女将軍 井伊直虎
第72話準備
1567年『近江・観音寺城』足利義直・直虎
「母上様、五郎を元服させて関東に送ると言うのは本当ですか」
「そう言う手もあると言う事です」
「五郎の身の安全は確保出来るのでしょうか」
「さてそれはどうでしょうか」
「母上様は五郎が心配ではないのですか」
「五郎も武将となるのです、いえ、将軍の弟なのです。いずれ天下の静謐の為に、命を懸けて戦うことは覚悟しているでしょう」
「確かにそれはそうですが」
「義直にも命を懸けて戦ってもらいましたね、同じ事ですよ」
「私が五郎にしてやれる事はありますか」
「関東下向に向けて、兵を集めて訓練してやって下さい」
「御隠居様が集めて訓練している兵とは別に、また新たに兵を集めるのですか」
「そうです、御隠居様の募集に応じた兵は、駿河に行くだけのつもりの兵です。しかし新たに集める兵は、関東に攻め込み領地を切り取るための兵です」
「それは今まで募集に応じて来なかった者も、領地欲しさに集まると言うことですか」
「そうです、甲賀や伊賀は言うに及ばず、どこの国衆・地侍でも一旗揚げて一家を興したい子弟を抱えています」
「なるほど、御隠居様が謀反討伐に行かれるのに従っても、精々扶持米や銭を支給される足軽になれる程度ですね」
「はい、ですが五郎に従って関東入りすれば、北条などの関東諸将の領地は切り取り勝手です」
「しかも関東公方の側近になれる可能性すらあると言う事ですね」
「ただし全ては北条と武田の動き次第、今まで通り北条・武田との同盟を続け、河内・摂津・和泉を攻め取るのが1番なのです」
「上杉や佐竹・里見への使者は、北条・武田を引きとめるための策なのですね」
「どうしても引き止めたい訳ではありません、引き止める方が義直様に有利だから引き止めるのです」
「それは、私に不利な条件まで譲歩する必要はないと言う事ですか」
「そう言う事です」
「母上様は、どこまでの譲歩なら私の得になると御考えですか」
「そうですね、北条に関東管領の位を与え、武田に甲信越の管領の地位を与えてもいいでしょう」
「甲信越ですか、新たな管領職を創り出すのですか」
「義直様が新たな将軍家となられるのです、新たな仕組みを作るのに何の不都合もありませんよ」
「確かにその通りではありますが」
「それに1番大きいのは、北条・武田との同盟を続けると言いながら、北条・武田を将軍家の家臣である管領に任命すると言う事です」
「なるほど、それは確かに大きいですね」
「これを北条・武田が飲むのなら、何も無理に五郎を関東公方にする事はないのです」
「そうなってくれればいいのですが」
「母上様、五郎を元服させて関東に送ると言うのは本当ですか」
「そう言う手もあると言う事です」
「五郎の身の安全は確保出来るのでしょうか」
「さてそれはどうでしょうか」
「母上様は五郎が心配ではないのですか」
「五郎も武将となるのです、いえ、将軍の弟なのです。いずれ天下の静謐の為に、命を懸けて戦うことは覚悟しているでしょう」
「確かにそれはそうですが」
「義直にも命を懸けて戦ってもらいましたね、同じ事ですよ」
「私が五郎にしてやれる事はありますか」
「関東下向に向けて、兵を集めて訓練してやって下さい」
「御隠居様が集めて訓練している兵とは別に、また新たに兵を集めるのですか」
「そうです、御隠居様の募集に応じた兵は、駿河に行くだけのつもりの兵です。しかし新たに集める兵は、関東に攻め込み領地を切り取るための兵です」
「それは今まで募集に応じて来なかった者も、領地欲しさに集まると言うことですか」
「そうです、甲賀や伊賀は言うに及ばず、どこの国衆・地侍でも一旗揚げて一家を興したい子弟を抱えています」
「なるほど、御隠居様が謀反討伐に行かれるのに従っても、精々扶持米や銭を支給される足軽になれる程度ですね」
「はい、ですが五郎に従って関東入りすれば、北条などの関東諸将の領地は切り取り勝手です」
「しかも関東公方の側近になれる可能性すらあると言う事ですね」
「ただし全ては北条と武田の動き次第、今まで通り北条・武田との同盟を続け、河内・摂津・和泉を攻め取るのが1番なのです」
「上杉や佐竹・里見への使者は、北条・武田を引きとめるための策なのですね」
「どうしても引き止めたい訳ではありません、引き止める方が義直様に有利だから引き止めるのです」
「それは、私に不利な条件まで譲歩する必要はないと言う事ですか」
「そう言う事です」
「母上様は、どこまでの譲歩なら私の得になると御考えですか」
「そうですね、北条に関東管領の位を与え、武田に甲信越の管領の地位を与えてもいいでしょう」
「甲信越ですか、新たな管領職を創り出すのですか」
「義直様が新たな将軍家となられるのです、新たな仕組みを作るのに何の不都合もありませんよ」
「確かにその通りではありますが」
「それに1番大きいのは、北条・武田との同盟を続けると言いながら、北条・武田を将軍家の家臣である管領に任命すると言う事です」
「なるほど、それは確かに大きいですね」
「これを北条・武田が飲むのなら、何も無理に五郎を関東公方にする事はないのです」
「そうなってくれればいいのですが」
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