大国王女の謀略で婚約破棄され 追放になった小国王子は、 ほのぼのとした日常を望む最強魔法使いでした。

克全

第122話処分

「なんてこった。本当に何も知らないようだな」
「放しなさい、下郎」
「さて、知らないとなれば生かしておく必要もない」
「なんですって?! 止めなさい。止めるのです!」
「今までさんざん罪もない人々を殺して来たんだ。自分が殺される番になったからと言って、文句を言える筋合いではないだろう」
「何を言う! 下賤な者共の命と、高貴な私の命を同じだと言うのですか!」
「ダメだ。何を言ってもムダだし、さっさと死にな」
ダイは何の感情も顔に浮かべず、冷酷非情にバカ王女を殺した。
武器も手足も使わず、ただほんの少し魔力を叩きつける事で、心臓を破壊してしまった。
ルイの警護をするようになり、側近くに仕えるうちに、徐々に人間らしい感情を表すようになってはいたが、その根本は人間など歯牙にもかけない存在なのだ。
まして人間のなかでも下劣極まりないバカ王女など、虫けら同然の存在でしかない。
それでも多少人間らしい感情が育っているので、ルイの前でバカ王女を殺すのは不味いと考えたし、ましてルイにバカ王女を殺させる訳にもいかないと考えて、自分が手を汚すことにしたのだった。
ダイは直ぐにルイの護衛に戻りたかったが、ルイにバカ王女の事を聞かれるのは嫌だった。
バカ王女を殺したことは当然だと思ってはいたが、ルイが女性を殺すのを嫌がっているのも知っていた。
バカ王女の犯した罪を考えれば、殺すしかないのを理解していても、ルイはバカ王女を殺すことで心を痛めるだろう。
そしてダイがバカ王女を殺したことを、自分がなすべきことをダイが身代わりになってくれたと、余計に心を痛めるだろう。
そう思ったダイは、しばらくルイの前に現れないようにしようと考えた。
ルイの側に護衛役がいない事は心配だったが、同時に魔王以外にはルイを傷つけることができないのも理解していた。
古竜にさえ圧勝するところを目にして、ルイの性格なら格下の相手に不覚を取ることが無いと確信できたのだ。
ルイが実力通りに戦えるのなら、たとえ相手が伝説の龍であろうと、互角に戦えると確信したので、ここは独自で魔王召喚魔法陣を探すことにした。
純粋な魔力量だけを考えれば、ルイはダイに劣らない。
だが数十万年生きてきたダイと、十数年しか生きていないルイでは、経験値と言う面では天と地ほどの差があった。
ルイが額面通りの探知魔法を、ダイに匹敵する莫大な魔力量で使うのに対して、ダイは莫大な魔力量に加えて、老練な経験による技術によって、細やかに探知魔法を使った。
ルイでは探り切れなかった事が、ダイには探し出せたのであった!

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