大国王女の謀略で婚約破棄され 追放になった小国王子は、 ほのぼのとした日常を望む最強魔法使いでした。

克全

第61話迷子捜索

ルイとダイが徹底的フィン王国軍を根絶やしにしたので、フィン王国軍に奴隷として連れ去られた獣人は全て開放された。
「自警団は装備を確保して連れ去られた仲間を助けに行く。残りの者たちは炊き出しを行い、帰ってくる者達を迎える準備をするのだ」
「「「「「はい!」」」」」
だが個人や少人数で奴隷狩りに参加した、冒険者や貴族にさらわれた獣人がまだいるかもしれない。
他にも村が襲撃されたことで必死に逃げ出し、森の中で迷子になっている獣人の子供がいるかもしれない。
落ち着きを取り戻した獣人達の村では、その村ごとの状況に応じて対応を取っていた。
「女子供は壊された防壁や柵をなおすのだ。自警団は奥山に逃がした子供たちを探しに行くぞ」
「「「「「おう!」」」」」
ルイとダイは魔法を駆使して残敵の捜索を行っていた。
フィン王国軍や冒険者が一人でも生き残っていたら、村から逃げ出した獣人の子供がまたさらわれる恐れがあるので、情け容赦なく人間を探し出しては殺した。
「きゃぁ~」
「大丈夫だよ。私はいい人間だから、君をさらったりしないよ」
「いや! 来ないで!」
「大丈夫だよ。その子に聞いてごらん。その子なら僕が悪人ではないと教えてくれるよ。それに僕が悪人なら、僕の乗っているクリューサーオールが従ったりしないよ」
「うそよ! ヒッポグリフに乗った悪い人間がいたわ!」
「困ったな。狐よ。私が悪い人間じゃないと伝えてくれないか」
ルイは見つけた獣人を助けたのだが、小さい子供が一人だったりすると、怯えて危険を顧みず森の中を前も見ずに逃げ出してしまう事もある。
それに子供だけで村に帰れるはずもないので、秘事の魔法を隠すのを止めて、魔法袋から魔法のじゅうたんを出して、助けた女子供を乗せて一緒に行動するのだった。
最初一人だった迷子の子供が二人三人と増え、十人二十人となり、最後には魔法のじゅうたんに乗せ切れないほどの人数となり、仕方なくフィン王国軍捜索殲滅を中止して、一番近くの獣人村に送り届けなければいけなくなった。
ルイは送り届けた時に、一人一人に魔法袋から食料を分け与えると共に、村自体にも緊急の援助食糧を渡し、夜通し警戒を続ける為の炊き出しをするように勧めた。
ルイとダイが入念にフィン王国軍を殲滅してはいるが、どこかにルイとダイを欺くような強者がいるかもしれないし、恐怖のどん底に陥れられ、精神的に不安定になった女性や子供たちには、大人が火を囲んで護っているところを見せた方がいいと思ったのだ。
だがここでどうしても見落としになる場所があった。
ルイとダイは、どうしてもフィン王国方面に重点を置いて捜索殲滅を行わなければいけないので、反対側の奥山方面の捜索が手薄になってしまうのだった。

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