大国王女の謀略で婚約破棄され 追放になった小国王子は、 ほのぼのとした日常を望む最強魔法使いでした。

克全

第152話夫婦狩り

「ルイ様、二人で冒険するのは初めてですね」
「そうだな、二人とも立場があるから、なかなか冒険は出来ないからね」
「でも、今はお互い独立した身ですから、誰に指図される事もなくなりましたね」
「そうかな。家族や家臣から諫言されるのではないかな」
「諫言はされるでしょうが、命令されることはないでしょ」
「そうだね。でもどうなのだろう。王配と言うのは独立した一人前の立場なのだろうか」
「結婚したら、一人前なのではありませんか。それに、ミカサ家に婿入りされたのですから、もはや母国からもベル王家からも、命令されるいわれはないのではありませんか」
「そうか、そうなるのかな。でも、余とガビは、まだ結婚式と披露宴を行っていないのだが」
「既にベル王国内はもちろん、他国の王族や貴族に至るまで、ルイ様と私の婚姻は通知しております」
「そうなのかい。何時そう言う事になったの」
「ルイ様が旅立たれる前日に、ベッドを共にした日からです。いけなかったですか」
「いけなくなんてないよ。知らなかったから、確かめただけだよ」
「ちゃんとお知らせしておかないと、知らずにルイ様に色目を使う王族や貴族がいたら、嬲り殺しにしてしまうかもしれませんから、そんな事のないように配慮させていただきました」
「そうかい、そうだったのか。でも、余に色目を使うモノ好きな王女や貴族令嬢はいないよ」
「そんな事はありません。ルイ様の魅力の虜になって、国や家を滅ぼす王女や貴族令嬢は、とても多いと思います」
「ガビの勘違いだとは思うけれど、ガビがそれほど僕の事を大切に思ってくれているのは嬉しいよ」
ルイとガブリエラは、仲良く並んで魔境狩りを続けていた。
時には手をつなぎ、時には接吻しながら、有り余る魔力と体力を駆使して、手当たり次第に魔獣や魔蟲を狩った。
その強さは、長年ガブリエラの側近くに仕えてきた、親衛隊も驚愕するほどだった。
以前から、ベル王家とミカサ公爵家の中でも、突出した魔力を誇ったルイとガブリエラだったが、二人がペアを組む事で、恐ろしい相乗効果が現れ、単独時の百倍を超える魔力を湧きださせていた。
二人が夫婦になる事で、この世の誰も対抗できないような、超絶的な強さを獲得した。
二人が揃っていたら、古代龍の軍団が相手でも、軽く殲滅出来るだろう。
でもそんな夫婦が今実際にやっている事と言えば、民を飢えさせないための食糧確保だった。
だが今の二人の魔法袋は、底なしと言えるほどの収容量となっている。
どれほど狩っても一杯になることはない。
そのお陰で、ガブリエラの楽しい時間は、何時までも終わることはなかった。

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