輓獣を統率したのは、皇家牧場を逃げ出したギャラハー馬一〇〇頭と軍馬一〇〇〇頭だった。
皇都内は阿鼻叫喚の惨劇となった。
全ての通りで、駄獣と輓獣が暴走するのだ。
鍛えていない普通の人間なら、馬蹄にかけられたら死を免れない。
全ての民が、家の閉じこもって震えていた。
厩に閉じ込められていても、貴族士族屋敷内で飼われていても、ギャラハー馬の蹴りには対抗できない。
戦時には砦の役目を果たす貴族士族屋敷の重厚な門扉も、ギャラハー馬が両後ろ脚で放つ蹴りを受けたら、ひとたまりもなく破壊されてしまう。
多くの屋敷では、厩務員だけではなく、騎士も徒士も総出で軍馬を抑えようとした。
特に騎士は、騎士であることの面目にかけて、愛馬を抑え込もうとした。
そんな混乱は、ルアン・アイル現皇太子の屋敷でも起こっていた。
「あらら。
これは、逃げて来たのかな?
困ったな。
どうしたらいいのかな?」
「我々が連れて行くと、御家に迷惑がかかると思われます。
騎乗するのは勿論、手綱を掴むのも問題があります」
「そうだよね。
でも、すてておくわけにもいかないよね。
何か提案はある?」
「そうですね。
この子達は皇家に納められるほどの名馬達でございます。
やるべき事を言って聞かせて、戦闘侍女の一人に先導させれば、色々と役に立ってくれると思われます。
「エファに策があるのね。
だったら、人選も含めて任せるわ」
「御任せ下さい」
マカァ姫一行は、クロウリー准男爵を懲らしめてやろうと、勇んで牧場の城に向かったのだが、城に着く前にギャラハー馬と軍馬の一団と出会うことになった。
どうやら牧場にいるギャラハー馬達が、マカァ姫一行の事を感じ取り、他の馬を率いて逃げて来たようだ。
全ての皇家御召馬に逃げられたら、クロウリー准男爵は厳罰を受ける。
クロウリー准男爵を推挙した、オキャラン王家のイーハ・オキャランも大恥をかく。
だがここでマカァ姫が手出しすれば、全てをマカァ姫の責任に転嫁するだろう。
そう話し合ったマカァ姫一行は、今回はクロウリー准男爵を見逃す事にした。
だがギャラハー馬一〇〇頭と軍馬一〇〇〇頭をそのままにも出来ないので、指図する戦闘侍女を付けて、策略に使う事にしたのだ。
★★★
「うわっぁぁぁl」
「馬が逃げたぞぉぉぉ」
「門をしめろぉぉぉ」
「ウギャァァァ」
皇都では、貴族士族庶民の別なく、全ての厩から馬が逃げ出した。
いや、馬だけではなく、荷駄に使う驢馬や牛にいたるまで、駄獣と輓獣が逃げ出した。
その指図をしたのが、マカァ姫一行から離れた戦闘侍女をであり、実際に駄獣と輓獣を統率したのは、皇家牧場を逃げ出したギャラハー馬一〇〇頭と軍馬一〇〇〇頭だった。
皇都内は阿鼻叫喚の惨劇となった。
全ての通りで、駄獣と輓獣が暴走するのだ。
鍛えていない普通の人間なら、馬蹄にかけられたら死を免れない。
全ての民が、家の閉じこもって震えていた。
厩に閉じ込められていても、貴族士族屋敷内で飼われていても、ギャラハー馬の蹴りには対抗できない。
戦時には砦の役目を果たす貴族士族屋敷の重厚な門扉も、ギャラハー馬が両後ろ脚で放つ蹴りを受けたら、ひとたまりもなく破壊されてしまう。
多くの屋敷では、厩務員だけではなく、騎士も徒士も総出で軍馬を抑えようとした。
特に騎士は、騎士であることの面目にかけて、愛馬を抑え込もうとした。
そんな混乱は、ルアン・アイル現皇太子の屋敷でも起こっていた。
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