大国王女の謀略で婚約破棄され 追放になった小国王子は、 ほのぼのとした日常を望む最強魔法使いでした。

克全

第157話ビッグウルフ狩り

「次は何を狩りますの」
「ビッグウルフを狩ろうと思っているのだ」
「それも、イーゼム国の魔境にいますの」
「ああ、以前ダイから聞いた話では、イーゼム国には未開の魔境が多く残されているそうなのだよ」
「それは私も存じています」
「それはそうか。ダイはミカサ家に仕えているのだよな」
「はい」
「じゃあ、ダイがウルフ魔境と言っていた場所の情報も持っているのだね」
「はい。実際に行った事はありませんが、ダイが報告してくれた内容は記憶しています」
「だったら案内してくれるかい」
「御任せ下さい」
ルイとガブリエラ王女は、ビックベア等の獲物を一旦持ち帰り、解体を依頼して、またイーゼム王国に入っていた。
そして別の魔境にやって来ていた
「ルイ様、気配を消して頂けますか」
「余達の気配を感じたら、ウルフ達が隠れるのだね」
「はい。ウルフ系の魔獣は、縄張りに敏感ではありますが、同時に強弱の見分けにも秀でております」
「今迄のような気配の消し方では駄目なのだね」
「はい。無意識の気配消去ではなく、キッチリ意識して、場合に寄ったら魔法を使って気配を消して頂きます。成長途上のウルフなら、無意識でも大丈夫ですが、白銀級となると、私達の気配を嗅ぎ取るかもしれません」
「分かったよ」
ルイとガブリエラ王女は、互いに魔法を重ね掛けして、気配を消した。
ペーガソスとクリューサーオールにも、二人で魔法を重ね掛けして、気配を完全に消した。
「銅級の魔獣をここで解体して、ウルフ達を誘いだそう」
「魔獣の血の匂いで誘い出すのですね」
「うん。ウルフ系が強くなり過ぎて、弱い魔獣が減ってしまって、結構飢えているようだから、あっさり引っかかるかもしれない」
この魔境は、ウルフ系が強すぎて、人間の冒険者や狩人も近寄らなくなっているようで、魔獣のバランスが崩れてしまっているようだ。
共喰いが始まれば、又バランスが取れるのかもしれないが、ウルフ系は下手に知性が高いために、飢餓状態になっても、必死で共喰いを我慢しているようだった。
そんな魔境で、大量の銅級魔獣を解体したのだから、ウルフ達の警戒心と理性を崩壊させるのは当然だった。
ルイとガブリエラ王女の、圧倒的強者の気配があれば、ウルフ達も歯を食いしばって我慢したのだろうが、二人は完全に気配を隠蔽していた。
金級以上に成長した、千頭を超えるウルフ系の群れが、食欲に理性を崩壊させ、ルイとガブリエラ王女が待ちかまえる場所に殺到した。
二人は事前に万全の準備を整えていたので、殺到するウルフ達の群れを、風魔法と土魔法を複合させた何百もの旋風破で迎え討った。

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