大国王女の謀略で婚約破棄され 追放になった小国王子は、 ほのぼのとした日常を望む最強魔法使いでした。

克全

第47話ビッグクロコダイル

ルイと一緒に魔境に入ったオリビアが狩りの相手に指名されたのは、やはりギースと同じビッグクロコダイルと呼ばれる魔鰐だった。
理由は簡単で、湿地帯にあるこの魔境で最も数が多く、多少多く狩っても滅亡する事などなく、開拓村に影響を与えないからだ。
ギース以外には脅威でしかないビッグクロコダイルだが、ギースがいる開拓村にとってはいい金蔓でしかないのだ。
もちろんギース以外の村人には、ビッグクロコダイルは死神と同じなのだが。
さてオリビア対ビッグクロコダイルなのだが、オリビアを見つけたビッグクロコダイルは、ギースを見つけたビッグクロコダイルと同じように、オリビアを食べようと突進してきた。
だがギースの時と違ったのは、魔剣の力や魔法の支援を受けない状態でも、オリビアが白銀級の実力があるという事だ。
オリビアは余裕を持ってビッグクロコダイルの突進を避け、ただの一撃でビックタイガーの頭部を粉砕してしまったのだ!
「次は商品価値を損なわないように、頭を叩き潰すのではなく、刃の切れ味で皮と骨を切り裂いて下さい。そうすれば損なう皮の部分も少ないですし、頭蓋骨も武器や防具に加工できます」
「分かった」
オリビアは短く返事をすると、また川に近づいてビッグクロコダイルを誘うのであった。
オリビアに気付いたビッグクロコダイルの一頭は、またもオリビアを食べようと突進してきたが、今度はルイの指示を守ったオリビアに頭を叩き切られ、脳の生命維持を司る部分まで断ち切られて即死することになった!
「よくやったね、オリビア。今度は叩き潰すことも斬ることもなく、寸止めの衝撃波だけを脳内に加えて殺せるか試してくれ。とても難しいことだから、何十回何百回かかってもいいから、一つの技を覚えるつもりで試してくれ」
「分かった。やる」
ルイの言う事はとんでもない無理難題だったが、今度もオリビアは一言で引き受けてしまった。
魔斧槍の攻撃力と切れ味を確認したオリビアは、例えビッグクロコダイルが相手でも、注意深く避ければ負けることはないと確信していたのだ。
もし万が一無理な体勢になったとしても、魔斧槍を使えば無理な体勢からの一撃でも、ビッグクロコダイルを即死させられる自信を得ていたから、少々の難題にも対処できる状態だったのだ。
最初から五度目までの攻撃は、皮や頭蓋骨を損なわないように気を使ったので、ビッグクロコダイルから遠過ぎる場所に寸止めしてしまった。
六度目から十度目までの攻撃は、同じく皮や頭蓋骨の商品価値を損なわないように気を使ったので、叩き込む衝撃波が少な過ぎた。
ちょうど十一度目の攻撃で、皮も頭蓋骨も損なうことなく、脳だけを衝撃波で破壊することに成功して、傷一つ無い状態のビッグクロコダイルの死体が手に入れることに成功した。
この後十頭ものビッグクロコダイルを殺し、新たな技を確実に習得すべく修練を積んだが、それはオリビアを大金持ちにする行為だった。
「さて、次はドラゴンを相手に練習しようか」

コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品