大国王女の謀略で婚約破棄され 追放になった小国王子は、 ほのぼのとした日常を望む最強魔法使いでした。

克全

第63話迷子捜査2

虎獣人村で話がまとまったルイは、カーラに手伝ってもらいながら迷子の捜索を行った。
本当は現場にくわしい虎獣人に案内してもらった方がよかったのだが、人手が足りないのが一目瞭然だったので、探索魔法で魔境を確認した。
ルイの無尽蔵ともいえる魔力なら、魔境と奥山の境界線を魔法を使って確認することは簡単な事なので、案内の人間を求めなかったのだ。
「人間は撃退したぞ! 安心して村に戻れ! こちらは魔境があるから危ないぞ! 人間は撃退したぞ! 安心して村に帰れ!」
カーラを置き去りにするくらい急いで魔境にまで来たルイは、限界まで広げた探知魔法で魔境を探ると同時に、目視でも迷子の獣人族を探した。
同時に拡声魔法を使い、広い範囲で人間が撃退されたので、安心して村に帰るように話しかけた。
だが獣人族の子供たちは、ルイの声を襲ってきた人間族の罠と思い込み、父親や母親に言われたとおりに、山奥に向けてひたすら逃げていった。
「ダメだ! そっちは魔物がいるから行っちゃダメだ」
「きゃぁー、助けてー」
「ママー! 助けてー!」
二人の女の子が必死で逃げている。
だが逃げる方向には魔境があり、魔物が待ち構えているのだ。
逃げている獣人の女の子たちにはテイマーの才能があるのか、それとも普段からよほど可愛がっているのか、象や河馬や狐などの獣が一緒に行動しいている。
女の子を護ろうとしているのだろう、本能は魔境から遠ざかりたいだろうに、恐怖を抑えて一緒に魔境に向かって走っている。
ルイはためらわずに眠りの魔法をかけた。
強度は弱く抑えたが、効果の範囲を大きくとり、万が一にも二人の女の子と動物たちが魔境に入ってしまわないように配慮した。
何とかギリギリ魔境の外で子供たちを眠らせることに成功したが、子供たちを護ろうと先頭を走っていた河馬が、急に広くなった魔境の中に取り込まれてしまった。
魔境の中にいた魔物たちは、子供たちが魔境に入ってくるのを待ち構えていたのだろう、運悪く魔境の中に入ってしまった河馬を喰らおうと殺到した。
だがこんなこともあろうと、事前に魔法の発動準備をしていたルイが、河馬に防御魔法を展開すると同時に、大量の魔法の矢を魔物めがけて撃ち込んだ。
フィン王国軍将兵よりは圧倒的に強い魔物ではあるが、ルイの魔法の矢を受けて助かるはずもなく、銅級・鉄級・銀級・金級に関係なく、即死させられ魔法袋の収納されることになった。
ルイは急いで子供たちと動物たちを魔法のじゅうたんにのせ、虎獣人の村に戻ろうとしたのだが、さらに急激に魔境が広がり、凄まじい勢いで魔物が殺到してきた!

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