大国王女の謀略で婚約破棄され 追放になった小国王子は、 ほのぼのとした日常を望む最強魔法使いでした。

克全

第23話ミスリル銀大盾

「これを持って行ってくれ」
「これはミスリル銀でできた大盾ではありませんか?!」
「ダイくらいの強者なら、レベル差で石化の呪いをはね返してくれるとは思うんだけど、万が一の事があるといけないから、これを使ってくれ」
「ありがとうございます。遠慮せずに使わせて頂きます。しかしよくこのような物をお持ちになっておられましたね」
「まあね。僕は臆病者だから、どんな場合でも生き残れるように、いろんな物を用意しているんだよ」
「ご慧眼でございます」
ダイはミスリル銀で作られた大きな盾を左手に持ち、身体強化魔法で通常の10倍の速さになった駆け足でメドゥーサの所に行った。
途中で出会った魔物はサクサクと狩り、全ての獲物を魔法袋に収納した。
メドゥーサの頭部は無数の毒蛇が髪の毛のように生えており、口からは猪のような牙が生えている。
また肘から先の腕は青銅鱗で覆われ、剣の攻撃をはね返す硬さがある。
さらに背中には黄金に輝く翼を持っていて、ダイか近づくと宙に舞ってダイの攻撃を受けないようにした。
「卑怯者! 地に降りてきて堂々と戦え!」
「卑怯はお前だ! 正々堂々と言う言葉のまやかしで、相手に能力を使わせないようにして、自分に有利なルール殺そうとする。相手を不当に落としてめて、自分は能力を全て使い、相手には能力を使えないようにする、いかにも人間らしい卑怯な戦い方だ」
「ほう、よくわかったな。どうやらバカではないようだな」
「ふん、人間の考えることなどお見通しだ」
「だったらこうしてやるよ」
ダイは飛行魔法を使って宙に舞い、メドゥーサを奇襲した!
だがメドゥーサも強者であり、ダイの奇襲を上手くかわし、石化の呪いをかけてきた。
だがダイは鏡のように磨かれたミスリル銀の大盾を持っていて、メドゥーサの石化の呪いをはね返すことができた。
いや、それ以前にルイとダイが互いに重ね掛けしたミラーバリアの防御層があり、ミスリル銀の大盾に届く前にはね返していた。
自分がダイに向けてかけた石化の呪いを、自分自身で受けてしまったメドゥーサであったが、何とか呪いに対抗することができた。
だが呪いに抵抗している間は身動きができなかったので、飛行魔法を使って近づくダイから逃げることができず、ダイの振るう剣で首を切り落とされてしまった。
ダイは伝承を信じて、切り落とされたメドゥーサの頚から噴き出る血を集めて魔法袋に収納した。
伝承によれば、メドゥーサの右の血管から出る血は死者を生き返らせる力があり、左の血管から出る血は不死の力を持つモノを殺す力があると言われていたのだ。
それが本当かどうかは分からないが、一応集めておいて確かめようとしていたのだ。
メドゥーサの頚から噴き出る血は多く、とても同じ大きさの人間からは出ない量であったが、相手は魔族であるのでその様な事もあるのだとダイは思っていた。
信じられないほど大量の血液を手に入れることができたダイは、背中を向けて戻ろうとしたのだが、背後から急に強大な気配を感じた!

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