大国王女の謀略で婚約破棄され 追放になった小国王子は、 ほのぼのとした日常を望む最強魔法使いでした。

克全

第16話冒険者レベル

ルイとダイは、隊商と老人と幼子と一緒に旅を続けていた。
山賊に偽装してまで隊商を襲った領主が、あの後も襲って来ることを心配していたのだが、二度も襲撃に失敗し、しかも全滅してしまったので、もう一度襲うだけの兵力を整えられなかったのだ。
それだけではなく、領境を護っていた関所に置く兵士さえ数が足らなくなっていた。
そのお陰で何の検査もされることなく悪徳領主の領地から出て、問題なく王家の領地に入ることができた。
しかし王領地には悪徳代官がおり、宿場町に入ると税金を取られるので、二度の襲撃で手に入れた三百人分の武器や防具などの装備が高く売れるだろう魔境に着くまで、街道の休憩所で野営して過ごした。
王領地に入って三日で魔境のある町にたどり着くことができたのだが、その頃にはルイとダイも隊商の人間とある程度打ち解けていた。
「オリビアは魔境に入らないのか?」
「護衛ある。魔境入らない」
「そうか、そうだね。契約した護衛の仕事をおろそかには出来ないね」
「ガルドは新しい護衛を雇うのかい?」
「若様とダイ殿は魔境に長期間留まられるのですか?」
「実際の住み心地を確認しないと、老人と幼子を預けられないからね」
「しかしこの国だと、どこに行っても老人と幼子だけで暮らせるとは思えませんよ」
「私もそう思うのだが、多少はお金を稼いでおかないと、これからの旅が窮屈になるからね」
「今のうちの隊商ではお礼は出来ませんが、一緒に旅してくださるのなら、今まで通り幌馬車に乗ってもらった上で、食事くらいはお出しできますよ」
「そうだね、それはありがたい話だけど、他の国に行ったからと言って、そこが楽園とは言えないからね」
「確かに若様も言われる通りではありますが、この国ほどひどい国はありません。ベルト王国に行ければ一番なのですが、あの国も今はエステ王国に目を付けられているので、しばらく様子を見ないといけません」
「ベルト王国はそんなに危険なのかい」
「ベルト王国自体は差別の少ない平和な国で、税も各段に安いのですが、小国の哀しさで、いつ隣国に攻め込まれるか分からないのです」
「そうだね、その心配があるね」
ガルドやオリビアと今後の事を話し合ったが、とりあえずしばらくは魔境の町に留まることにして、冒険者組合で魔境に入る手続きをした。
ルイもダイも、ベルト王国の冒険者組合で証明書を発行してもらっていたので、何の問題もなくフィン王国の冒険者証を手に入れることができた。
冒険者組合ではそれぞれ白銀級の冒険者として登録されたので、大いに狩りの成果を期待されたので、とりあえず適当に狩ってみて、この国の冒険者組合が適正に買い取ってくれるか確認することにした。
だが問題だったのは、この国が貧しく民が困っているので、農民や町民として暮らしていけない人が、危険を覚悟で冒険者になっており、銅級の冒険者がとても多いと言う事だった。
その程度の実力では、死ぬかギリギリ食べていけるかで、とても家族を養うことなどできない。
だから魔境の周りには、荷物持ちの仕事を待つ老人や子供が多くいた。
だがみな痩せ細ってとても荷物を持てるとは思えない姿だった。
そんな状態だったから、白銀級冒険者だと分かったルイとダイには、おこぼれに預かろうとする銅級の冒険者が案内役をすると近寄り、荷物持ちをさせてもらおうと老人や子供が集まってきた。
普通なら無視するところなのだが、掃溜めのような冒険者組合の中で、ただ一人病人や子供たちに施しをしているプラチナブロンドの女戦士がいた。
「すまないけれど、今日ここに来たばかりで、どの子を荷物持ちに雇ったらいいか分からないんだ。教えてくれないかな」
「なぜ私に聞くの?」
「あなたに聞けば、施すべき相手と、報酬を与えるべき相手の区別を付けてくれると思ったんだよ」

『冒険者組合レベル』
銅:同レベルに認定されている魔物を単独もしくはパーティーで狩れるレベル
:同レベルに認定されている魔法が使える
鉄:同レベルに認定されている魔物を単独もしくはパーティーで狩れるレベル
:同レベルに認定されている、銅級の10倍に相当する魔法が使える
銀:同レベルに認定されている魔物を単独もしくはパーティーで狩れるレベル
:同レベルに認定されている、銅級の100倍に相当する魔法が使える
金:同レベルに認定されている魔物を単独もしくはパーティーで狩れるレベル
:同レベルに認定されている、銅級の1000倍に相当する魔法が使える
白金:同レベルに認定されている魔物を単独もしくはパーティーで狩れるレベル
:同レベルに認定されている、銅級の1万倍に相当する魔法が使える
白銀:同レベルに認定されている魔物を単独もしくはパーティーで狩れるレベル
:同レベルに認定されている、銅級の10万倍に相当する魔法が使える
玉鋼:同レベルに認定されている魔物を単独もしくはパーティーで狩れるレベル
:同レベルに認定されている、銅級の100万倍に相当する魔法が使える
金剛石:同レベルに認定されている魔物を単独もしくはパーティーで狩れるレベル
:同レベルに認定されている、銅級の1000万倍に相当する魔法が使える
緋緋色金:同レベルに認定されている魔物を単独もしくはパーティーで狩れるレベル
:同レベルに認定されている、銅級の1億倍に相当する魔法が使える
青生生魂:同レベルに認定されている魔物を単独もしくはパーティーで狩れるレベル
:同レベルに認定されている、銅級の10億倍に相当する魔法が使える

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