大国王女の謀略で婚約破棄され 追放になった小国王子は、 ほのぼのとした日常を望む最強魔法使いでした。

克全

第109話使い魔

「アネットさんに使い魔を送ります」
「必要ですか?」
「ユニコーン小母さんがいるとは言え、今回の探査は長くなりそうですから、心配しないように毎日送るべきでしょう。彼女たちのことも心配ですから」
「そうですか? ユニコーン小母だけではなく、クリューサーオールとペーガソスがいますから、それこそ玉鋼級でも出てこなければ、何の心配もないと思いますが?」
「ダイが国に使い魔を送ったのと同じですよ。僕から見れば、父王陛下やミカサ公爵のおられる国には何の心配もないと思いますが、ダイは気になるのでしょ」
「故国と個人を一緒にするのはどうかと思いますが、万全の体制を築いていても、心配だと言う事は同じかもしれません」
「まあ、若い女性を不安にさせてはいけませんから、使い魔は毎日送りますよ」
「いちいち私に許可や報告を求める必要などないとは思いますが、若様が気になるのでしたらお止めはしません。ですがアネットを心配して毎日使い魔を送られるのでしたら、ガブリエラ公女殿下にも毎日使い魔を送っていただきたいものです」
「これは一本とられましたね! そうですね。ちょっと僕もガビの事を安心し過ぎていたようです。先にガビに近況報告の使い魔を送りましょう」
「そうしていただければ、若様の守護を命じられた私の顔もたちます」
「そうでしたね。ダイにも悪いことをしていましたね。離れ離れになった婚約者同士なら、毎日使い魔を送り合って近況を報告すべきでしたね」
「いえ、普通使い魔を持っている人間はいませんから、使い魔を使って遠距離恋愛をするカップルなどいませんが、若様がガブリエラ公女殿下に使い魔を送っていただけるのは喜ばしいことです」
ルイとダイは、古竜が住んでいるかもしれないダンジョンを探査しているにもかかわらず、何とも緊張感のない話をしていた。
それとルイとダイほどの魔法使いだと、自身の魔力を塊にして、使い捨ての使い魔のように働かせることも可能だし、魔晶石を核に紙や羊皮紙に魔法陣を刻んで、再使用可能な式神のような使い魔を創り出すことも可能だ。
もちろん定番の魔物・精霊・動物などを臣従させて、使い魔として使役することが一番多いのだが、ルイとダイは魔晶石を核にした人造使い魔を好んで使うようだった。
そしてダイに続いてルイも故国に使い魔を送ったことで、二人がエステ王国の悪行を知るきっかけとなり、魔王召喚にかかわることになったのだ。
はたして二人は魔王召喚を阻止することができるのだろうか?
いや、エステ王国のネッツェ王国侵攻の裏に、魔王召喚が隠されていることに気付けるのだろうか?!

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