公爵令嬢が婚約破棄され、弟の天才魔導師が激怒した。

克全

第62話

「どうでした?」

「あのねぇ、全然大丈夫だったよ。
国王も両親も全然気にしてなかったよ。
レイナが動物好きなのは皆が知っている事だって」

私はルークの話を鵜呑みにすることなく、いくつもの質問をしました。
ルークにも国王陛下や御両親にも悪いのですが、何度も往復してもらって、質問を繰り返し、疑問点を調べてもらいました。
それでも、全く何の問題もありませんでした。

私の不安や心配をよそに、ホワイト王国ではレイナのルークへの輿入れ話が具体的に議論されるようになりました。
驚いた事に、ルークが拒絶反応を示さななかったのです!
これは、副王族全権大使の話し方がよかったのだと思います。
ルークと私、レイナと副王族全権大使との会談で、こう言う話になりました。

「ルーク殿下。
レイナは半人間となって王城に入り、御姫様に仕えたいと申しております。
獣が半人間に変化したのと違って、言葉も通じ、髪を整えたり衣服を整えたりといった、御姫様の御世話もスムーズに行えます。
問題はないでしょうか?」

「何の問題もないよ。
お姉ちゃんの御世話をしてくれるのなら、御城にいていいよ」

「御姫様が望まれるように、ルーク様の御世話もさせて頂きたいのですが、それはいかがでしょうか?」

「えぇぇぇえ!
俺はいいよぉ」

「左様でございますか。
承りました。
ですが少々残念でございます。
御姫様はルーク様が綺麗な服を着て髪も身体も洗われた方が、お好きだとお聞きしたのですが?」

「え?
本当なの?
お姉ちゃん」

「そうね、本当よ。
ルークが元気で遊んでくれるのは嬉しいけれど、服や身体が泥だらけだったり、髪や身体から臭い臭いがするのは嫌よ」

「分かった!
レイナに直ぐ来てもらって!
半人間に変化してもらうから」

ルークはまんまと口車に乗せられていました。
副王族全権大使が、私の事を御姫様と言って、ルークの機嫌をよくしていたというのもあります。
私の正式な地位は女王なので、ほとんどの人が女王陛下や陛下と呼称します。
ですがルークが私につけたかったのは「御姫様」という称号です。
だからそれをよく知っているローガン王やジェイデン卿は、ルークの前でだけは、私の事を「御姫様」と呼びます。
副王族全権大使はよく調べています。

元半人間のミモザ達は心映えも優しくよく仕えてくれますが、どうしても人間のようにできない所がありました。
ですが耳と尻尾だけ獣化したレイナは、本当によく仕えてくれます。
いえ、私にだけ仕えるのではなく、ミモザ達の御世話もしてくれるのです。
心映えもよく、ミモザ達を虐めたり下に見る事もありません。
心から嬉しそうに、半人間から人間に変化させられたミモザ達を可愛がります。
ルークも気に行ったようです。
このまま本当に夫婦になってくれればいいのですが。

コメント

コメントを書く

「恋愛」の人気作品

書籍化作品