大国王女の謀略で婚約破棄され 追放になった小国王子は、 ほのぼのとした日常を望む最強魔法使いでした。

克全

第79話連合王国

「我が国は不当な侵攻をしたオーランド王国に対して、厳重に抗議を行うと同時に、謝罪と賠償金の支払いを要求します。もしその要求がかなえられない場合は、新生フィン連合王国の国王としてオーランド王国への宣戦布告を行うであろう」
「フィン連合王国のゼッド国王陛下の宣言に対して、ベルト王国の全権大使に任命されている我も協力を宣言する。オーランド王国が誠意ある対応をしなかった場合は、フィン連合王国と同盟を結び、共にオーランド王国に侵攻するであろう」
フィン王国軍とオーランド王国軍を無力化したルイとダイは、戦闘を行うことなく国境線を押し戻し、さらにはオーランド王国の後方部隊まで麻痺と眠りの魔法で無力化した。
伝説の妖精族の協力を得たルイとダイは、妖精族の伝説を利用して、フィン王国軍とオーランド王国軍の将兵をたぶらかし、新生したフィン連合王国軍に組み込んだ。
そして急いで兄のオットー王太子に会いに行き、ベルト王国軍が侵攻した地域の割譲を条件に同盟を結び、一緒にオーランド王国に対抗することを提案した。
被害を恐れないなら、ルイとダイだけでもオーランド王国を併合することもできるのだが、二人とも民を巻き込んでまで領地を手に入れたいとは思っていなかった。
それはオットー王太子も同じで、下手にフィン王国内に長くいると、エステ王国などの領地を接する他国がベルト王国に攻め込んでくるかもしれなかった。
どれほどの大軍が攻め込んできても、ベルト王国は軽く撃退できるのだが、オットー王太子はもちろんルートヴィヒ国王も、領民を巻き込むかもしれない戦争を始める気はなかった。
そこでルイとオットー王太子の兄弟はよく話し合って、ルイとダイが占領したフィン王国の七割は、ダイの主君であるミカサ公爵家の領地として、ミカサ公国を建国することになった。
そして獣人山岳地帯は獣人が治める首長国を建国することになったが、代表となる首長はのちのち決めるのだが、どう考えてもルイが選ばれることになるだろう。
そしてルイとダイが創り出した、奥山岳地帯と魔境内の地域に関しては、ルイが国王を務める魔境王国を建国することとして、三つの地域の代表する連合国の連合国王に戴冠することになった。
だがせっかく自由を手に入れたルイは、国王になって自由を失うのを嫌い、幻覚魔法と変装を駆使して、影武者に国王の仕事を代行させるつもりで、ゼッド国王を名乗るのであった。
そこまでの話を短時間でまとめた兄弟は、ともに手を携えてオーランド王国との国境戦に戻り、連名でオーランド王国に抗議文を持った使者を送った。
事態の急展開に対応できないオーランド王国に対して、フィン連合王国とベルト王国は、連名で周辺各国に事の経過を知らせる使者を送り、オーランド王国に侵攻する場合に備えた。
後手に回ったオーランド王国が、現状を確認して使者を送るまで七日間もかかってしまったので、その時にはフィン連合王国とベルト王国は体勢を固めていた。
ベルト王国は、フィン王国に派遣していた軍を国内に戻し、全軍をフィン連合王国以外の国境線に派遣した。
フィン連合王国は、捕虜にした旧フィン王国軍とオーランド王国軍の将兵を完全に心服させていた。

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