王家を追放されたわけじゃないけど、世直しすることにしました。

克全

第65話使者

「殿、陛下に使者を送られないのですか?」
「今はまだ早い」
「ではイマーン王国にはどう返事をされるのですか?」
「一旦臣従してしまうと動きにくい。ここは独立領主になると返事をする」
「伯爵の地位では不足ですか?」
「ああ、不足だ」
「ドワフランド王国にはどう返事をされるのですか?」
「アリステラ王国との仲立ちは出来ない」
「三ヵ国同盟にはされないのですね」
「ああ。密約であろうと、今同盟を結べば、アリステラ王国が謀った策だと誹られるだろう。それはアリステラ王国の栄光に泥を塗ることになる」
「ではアリステラ王国から新たな家臣も召し抱えられないのですね」
「ネッツェ王国と手切れになった以上、もう駄目だ」
「ネッツェ王国が十万の騎馬軍団を動員してきたら、ラボック城は落城するのではありませんか」
「今日にでも増強するよ」
「どのていどの増強をされる御心算ですか?」
「ダラム城と同規模の本丸を築き、その外に三重の星形要塞を築く。そして千の冒険者兵士に護らせる」
「イマーン王国の提案を拒否された以上、ネッツェ王国との戦いが始まれば、イマーン王国が領地を取り戻そうと攻め込んで来るかもしれません」
「二ノ丸までしかなった城には三ノ丸を増築しよう」
「奴隷達が裏切る恐れはありませんか? ネッツェ王国に残っている家族や友人が、人質に取られる可能性もあります」
「ネッツェ王国との開戦までに、人質にされそうに人間を聞き出し、出来る限り救出しよう」
「デートン城、ルイビル城、サバナ城、メーコン城には、それぞれ百程度の兵士と千人ほどの奴隷しかいません。殿や私達が援軍に向かうにしても、部隊を分けた二国に攻め込まれたら、間に合わない恐れがありませんか?」
「働きによっては、即座に奴隷から解放して平民にすると約束して、ダラム城とアルタス城にいる奴隷を各城に派遣しよう」
「正式な布告として、高札場に掲げてはいかがでしょうか?」
「パトリックの提案通りにしよう」
パトリックは元々慎重な性格だったけれど、爺が俺の側を離れて以降は、特に慎重になった。
常に俺や領地の事を考え、何時でも助言が出来るようにしてくれている。
だが余りに心配し過ぎると、若禿になってしまうぞ。

「現在のアーサー独立領の状態」
ラボック城:千兵・三千人:ネッツェ王国内に築いたアレクサンダーの城・本丸に三重の星形要塞
ダラム城 :三百兵・一万人:イマーン王国内にアレクサンダーが最初に築いた城
:本丸・三重の星形要塞・八個の五ノ丸外城
アルタス城:三百兵・一万人:本丸・三重の星形要塞・八個の五ノ丸外城
デートン城:百兵・三千人:本丸・星型要塞の二ノ丸・星形要塞の三ノ丸
ルイビル城:百兵・三千人:本丸・星型要塞の二ノ丸・星形要塞の三ノ丸
サバナ城 :百兵・三千人:本丸・星型要塞の二ノ丸・星形要塞の三ノ丸
メーコン城:百兵・三千人:本丸・星型要塞の二ノ丸・星形要塞の三ノ丸

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