大国王女の謀略で婚約破棄され 追放になった小国王子は、 ほのぼのとした日常を望む最強魔法使いでした。

克全

第20話魔法鍛錬

「ダイ、魔法の鍛錬をしたいのだが、構わないかい?」
「今のところ刺客が近づいて来る気配もありませんし、身体強化魔法と支援魔法に結界魔法をかけたうえで、限界まで魔力を使われてください。ただしいざと言う時の為に、予備の魔力を蓄えた魔晶石をいつでも使えるようにしておいてください」
「分かっているよ」
二度目の運搬役と子供たちが換金に帰った後で、魔境のレベルに見切りをつけたルイとダイは、魔力向上の為に限界まで魔力を使う事にした。
もちろん十分安全に配慮しているのだが、限界まで魔力を使う事は非常に危険な事なので、普通は完全に安全を確保した自宅や訓練場でしかしない事なのだ。
それを魔境の中でするのは常識外れなのだが、ダイを信頼しているのと、身体強化魔法と支援魔法をかけたあとでなら、剣技だけでもこの魔境の魔物を狩れると言う絶対の自信があってのことだった。
ルイとダイは互いに重ね掛けが出来る身体強化魔法・支援魔法・結界魔法を何十もかけたうえで、魔境の地下に埋蔵されている貴金属を集めることにした。
本来は盗掘行為になるので、他国の地下資源を魔法で集めたりしないのだが、この国は地下資源を民の為には絶対使われないだろうと考え、自分が民の為に使おうとルイは決断したのだった。
そして集めた貴金属のうち、素材だけで高価に換金できるものは、そのまま魔法袋に収納し、質のいい鉄は特殊な魔法を複合して使い、鋼鉄の剣や盾に変化させた。
今直ぐ子供たちに与えても、質の悪い冒険者や役人に目を付けられ、力づくで奪われてしまうから、ある程度実力がついてから与えるか、自分たちの眼が行き届く魔境内だけで貸し与えようと考えたのだ。
三度目の運搬役と子供たちが来た時も、最初はオオネズミのバーベキュー料理でお腹一杯にさせて、空腹で狩りの練習をしなくていいようにしたうえで、隊商に預けている山賊(偽装した領主軍)から奪った剣で狩りをさせてみた。
だがやはり質の悪い剣では、何度も何度も叩かないとオオネズミを倒すことはできなかった。
だが質のよい鋼鉄剣ならどうなるか知りたかったルイは、二度目の狩りを鋼鉄剣でやらせてみた。
結果はルイの想像通り、鋼鉄剣はオオネズミの皮を断ち肉に食い込んだ。
力のある大人なら骨まで達していただろうし、ある程度の実力者なら一刀で骨を断っていただろう。
問題は子供たちだと腕が未熟過ぎるので、オオネズミを切ろうとして自分の足を切ってしまう心配があったことだ。
実際に子供たちの中には自分の足を切ってしまう子がいて、レイラに治癒魔法をかけてもらっていた。
仕方ないので、しばらくは質の悪い鉄剣で狩りを続けさせることになった。
四組目、五組目の運搬役の老人と子供がやってきたが、ルイとダイがあまりに簡単に大量の魔物を狩るので、レイラは連れてくる老人と子供の人数を増やしてきた。
結局この日は七度も運搬役が交代することになり、冒険者ギルド前で運搬役を待つ老人と子供五百人全員が仕事にありつき、お腹一杯の食事と小銭を手に入れることができた。

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