大国王女の謀略で婚約破棄され 追放になった小国王子は、 ほのぼのとした日常を望む最強魔法使いでした。

克全

第170話消耗戦

意を決して、迷いを断ち斬り、龍級の魔法を連携連続して放った。
龍級とは言っても、余とガビが連携しているから、最低限龍級と名乗れるような攻撃ではない。
次の階級を名乗るまでには、十倍もの間がある。
最低限の龍級から比べれば、三倍の破壊力がある。
そんな攻撃を、連続して八発も、両手両足を狙って放たれたのだ。
ダイであろうと、柳に風とは受け流せない。
狂気に囚われ、龍に変化しているとは言え、戦闘本能は失われていない。
八発の龍級攻撃魔法を、簡単に防御魔法で防ぎ切ってしまった。
ダイの事だから、手足を斬り飛ばす事など出来ないとは思っていた。
だけど、少なくとも一発は、身体に当てる事が出来ると思っていた。
あてた後で、身体防御に防がれると思っていた。
いや、正直に言おう。
四発は身体に当てることが出来ると思っていた。
「ルイ様。次は身体の中心に向かって、連続十二発放ちますが、大丈夫ですか」
「任せてくれ」
「では、呼吸を合わせて下さい」
「分かった」
ガビの指示通り、十二発の攻撃魔法を放った。
さっきは不意をつけたが、これからは避けられる可能性もある。
一番避け難い、身体の中心を狙う。
ガビは余の魔力量を心配してくれていたが、これくらいの攻撃は余裕でこなせる。
むしろガビの魔力量に余が驚いている。
まあ今回は、一発放つごとに魔界から魔力を吸収しているので、全く魔力が減っていない。
外界から魔力を吸収できる能力や技を持っている者でも、一度に一瞬で取り込める量には限りがあるのが普通だ。
龍級の魔法を創り出す為の魔力量を考えれば、いくら魔素の溢れた魔界とはいえ、周囲の魔素が一時的に枯渇するのが当然だ。
だが今回は、ダイを隔離している空間には、余とガビの魔法とダイの魔法が激突した際に、莫大な量の魔力が魔素に分解されているから、そこから幾らでも吸収できる。
いや、ダイよりも早く吸収しなければ、ダイを魔力切れに追い込めない。
千日手のように、余とガビが連携して攻撃し、ダイがそれを防ぐと言う事が続き。
その合間に、余とガビとダイが魔素を吸収する。
当然の事だが、狂気に侵され龍化していても、ダイが魔素の吸収を疎かにしたりはしない。
一対一なら、完全に千日手となっていただろう。
だが余には、ガビが付いていてくれる。
二対一なら、ダイを圧倒する事が出来る。
「ウガァルルゥ」
ダイもこのままでは負けると判断したのだろう。
天に向かって大きく吠えると、余とガビの攻撃に対応しながら、恐ろしい魔力を身体の中で練り始めた。

コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品