大国王女の謀略で婚約破棄され 追放になった小国王子は、 ほのぼのとした日常を望む最強魔法使いでした。

克全

第57話獣人族

カーラの話を聞いたルイは、獣人たちを助けに行くことにした。
フィン王国の現実は通過した時に嫌と言うほど見ていたので、そんな国に奴隷として連れ去られる獣人達を見過ごしにはできなかったのだ。
ルイとダイはカーラを連れて隊商に戻り、事情を説明して隊商から離れる事を話した。
ルイとダイに頼っていた隊商のリーダーガルドも、事情を聞いて助けに行くなとも言えなくなり、一緒に旅するのを諦めるのだった。
それに今なら、護衛のオリビアが魔斧槍と魔鎧をある程度使いこなせるようなっており、実力的は青生生魂級に匹敵している。
百や二百の盗賊団や軍隊など簡単に全滅させられるので、ルイやダイに頼らなくても大丈夫なのだ。
ルイとダイとカーラは、それぞれクリューサーオールとペーガソスと箒に乗って、獣人たちの住む山岳地帯に急いだ。
ルイもダイも自分の飛行魔法で移動した方が早いのだが、クリューサーオールとペーガソスがダイの側を離れようとしないので、時間はかかるが二頭に乗って移動するしかなかった。
できる限り急いで駆け付けたルイとダイだが、すでに獣人たちの村は襲われた後で、多くの家が火を付けられて燃えていた。
ゆいつ救いがあるとしたら、殺すより生け捕りにして奴隷にするのが目的なので、戦える男の戦士は別にして、女子供が生かされていることだった。
だが生かされているとはいっても、親や子供の目の前で、多くの兵士に輪姦されると言う地獄のような惨状で、一目見てルイの堪忍袋がブチ切れた!
怒りに任せて超圧縮された空気が、獣人たちを襲う人間の兵士に叩きつけられ、それこそ一瞬で上は将軍から下は雑兵まで、ズタズタ切り裂かれた。
「助けを連れてきたよ! 助けが来たよ!」
襲わられていた獣人たちも何が起こったのか分からなかったが、箒に乗ったカーラが喉の嗄れるのも厭わず大声で叫び続けるので、ルイとダイによって助けられたのだと、ようやく理解できるような状態であった。
あまりに惨い村の状況に怒りで我を忘れたルイだったが、襲っていた人間の将兵を皆殺しにしたことで冷静になり、火がつけられ燃えてしまっている家を消火することにした。
あれほど燃えさかっていた村の家々が、ルイの魔法によって一瞬で消化されるのを見た獣人たちは、夢や幻を見たように呆然としていた。
いや、そもそも人間の兵士に襲われたこの現実を、夢や幻であって欲しいと願い、狂気の世界に逃げ込みたいと思っていたのかもしれない
「クリューサーオールとペーガソスの騎士様、村をお助け下さりありがとうございます。ろくなお礼もできませんが、まずは私の家でお休みください」
獣人たちの村長だろう老人が話しかけてきた。
「いや、他の村も襲われているかもしれない。直ぐに見回りたいから案内ができる者を付けてくれ」

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