「異世界動画で億万長者・ドローンの御蔭で助かっています」(神隠しで異世界に迷い込んだ人間不信の僕は、又従姉の助けを受けて異世界で生き残ろうと必死です)

克全

第87話新銅貨鋳造

「一朗君、バッハ聖教皇家との交渉は上手くいったの?」

「はい、この前の合戦の圧勝の影響と、教都での交易利益の1割を上納する約束で、貨幣鋳造の権利を手に入れる事が出来ました」

「海外から貨幣を輸入している有力貴族から反対はされなかったの?」

「貨幣の輸入を禁止した訳ではありませんし、邪魔するなら俺以上の上納金を納めろと言う話になって、それ以上の反対ができない状態でした」

「そう、想定通り過ぎて怖いくらいね」

「はい、龍子姉さんの知力には驚かされてばかりです」

「ありがとう、でも手筋は幾通りも予測しているから、最有力の手筋と違う動きがあったらすぐに知らせて」

「はい、そうさせて頂きます。それと海外に流出していた粗銀と粗鉛・粗銅ですが、バッハ聖教皇家の命令で海外への売却を禁止することが出来ました」

「貨幣鋳造用に、一朗君に今までの1割高値で買い取る事にしてもらったのよね」

「はい、姉さんが教えてくれたようにしましたが、成分分析は予測通りでしたか?」

「ええ、やはり昔の日本と同じように、灰吹き法は使われていなかったわ。粗鉛には0・1~0・2%の銀が残っていたから、粗銅や粗鉛を買い占めてこっちに送って。精錬して抽出出来た金銀は、一朗君の会社で保管するわ」

「それが政府の意向ですか?」

「そうよ、それで鋳造する黄銅貨の価値は決まったの?」

「はい、それも想定通りの100銅貨として流通させることに決まりました」

「海外から流入した銅貨だけど、製造年代と流通地域によって価値が違うんだね?」

「はい、日本の室町・戦国時代と同じで、教都以西は旧銭が重んじられ、教都以東は新銭が重んじられています」

「商人はその差を商売の利益にしていない?」

「はい、目端の利く商人はそれも利益にしているようですが、有力貴族の合戦が度々ある上に関所が多いので、大々的な交易には出来ていないようです」

「バッハ聖教皇家の意向と言う事で、大船団を組んで銅貨の売買を計画してちょうだい。5円玉を基準に造幣局で鋳造する新銅貨は、異世界では考えられないほど鮮やかに輝いているから、酸で常に輝きを維持すれば、異世界で貴銭として扱われるはずよ」

「はい、バッハ聖教皇家でも新銅貨の輝きを見て、金貨と間違える人もいました」

「粗銅や粗鉛に加えて、旧銭や新銭も日本から送り込んだ穀物・塩・砂糖・香辛料で物々交換してくれれば、一朗君の利益は最大になるはずよ」

「新銅貨は使わないのですか?」

「物品の値段が落ちついたり、暴落してから新銅貨を導入するようにして、銭が回収されたらデフレが起こるから、その時に新銅貨を徐々に投入すれば、経済は安定するし一朗君の資金力も強く発揮できるわ」

「分かりました」

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