大国王女の謀略で婚約破棄され 追放になった小国王子は、 ほのぼのとした日常を望む最強魔法使いでした。

克全

第21話ポイズンスネーク

「ルイ様、ダイ殿、今日もよろしくお願いします」
「「「「「お願いします!」」」」」
「はい、よろしくお願いいたします。今日の子供たちは、昨日の子供たちより強い子が混じっていますね」
「はい。昨日若様とダイ殿が来られた時には、パーティーを組んで狩りに行ける子たちは魔境に入った後だったのです。ですが今日は、若様とダイ殿が許可してくださるのなら、この子たちも一緒に狩りに行かせてほしいのです」
「構わないですよ、では一緒に行きましょう」
レイラが手助けしている老人や孤児たちの中には、パーティーを組めばギリギリ魔境で狩りが出来る孤児たちもいたのだ。
普段ならその子たちは、自分の食べる分だけは何とか自分たちで手に入れようと、何時でも逃げられるような魔境の浅い所で狩りをするのだが、安全を優先すれば何も狩れない日の方が多いのだ。
そんな子たちではあるが、昨日子供たちよりは力はあるので、運搬役としたら役に立つし、何より狩りの練習になるので、ルイたちと一緒に行動させたいとレイラは考えたのだ。
今日は最初から二百人規模の大人数になったが、昨日の実績を考えれば当然の事だし、昨日の待遇が瞬く間に噂になったので、昨日は待遇の悪いこの国の冒険者の運搬役をしていた者も、今日はルイたちの運搬役をさせてもらおうと待ち構えていたのだ。
ルイとダイは、魔境に入って直ぐに目に付く獣や魔物を手当たり次第殺し、直ぐにバーベキューの準備をするように命じた。
今日は大人数だったので、ルイとダイの眼が届く範囲は大丈夫だが、老人と孤児たちだけで換金に行く往復が危険なので、前日よりも浅い場所で狩りをすることにしたのだ。
その為には魔物を浅い場所まで引き寄せる必要があるので、バーベキューをして匂いで魔物や獣を誘い出すことにしたのだ。
匂いにつられたオオネズミとファングラットが誘い出されてきたので、昨日と同じように武器を貸し与えた子供たちに狩りの練習をさせていた。
今日から参加した少し腕の立つ孤児たちは、鋼鉄剣を使う事でいつもより簡単にオオネズミやファングラットを狩ることができていた。
それでも狩り切れずに逃がしてしまいそうになるオオネズミやファングラットは、ルイとダイが昨日のように指弾を使った石飛礫(いしつぶて)で仕留めた。
孤児たちが狩った魔物は質が悪くても換金することにして、ルイとダイが石飛礫で仕留めた魔物を、その場で解体してバーベキューの材料にした。
「少し強い魔物が近づいて来たね」
「鉄級程度でございますが、レイラに狩らせますか?」
「いや。鉄級なら子供たちに狩らせてみよう」
「レイラに決めさせた方がいいのではありませんか」
「その方がいいか?」
「我々は直ぐに立ち去る身でございます。この国に残るレイラの意見を優先すべきでしょう」
「そうか、分かったよ」
ルイとダイは相談してレイラの意見を優先させることにしたが、レイラは魔物の正体を確認してから判断したいと言った。
レイラが確認したら、近づいて来るのは五メートル級の毒蛇で、やはり鉄級に分類されている魔物だった。

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