大国王女の謀略で婚約破棄され 追放になった小国王子は、 ほのぼのとした日常を望む最強魔法使いでした。

克全

第168話持久戦

「ウガァルルゥ」
「ダイ。もういい加減、正気に戻ってくれませんかね」
「ウガァルルゥ」
駄目だ、ブレス攻撃してくる。
「ルイ様。ダイを魔界から切り離すために、私が重層防御魔法陣を幾百層も重ね掛けします」
「分かった。私もその上から重層防御魔法陣を重ね掛けするよ」
困った事に、ダイのブレス攻撃は、魔界を荒廃させる程の圧倒的な破壊力がある。
その破壊力は、余とガビが重ね掛けした重層防御魔法陣を、易々と突き破るほどだ。
だが本当の問題は、破られた魔法陣を、どれだけ早く修復して穴を塞ぐかだ。
ダイがブレス攻撃の為に消費した膨大な魔力を、魔界の魔素から補給させないようにしないと、未来永劫この戦いは終わらない。
「ガビから見て、ダイの魔力は減っているか」
「そうですね。魔界から取り込む魔素を減らすことには成功していますから、極僅かずつではありますが、減らせていると思います」
「この状態で戦い続ければ、どれくらいでダイの魔力は尽きるかな」
「千年くらいでしょうか」
「それじゃ駄目じゃん」
「そうですね。駄目ですね。でも、ルイ様と一緒に戦えるなら、千年も長くはありません」
「いや、俺の寿命が千年も持たないから」
「そんな事はありません。私と縁を結んだからには、千年どころか万年は生きていただきます」
「やれやれ、そんな長生きする事など考えていなかったから、何をすればいいか困るな」
「それだけ長く添い遂げると考えていたからこそ、ルイ様が旅する事を笑って見ておられたのですよ。そうでなければ、家を出て一緒に旅しておりました」
「そうか。それだけ長く生きるのなら、ダイの目を覚ましたら、旅を再開してもいいな」
「それは駄目でございますよ。ルイ様の所為で、私が多くの国を統治するはめになったのですから、その国々の統治が上手くいくまでは、一緒に政を行っていただきます」
「それはそうだね。ガビにばかり苦労をかける訳にはいかないな」
「ルイ様の理想の為ですから、苦労とは思いませんが、一緒に政を行い、国を育てたいです」
「そうだね。一緒に国を育てると思えば、政も面白いかもしれないね」
「はい。ルイ様」
ガビとラブラブな会話をしながらも、ダイを正気に戻すために、激烈な攻防を続けていた。
ダイが魔力を補給できないように、重層防御魔法陣で囲いながら、緋緋色金級の攻撃を繰り返していた。
余とガビが緋緋色金級の攻撃魔法をダイに叩きつける度に、ダイは余とガビに報復攻撃を放つ。
そのブレスの破壊力は、これまでの等級では測れない、龍級と言うべき超絶した破壊力だった。
荒廃して、もう何の生物も生きていないと思える魔界の大地が深くえぐられ、辛うじて生き延びていた生物が殺戮されていった。

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