「異世界動画で億万長者・ドローンの御蔭で助かっています」(神隠しで異世界に迷い込んだ人間不信の僕は、又従姉の助けを受けて異世界で生き残ろうと必死です)

克全

第69話人虎族・ギーゼラ

人虎族のギーゼラにも2機のドローンを常時付けているが、装備している魔道具は同じだから、支援を行うパターンも同じだった。単騎での戦闘力は、ギーゼラも人熊族のグレーテルも人狼族よりも上だ。問題は連携力なのだ、連携が上手くいけば総合力が格段に上がってくる。

5対5で戦った場合は、人狼族の方が優位になるだろう。人熊族も人虎族も、協力して戦うと言う概念がないから、人狼族が敵の4人を切りはなし無視して戦えば、人熊族も人虎族も倒す事が出来る。

だが今回は何としても協力してもらわなければならない、連携攻撃は無理でも、位置取りだけは計算して敵の攻撃を分散させたりする事はできる。さっきから見ていると、コボルトはオークよりも個人能力は低いのだが、犬の顔をしているだけあって連携攻撃を仕掛けて来る。

「ガォー!」

ギーゼラが完全獣人形態のまま、ドローン魔法攻撃で3頭しか残っていないコボルト後援部隊を一蹴した。ギーゼラの前脚の一撃は、軽くコボルトの顔を捻じ切る衝撃力がある。

「グゥォー」

グレーテルも負けていない!

ドローンの支援とギーゼラの後援を受けて余裕を持って戦えるようになったのだろう、7頭いたコボルトを1頭1頭一撃で倒して行った。今見える範囲には3頭のコボルトしかおらず、4頭は既に血の海に沈んでいた。

不謹慎な話だが、このような光景もドローンで撮影して24時間連続で動画配信している。特に人気があるのがこのような戦闘映像と着替え・獣人変化の映像だ。特殊な趣味の人でなくても、人獣族の変化映像は人気が有って、安定して再生回数を稼いでくれる。だがこのような戦闘風景は、こちらから仕込んで取れるものではないので、満月期だけの特別映像になる。

「グレーテル、ギーゼラこのまま第1砦まで撤退しろ」

完全獣人形態でもこちらの命令は理解できるので、コボルト軍との間が開いた今のうちに砦まで撤退させるべきだろう。休憩させた上で、第1砦を囲むだろうコボルト軍を迎撃させる。



「アレクサンダー、コボルト軍は第1砦に集中している、背後を取って一気に殲滅しろ!」

「オン!」

コボルト軍が大砦に猛攻を仕掛けた時に合わせて、第2砦から遊撃させた人狼族のアレクサンダー、アウグスト、ボニファーツ、ブルーノ、ツェーザルに後方から攻撃させた。彼らはツェツィーリアたちの婿になりたくて集まって来た男の人狼族なのだ、だからこそ、ここで活躍してアピールしなければならないそうだ。

もちろん人狼族だけに突撃させる訳では無く、1人に2機の魔道具搭載のドローンが常時つき従っている。集団用魔法をコボルト軍に掛けて、陣形が崩れ連携出来なくなった所を人狼族が突撃するのだ。しかもそれだけではなく、ローゼンミュラー家の従士隊も反対方面から攻撃に参加している。これで撃退できるとはずだ!

「一朗君大変よ! 急いで迎撃態勢を再構築して!」

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