王家を追放されたわけじゃないけど、世直しすることにしました。

克全

第35話アゼス魔境探査7

近習衆は円形陣を組んだままこの場から逃げていった。
これで思う存分戦う事が出来る。
誰も目もなければ、またボス養殖が出来る。
左右の腕を斬り飛ばし、上下の顎を斬り取り、鱗と皮を斬り剥ぐ事が出来る。
それがどれほどの富となるかは、想像すらできないほどだ。
何より大きいのは、金剛石級の地竜種の素材が手にはいる事だ。
既に膨大な量を魔法袋に収納してはいるが、多すぎて困る事など断じてない。
地竜種の牙で創り上げた魔剣や魔槍なら、例え相手が同じ金剛石級竜種でも斃すことが出来る。
これがもし玉鋼級の魔獣から創り出した魔剣や魔槍だったとしたら、余程の技量がなければ金剛石級の竜種を斃すほどの攻撃力を発揮できない。
爪も牙よりは劣るが、それでも技量と力さえあれば、金剛石級の爪で創った魔剣や魔槍は金剛石級竜種を斃すことが出来る武器となる。
魔剣の柄の部分や魔槍の柄の部分を地竜種の骨で創り出せば、何があろうと折れる事もない。
当然地竜種の皮を鞣して創り出したハードレザーアーマーは、白銀級の魔剣や魔槍で破られることも貫かれることもない。
表面や内部に地竜種の鱗を使って強化したスケイルアーマーなら、人が振るう玉鋼級魔剣や魔槍で破れる事もなければ貫かれることもない、安心出来る最高の防具となる。
もっとも打撃力は衝撃波として内部に影響を与えるので、鍛え抜いた身体は絶対必要だし、綿布で出来た厚手の肌着を着ておくべきだ。
先程は白銀級か玉鋼級か分からないビッグウルフ製の装備のことを考えたが、金剛石級竜種で創られた装備を貸与すれば、多くの優秀な士族や冒険者を家臣に迎える事が出来るだろう。
父王陛下に釘を刺されているから、四割の獲物は税として納めなければいけないが、残りの六割分でも二百騎分以上の装備を創り出すことが出来る。
近習衆を安全に離脱させることが出来たら、改めて全ての縄張りを回って、玉鋼級以上のボス達の素材を集めて回る。
そんな事を考えながら、地竜種を追い払った。
本当ならこのまま直ぐに全域を回りたい所だが、近習衆の中に忠臣がいた場合、余りに遅くなると命を捨てて魔境の中に入ってくるかもしれない。
今の彼らの実力では、ダンジョンどころか内周は勿論、外周部の縄張りも突破できない事が明らかになった。
近習衆には俺が全てのボスを無力化した後で、魔境の浅いところで金級以下の魔獣を狩ってもらう。
魔核は勿論、食料となる肉や素材となる骨・鱗・皮・血液・外骨格などを集めて、国内の需要を満たしてもらう。
国内で家格崩壊を起こしそうなら、輸出して外貨を獲得してもらう。
ネッツェ王国が戦争準備をしている今なら、幾らでも買ってくれるだろう。
さあ、まずは近習衆を安心させてやろう。

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